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考えるための道具箱

Thinking tool box

音楽について、いくつか。

2005-04-29 20:46:27 | ◎聴
ブルース・スプリングスティーンの新譜『Devils & Dust』は、本国ではすでに発売されていて、輸入盤は店頭にも並ぶ。少しでも早く聴きたいんだけれども、仕様の問題などもあって日本版の発売を待つことにした。
それまでは、今回『Devils & Dust』のライナーノーツを書かれた音楽評論家/翻訳家の五十嵐さんの、もの凄くくわしくていねいな各曲紹介を愉しむ。そしてあいかわらずのBOSSの思弁とテキストワークに心を振るわせる。

アメリカという歴史の浅い国家の課題を、それに直面するマイノリティーや市井人の立ち位置から描く志は、同じ日本を描く『半島を出よ』と同じものなのだろうが、リアリティには格段の差がある。もちろん双方ともマイノリティーを描くメジャー&メガアートなわけで、極論を言えば、同じコマーシャリズムの産物といえなくもないが、おそらくBOSSは自身がメジャーであることを強く認識し、そのうえでかつマイノリティーの体験を持ち続ける力があるということだろうか。その憑依できる力が、世の中はけっして善悪ですっきり割り切れるわけではないという深く真摯な認識を生み、それゆえの苦悩への耐性を生むということだろうか(※)。まあ、楽曲を聴かないうちにあれこれ考えても不毛ですね。公式サイトで試聴しながらいろいろとイメージしてみるのがよいです。

で、そのBOSSのアコースティックソロツアーも始まっていて、そのセットリストにまた震撼する。こちらはSMEの情報から。

April 25, 2005
Detroit, Michigan
Fox Theatre

Reason to Believe
Devils and Dust
Youngstown
Lonesome Day
Long Time Comin'
Silver Palomino
For You *
Real World *
Part Man, Part Monkey
Maria's Bed
Highway Patrolman
Black Cowboys
Reno
Racing in the Street *
The Rising
Further On (Up the Road)
Jesus Was an Only Son *
Leah
The Hitter
Matamoros Banks
(encore)
This Hard Land
Waitin' on a Sunny Day
My Best Was Never Good Enough
The Promised Land
(*PIANO)

ファンの人しかわからないと思うが、このリストはそうとう鳥肌ものだ。「Racing in the Street」は、言ってしまえば僕がいちばん好きな曲で、まずパフォーマンスがあるということ自体もビビるんだけど、ピアノ弾き語りなんかやられちゃうと腰抜けるかも。それに「The Rising」「 Further On (Up the Road)」のアコースティックが続けばきっと気絶しちゃう。まあ、そもそも「Reason to Believe」のオープニングでしょうべんちびっていると思いますが。

例によって東京国際フォーラムだけでもいいから来日してほしいし、そうでない場合は、DVD化をお願いしておきますよ。SMEさん。
         ◆
そのSONY MUSICのJAPANのいちおしは、知ってる人はもうかなり知っているだろうurb(アーブ)。いわゆるジャム・バンドで、ジャズなんだけど、キーボード、ギター、ベース、ドラム、、トランペットの6ピースバンドで、出自に幅広さが楽曲の幅広さにあらわれていて、とても渋くて愉しい。2002年のデビュー以来初めてのフルアルバム『afterdark』(five spot?)を、ご近所のギターウルフから借り受けていて、ようやくじっくり聴くことができたんだけど聴くほどに音楽の愉楽が実感できる。楽曲はまったく異なるがおそらくその登場感は25年前のカシオペアに通じるところがあるが、音楽に対するウィットやエスプリみたいなものはurbがちょい上か。プリンスのパープルレインなんてのを軽くカヴァーしちゃうところなんかね(そのウィットはひょっとすると芳野藤丸のSHOGUNに近いかも。もちろんテクニックも)。まあ、このあたりについては素人の戯言を聞いてもしようがないので、どこかで試聴してみてください。針が落ちた瞬間に僕の予言の正しさにご納得いただけると思います。
         ◆
で、最後は、ここんとこ、こればっかりのスーパーカーの『B』。シングルのカップリングを集めたベストアルバムなので、あまり期待していなかったんだけれど、結局ははまってしまった。『B』は年代順に並べた2枚組みになっており、音楽的にはその2枚の境界でばっさり寸断されているかのごとく異なる。ちょうど『FUTURAMA』あたり?そして、どちらもが紛れもなくスーパーカーであるところに、彼らの豊かさを感じる。早すぎる解散はおしい。しかし、もし彼らが今後も活動を続けたとして、この2面以上のスーパーカーを期待してしまうと、それはもうスーパーカーではないものになってしまいそうなので、そういった意味では、ここでスーパーカーが封印されるという選択肢が正しそうな気もする。
         ◆
とかいった近代的な音楽の話を、Doorsの「ストレンジデイズ」などを聴きながら書くっていう分裂気味で奇妙な一日でした。        


