ビバさんのさんぽ道

みやこの建物、お庭、お花、あれもこれも見てみたいと欲張りビバさんがでかけます

ロームシアター京都会館をウォッチング

2016-07-18 01:24:57 | これでいいのか京都(京都会館)
西本智実指揮の演奏会を聴きに行くついでに、改築されてロームシアター京都と変名されてしまった京都会館の中をウォッチングしてきました。

先ず、外観のウォッチングは4月桜の咲く頃に行ったものです。

南面の二条通り側から見た外観は一見元の建物の様相とあまり変わりがありません。



正面入口も変わらず。



東側から見ると、一階は民営書店とカフェが道に張り出してオープンカフェにし、二階はレストランがテラス席まで出していて、元の会議室が無くなってしまいました。



正面入口東側の書店への入口部分。



中庭から東山を見通した景観。左に見えるのは京都市美術館別館。東側にあった公園の樹木がたくさん切られてスカスカになってしまいました。


ここまでのところはまだ元の建物の風情が残されていますが、

この第一ホール上に積み上がられた塔の景観だけはなんともいただけません。
横のラインで構成されていた京都会館の外観はすっかり傷つけられてしまいました。



全然異物の感じがする四角い箱を乗せただけ。せめてもっと目立たない色にできなかったのでしょうか。



中庭からの眺め。


昔の姿はこちらです。



さて、いよいよ中に入って見ると、

一階入ったところにあったロビーホールは半分以下に減らされてこんな狭い通路になってしまいました。
画面奥の冷泉通り方面にも出口ができて通り抜けができるようになったのはいいのですが、鑑賞の前後に聴衆がたむろして交流したり余韻にふける場所はなくなってしまいました。



二階ロビーに機械式改札口があって、ここから奥がメインホールの有料エリアとなっています。



ここのロビーも狭いです。



メインホールの中は、一階は後方から前方に向かって段を降りて行って席につくようになっていて、両サイドの入口がないので、階段の上がり降りで大変、しかもトイレは一方の側にしかついていないので、行って帰ってくるまでには相当の距離を歩かねばなりません。



後部座席は2階から4階まであり、それぞれ急な階段で積み上げられていて、見上げ見下ろすと断崖絶壁のようで、恐ろしくなります。
あの高い塔屋はこの観客席を作るためのタワーだったのでしょうか。



舞台は本格的オペラができるようにするとかいうのが建て替えの口実でしたが、とてもそんな風には見えませんでした。この日は合唱の人が大勢舞台に上がるので、前から5列目までの客席をつぶして舞台を延長していましたが、それでも狭い感じを受けました。

ル・コルビュジエの弟子前川國男が建てたモダニズム建築の傑作・京都会館、こんなにいじられた上に、変な名前まで付けられてしまって、残念無念というしかありません。文化都市京都の名前が泣いています。

せめてもの慰めは、塔以外の部分の外観がほぼ守られたことで、建物の保存を求める声を合わせて訴え続けてきた成果でしょう。
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京都会館がなくなってる!

2013-01-10 21:58:26 | これでいいのか京都(京都会館)
みやこめっせに行ったついでに、向かいの京都会館を見てみると、



何か、変??


ムムムッ、一番上にあったドーム型の屋根がありません!

前はこんな↓だったのに。





西側の疎水べりから見ると、第二ホール部分(右)はそのままあるのに、第一ホール部分(左)は白い工事柵に囲まれてその中身はすっかり破壊されていました!




大きなコンボが2台も入って、あの前川國男の名建築を無残にも粉々に打ち砕いていました。


多くの市民の声を無視して、何を言っても聞く耳を持たず、

ユネスコの世界遺産審査を行う「イコモス」委員長が「遺産危機警告」の意見書を出したにも拘わらず、

自ら策定した景観条例の高さ制限を覆してまで、

建物解体工事差止請求裁判が行われている際中なのに、
裁判結果が出る前にと狙っているかのように、

急いで破壊工事を進めています。


        ”怒”