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(※)これはけっして村上龍はダメだ、といっているわけではない。彼も見事にマイノリティに憑依していて、本来的にはこのことにもっとも自覚的な作家ではあるという点で信頼できる。ただし、精神的マイノリティーであって、社会的・経済的マイノリティへの深みにはかける。その証左として、イシハラグループのヤマダの描き方の弱さをあげてもいいかもしれない。


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浜田省吾のやりたいことがわかった。

2005-04-13 22:23:43 | ◎聴
そもそも、彼は、ロックミュージシャンの栄光と挫折を、自分自身を投影しながら客観視する楽曲が多い。そのなかには、トラベリング・バンドの哀愁を謳いあげるものもたくさん存在する。
「終わりなき疾走」、「midnight blue train」、「Hello rock'n roll city」、「こんな夜は I miss you」、「演奏旅行」、少し毛色はことなるが「DARKNESS IN THE HEART」、「Hot Summer Night」。おおむねこんなところ?並べたところで浜田を知らない人にとってはまったくわからない世界で申しわけないのですが、ファンにとってはいずれも好感度の高い曲ばかりだと思う。

その詞の文脈はものすごくシンプルで、(1)ロックミュージシャンになりたくて悶々としていた若者が (2)メジャーデビューが叶い (3)人気アーティストになって全国をツアーで駆けめぐる (4)しかしその過程において、愛する大切な人やものを置き去りにしてきたことに気づきはじめる (5)ロード中の地方のホテルなどで、ふと寂しくなり人恋しくなる (6)いろいろあったがやはりあなたのところへ戻るor支えてくれているのあなたただと強く思う ということになる。よくもまあ、同じネタで何曲もかけるなあと思うだけど、今回の新しいシングル『光と影の季節』も、ストーリーの骨は、(3)あたりから(6)までの流れを歌っているという点で、なんら変わることはない。なぜ、彼は繰り返すのだろう?50歳を越えても。

一方で曲をみてみると、この数年、浜田の楽曲の方向は大きく変わってきている。たぶん、彼はマイナーロックより、ラブバラードより、「a place in the sun」のような、R&Bを志向していて、その端的な成功例が「日はまた昇る」ということになるだろう。異論はたぶんないと思う。どう?

で、詞と曲のこの傾向をみると、きっと彼は双方の現状に満足できていなくて、さらなる追求を続けているのではないだろうか?と思えてくる。その行き着く答えは?

答えのひとつは、言うまでもなくわかりやすい。Jackson Brown「The Load Out」。『Running On Empty』のラストを飾るだけでなく、多くのステージのラストやアンコールの定番となっている名曲だ。でも、これだけじゃピースは埋まらない。「The Load Out」は、トラベリング・バンド、ライブ・バンドをこれからも続けていく意志を強く静かに謳っているんだけど、「誰かのもとに戻ってくる」というところまでは及んでいない。浜田の詞にある「戻ってくる」まなざしは、愛すべき異性にだけではなく、すべてのオーディエンスにも向けられているわけなので、ひろく解釈をすれば、「The Load Out」の先にある、「いつかまたこの場所でステージを」という意志とつながるともいえるが、もう少し決定的なback to youがほしい。そう。2つめのピースは、Bryan Adamsの「Back to you」である。