これが「文化都市」京都市のしていることです。

      
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京都会館を壊さないで

2012-08-30 23:08:24 | これでいいのか京都(京都会館)
前川國男が設計した戦後近代を代表する名建築、京都市の文化会館「京都会館」が壊されようとしています。
第一ホールの部分を壊して、高さ31メートルの10階建てマンションのような高い壁の建物を作ろうとするもので、京都市の景観条例の規制を自ら外して、東山連峰の前に緑と自然あふれる岡崎地域の景観を破壊するおろかな行為です。
しかもその費用は、音響効果改善等、使いやすい文化会館にしていく改修なら、ずっと低額で行えるのに、全面的な建て替えで110億円もかかり、財政逼迫の京都市にとって大変な無駄な出費となります。



上が現在の京都会館、下が建て替え後の姿。見えにくいですが、水平ラインの上に薄い色の高い壁の塊が屹立しています。


既に京都市民原告団112人による解体差し止めの住民訴訟提訴が行われています。

国際的な建築保存・顕彰団体DOCOMOMOJapanが、建て替え計画により建物の「価値を喪失する」として解体工事の中止を求める意見書を門川市長あてに提出しています。

また、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)の専門委員会からも、現在の建物の文化的価値を認め、建て替えに懸念を表明する意見書が京都市長あてに送られました。



しかし、京都市は多くの反対や慎重検討を願う声を無視して、9月上旬に京都会館解体の工事に取り掛かろうとしています。

そこで、「岡崎公園と疎水を考える会」の知り合いから下記の取り組みのお知らせがきました。多くの方のご参加をお願いします。



<京都会館を記録する会>

9月1日(土)午後2時~ 京都会館ピロテイーにて受付(会費無料)
  呼びかけ人:土橋享(映画監督)、吉村篤一(建築家)、松隈洋(京都工芸繊維大学教授)
  写真、絵、絵手紙、動画、俳句、短歌、随筆、音楽そして心で・・・京都会館を記録しましょう。中には入れませんが、陶板壁画、屋根の形状、透けるホワイエ、中庭など心に刻みましょう。内部見学は京都市に交渉中です。
     

<京都会館抱きしめたい(ヒューマンチェーン)>

9月1日(土)午後4時~ 京都会館前集合 
  たくさんの人で手をつないで京都会館を囲みましょう。多くの方のご参加を願っていますのでよろしくお願いします。


 連絡先:岡崎公園と疎水を考える会 075-751-9841
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第二回京都会館をウォッチング、そしてお願い

2011-07-13 23:27:56 | これでいいのか京都(京都会館)
第一回(5月29日)に続いて、7月13日(水)に第二回目の京都会館ウォッチングがありました。
今回は京都市主催なので、会館の中まで詳しく見ることができ、しかも上々の好天気で、大変暑い中での見学でした。



見学する方もとても多かったです。






雨の多い日本の風土にあって庇が広くせり出したところに特徴があります。

車椅子用の通路を作る工事をしていました。
今まで長い間放置しておいて、改修話が出ると俄かに手を加えているような感じです。


二条通りからピロティ、中庭へと自然に入っていける導線です。


中庭からまっすぐ第一ホールへ入っていくところ。

この通路を通って入っていく時にこれから見る公演への期待が膨らんでいったものです。



改築案では、第一ホール一階ピロティ部分は楽屋にし、第一ホールの入口を二階にするそうなので、この部分は階段になって冷泉通りまでの見通しが断ち切られることになります。



第一ホール前の壁画もどうなることやら。



第一ホールの天井に音響のための傘みたいなのがあるのが、初めて見た時はすごく印象的でした。
傘の間に見える灯りが不規則に点いているのが、夜空にまたたく星のように見えるのだと気づかされました。


舞台にも初めて上がりました。



二階座席脇の壁の模様。


引き続き、初めて入る部分に突入

第一ホール裏の楽屋への通路。


楽屋です。

おー ここで西本智実様も(京都市美術館記念「展覧会の絵」演奏の時)出番前に待機されていたのかと、興奮





第二ホールの廻りの壁は町家の格子風の木が組まれています。






第二ホールの西側ピロティから西の疏水越しに眺めた景色。
あの、今は空き地になっているお屋敷の桜の木も見えました。




第二ホールピロティから普段は閉じられている扉を通って会議場の方へいくと、第一ホールの屋上の様子がよく見えました。
下から見た時はほとんど存在が感じられない屋根の形も、こうして見るとかなり傾斜があるのがわかりますが、それが下からはわからないように建てられているのが、さすが前川國男の技です。
これが高さを上げられて、傾斜のない四角い墓石のような塔が建つとしたら、東山や北山の景観を隠してしまうことは明らかです。


こちらが会議棟。第一・第二ホールとL字型に交差して建てられています。


一番大きな会議室は国際会議もできるように作られていて、手前に階段状の記者席があります。


こうした小さい会議室もいくつかあり、いずれも二条通りの欅の木が窓いっぱいに見られて開放的にできています。

京都会館のどこでも窓の周りに窓枠がなく、直接コンクリート部分まで窓ガラスが続いているので、外部の明かりを取り入れた開放的な部屋の雰囲気になっているそうです。



特別に普段は入れない会議棟二階のベランダに出させていただきました。
ここからの東山の眺めは素晴らしいものだったそうですが、今は木が生い茂って見えなくなっています。


一階を吹き抜けにして、次の通りへの見通しを持ち、堂々とした柱の上に木造住宅の瓦屋根を模した屋根がある京都会館の様は、南禅寺や知恩院の山門を思わせる造りであり、まさに京都、岡崎の風土に根付いた建物であると、案内していただいた松隈先生のご説明でした。



ここから、お願い


京都市は岡崎地域の活性化とかいって、岡崎地域を外国の富裕層向けの儲けになる地域に変えようとしています。

識者を交えた検討会を開きながら、その結論とはかけ離れた案が採用され、いつの間にか京都会館の命名権はロームに売られていました。
今計画されている建て替え案はその意向にそった設計になっています。

住民の声を聞くようなふりをして説明会などを開いていますが、「今のままの岡崎に住みたいんです!」という大勢の住民の声は無視されようとしています。


京都会館改築を前提とした地区計画による高さ制限を現在の上限15メートルを31メートルに引き上げようとしています。

岡崎通の東側を第二種住居地域に指定することは、パチンコ等をよびこみ、閑静な住環境の破壊を招くことになります。



京都市は「岡崎地域活都市計画制限見直し素案に」のパブリックコメントをおこない、岡崎地域まるごと高さ制限を外そうとしています。

パブリックコメントは7月26日~8月22日(月)受付です。

パブリックコメントの冊子・意見送付用紙は、市役所案内所、区役所・支所、都市総務課、都市計画課、景観政策課、市街地景観課、風致保全課、建築指導課、京都市景観・まちづくりセンターにありますが、ネットで京都市の情報館に、募集中の市民意見(パブリックコメント)欄があります。そこの「岡崎地域活性化ビジョンの実現に向けた都市計画制限等の見直し素案について」を開けていただければ、ダウンロードできます。
※冊子の2 用途地域の変更(5頁)と3 地区計画の指定(6頁から)が、特に大切な部分です。


これは岡崎地区だけの問題ではなく、せっかく高さを制限し、京都の景観を守ろうとしてきた京都市の姿勢を根本からくつがえすもので、京都市民全体の問題です。

みなさんの、岡崎公園一帯や京都会館、そして、明日の京都を思う気持ちをパブリックコメントに綴って出していただけたらと思います。



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京都会館をウォッチング

2011-05-29 23:43:24 | これでいいのか京都(京都会館)
5月29日(日)、今建て替え問題で話題になっている京都会館のウォッチングに行ってきました。

京都市が突然出してきた改築計画。あまりにも唐突にいつのまにか京都会館の命名権が「ローム」に売られていて、岡崎公園再整備計画とやらと関連して京都会館の改築案(90億円もかかる!)はしゃにむに進められようとしています。
日本建築学会賞をとったモダニズムの名建築が建物の本質を失うような大変更を加えられようとしている今、現地で実際に建物を見て考えてみようという企画でした。主催は「岡崎公園と疏水を考える会」。