「Back to you」は、Bryanの『MTV unpluged』でライブ演奏されているもので、ファン以外にで知っている人はあまりいないと思うけれど、彼の曲のなかでは五本の指には入る名曲で、ファンであれば、場合によっては1番に指名する人も多いかもしれない。詞としては、「The Load Out」とは逆にback to youにしか触れていない。バンドの話なんて一切ない。しかし、素晴らしい詞であり、浜田がめざす「戻ってくるよ」の原点がここにあるような気がする。

Like a star that guides a ship across the ocean
That's how your love will take me home back to you
And if I wish upon that star - someday I'll be where you are
I know that day is coming soon - ya, I'm coming back to you.
You've been alone, but ya did not show it
You've been in pain, but did not know it
Let me do what I needed to - you were there when I needed you
Mighta let you down, mighta messed you round
But ya never changed your point of view
And that's why I'm comin' back to you...
(『Back to you』 Lyrics by Bryan Adams)

そして、もうひとつ重要なのは曲だ。浜田ファンの人は、試聴でもなんでもいいので、ぜひ聴いてほしい。このR&Bは、まさに『光と影の季節』なのだ。もちろんパクリではない。しかし、第一声、アコギのストローク、サビへの転調…たくさんの要素が見事に相似している。じつは、浜田はずいぶん前になにかのインタビューで、さほどメジャーな曲ではないこの「Back to you」に触れている(※1)。その想いを抱き続けながら、R&Bによる「back to you」の代表曲を目指し続けたのかもしれない。その想いは久しぶりに成功した。発売前に宣伝されていた「誰もが待ち焦がれた浜田省吾ならではのロック」とは、まったく違うもので、いったい宣伝担当はなにやってんだかと思うが、その過ちを許せるR&Bにはなっている(ビート感の強いブルースといった程度の意味)。

さらに、もうひとつ.。トラック2は、「midnight blue train 2005」。もう、気づいているかもしれないが、これは「The Load Out」と相似をなすバラードである。ステージあとのクールダウンからはじまる冒頭をみても明らかだ。

カーテンコール ステージライト
ざわめき…… 今でも火照る体
(midnight blue train 2005)

Now the seats are all empty
Let the roadies take the stage
Pack it up and tear it down
(The Load Out)

これからツアーに向かう、浜田省吾を奮い立たせるテーマソングが完成した。いずれもいい曲としてしあがっている。でも、韻律は別として、詞の内容はあいかわらずだめだなあ。相対的には。あと、ジャケのデザインね。誰かが思い切って言わないと(※2)。


(※1)『Complete Shogo Hamada―浜田省吾事典』(TOKYO FM出版)か、『青空のゆくえ』(ロッキング・オン)あたりか。
(※2)ちなみにジャケットの発想の素もJackson Brownの『lawyers in love』ですね。そうぢゃない、っていうかもしれないけど。






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ジャック・ジョンソン、くるり。

2005-03-07 19:42:35 | ◎聴
そりゃ、黄色いタワレコに黄色い一角ができれば、否が応でも(or 弥が上にも ※1)目立つので、盲目的に買い物カゴにいれてしまった人も多いかもしれませんが、わたしもまたぞろ直感で買ってしまいました。Jack Johnsonという人は、そんなに有名な人気歌手だったのだろうか。たぶん「サーフ・ミュージック」とか「癒し系」といったふれこみでプロモートされていたから、偏狭音楽趣味のぼくは知ることがなかったのだろう。

例によって、コアなファンの人にしてみれば、とりわけサーファーの人たちからみれば「なにをいまさら。遅ぇーんだよ、莫ー迦。」ということになるわけだが、その言葉を真摯に受け止め、これからも世の中に無限にある良い音楽というものを、ゼロベース思考で探していこうと思った一枚ではあった。