あいにく、台風の影響による大雨のお天気。




集合場所の会館入口付近に行ってみると、あたりは大勢の人・人・人。
実はこの日は京都会館を会場に合唱祭が行われていたのでした。屋根のあるピロティでは、合唱の練習をする団体の人でいっぱい。


ピロティの天井部分。どことなく和風です。
ピロティがあることによって、道路に向かって建物の足元を開放し、中庭へと自然に人々を誘いこむ石畳が続いています。

ピロティ、中庭、と建物の内部と外部、さらに敷地の外まで水平的に広がる有機的な空間構成によって、そこに集う人達が共に楽しく時間を過ごすことができる、設計者の目指した意図は十分に達っせられているようにみえます。



ウォッチングの人達もたくさん来ていて、約80人程が集まっていました。

人混みを避けて、向かいのみやこメッセの3階に移動、そこからウォッチングすることになりました。
京都工芸繊維大学の中川理教授が解説してくださいました。


京都会館は1960(昭和35)年建築。その設計は村野藤吾、前川國男、尾崎久助(日建設計)の3者による指名設計競技の結果、前川國男が設計を行いました。
その設計説明書には次のように書かれています。

「東山一帯に囲まれた平面的な岡崎公園と、その水平的な性格を象徴するが如き疏水の流れ、それに既存の建物、公会堂、勧業館、美術館等の中層建物の高さなどを考え合わせる時、この場所には巨大なマッスの高層建物を置く事は、公園地帯全域に対して不均衡を来すものと思われる。
 このために建物全体を中層の高さに収め水平に延びた屋根面から大ホールの屋根、小ホールの舞台フライの部分のみを突出せしめる水平線的な構成をとった。
 この公園のもつ水平線的性格は建物のボリウムの流れのみでなくバルコニー手摺、外壁を構成するブレキャスト版等、全館意匠の細部にまで浸透せしめ附近全域及び周囲の風光との調和を図った。」


東山連山のなだらかな稜線の前に、岡崎の地には高い建物は似合わない、それを見抜いて建てられた建物でした。


3階の窓から見える京都会館。
刈り込みされた植栽はみやこメッセのもので、京都会館は大きな欅の木の向こう側になります。やはり、高さは抑えられていて、すっかりあたりの景観になじんで溶け込んでいます。


建物の特徴である水平的な線を表わすのが水平に延びる大きな庇です。
庇が大きく外に延びていることによって、雨風の多い日本の風土にかなった日本的モダニズムの建物が作られたのです。
しかも、大きな庇でも重々しさ、違和感は感じられません。



浮上しているオペラハウスにするには建物の高さを上げねばならず、下部はそのままでも、上に大きな墓石を載せたようなものになるのではと言われています。岡崎公園に大きな墓石ではねえ。
京都市が折角高さ制限をしている岡崎地区も、規制を緩和せねばならなくなり、地区全体の景観が崩されると共に、静かな文化ゾーンとしての性格が変わっていってしまうのではないでしょうか。


みやこメッセで1時間程お話を聞いたあと、京都会館の中庭に移動、そこでも説明を聞きましたが、雨足がますますひどくなってきて、早目に切り上げられました。



建物の外観ではタイルが特徴的。その貼り方はコンクリートを打ってから後で貼るのではなく、最初からタイルがあってコンクリートが流し入れられているので、剥がれにくく、雨も浸み込みにくいのだそうです。




この日は、会館内部のウォッチングができなくて残念でしたが、以下は別の日に内部(第一ホールのロビー)を写したものです。



スケールの大きな空間で、とてもたくさんの入場者がいても、いつも短時間で出入りできたことが思い出されます。


最近はあまり利用することも少なくなってきていた京都会館(それでも西本智実指揮のコンサートもここでありました)、こうしてウォッチングしてみると、昔は様々な催しの度によく来たものだと、懐かしい思い出もよみがえってきます。

それらの思い出を包み込んだ建物、多くの市民に利用され、なじんできた建物を安易に壊したり変更することなく、より使いやすく、より多くの人が使い続けて行くにはどのように改善すれはいいのか、もっとじっくり検討してもらいたいものです。

そして、岡崎の地に「巨大なマッスの高層建物」だけは建ててもらいたくないものです。

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