Jack Johnsonの3作目にあたる『In Between Dreams』は、わたしには、決して「サーフ・ミュージック」、「サーフィンの後、夕方に海辺にとめた車のなかで流す音楽」には聴こえなった。世間では、こういうものをサーフミュージックというのかもしれないが、サーフミュージックってカテゴライズするから、聞き逃しちゃうんじゃないかよ、ということである。
また「メロウ」といった評価もあったりするが、そもそも「メロウ」ってのがなんだかわからないので、なんだかわからない不良導体には触れないというのが人の常だ、ということである。

すみません。ぐだぐだ(or くだくだ ※2)言わんと結論かきます。硬いアコースティックギターを聴いてみたい人、クリスプなリズムで軽く身体を動かしてみたい人は、ぜひ、まずここらあたりで試聴していただいたうえ、ここらあたりで購入してみてください。たまには、食わず嫌いをくるりっと返上するのもいいかもしれませんよ。

で、そのくるりだが。

『birthday』は、なかなか判断の難しい新曲集ではある。「いわゆる」くるりらしい楽曲であり、そのくるりらしさが好きな昔からのファンにとっては、文句のつけどころのないものだと思われる。

ただ、そういう人たちのなかにはオリジナリティがなくなったといった理由で、『アンテナ』が許せなかったという人も一定数いるわけで、逆に『アンテナ』の「グッドモーニング」や「MORNIG PAPER」、「HOW TO GO」などに新しさとオリジナリティを感じでしまったわたしのような人、クリストファーの強いドラムワークにラス・カンケルを見てしまったわたしのような人は、一瞬、宙に浮いてしまうかもしれない。いや、べつに「宙に浮く」というのは悪い意味ではないので、そこからまた新しさを発見すればいいのだが。

それでも、やはり初回限定版の付録で付いていた「水中モーター」のライブがいいなあと思ってしまう、わたしを許してください。


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(※1)「否が応でも(いやがおうでも)」:なんと言おうと、お構いなしに。「弥が上にも(いやがうえにも)」:段々と、ますます。
(※2)「ぐだぐだ」:愚にもつかない事を何度も繰り返し口にすることを表わす。「くだくだ」:同じ事を何度も長ながと繰り返して述べることを表わす。



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スプリングスティーン!

2005-02-17 21:02:34 | ◎聴
何度かこのBLOGでもふれてきたが、ぼくはブルース・スプリングスティーンのどちらかというと熱烈なファンとして分類される。たとえば、The E-Street Bandとの唯一の来日ツアーも大阪城ホールで見ていたり(残念ながら、The Ghost of Tom Joad ツアーにはいけていないが)、『Live 1975-85』をはじめとするいくつかのアルバムをLPとしてもっているし、『Tracks』といったちょっと高めのアルバムやDVDも発売されるやいなやなんの躊躇もなく買ってしまう。少しはブートも漁っている。

ブルースというと、ある年代の人たちにとっては『Born in the U.S.A』の印象が強く、ともすればただその曲名だけで、マッチョなアメリカニズムと誤解している人もおおいと思うが、実際はまったく逆で、純粋なロックンローラであり、グローバリズムなどとは無縁の市井の市民の立場に立つ人である。

もちろん、ケリーを擁護するといった派手なパフォーマンスや、「VOTE FOR GHANGE」といったポリティカルな活動は、個人的にはどうか?と思ってしまうが、その端緒はセプテンバー・イレブンを契機とするアメリカの立ち位置の否定であり、この点での活動や声明の一貫性はブルースらしい。

以前に、LPならきっと擦り切れているほど聴いているだろうと書いた『The Rising』も、911が大きなモチーフになっているが、ワールドトレードセンターに立ち向かう消防士を称える曲がある一方で、自爆に向かうテロリストの苦悶を静かに強く描いたと推測できるような曲もあり、そのバランス感覚は秀逸であり、ドラマタイズは感動的である。

そのブルースのニューアルバムのニュースが飛び込んできた。『The Rising』以来の新譜は『Devils & Dust』。最近はおおむね「いきなり発表」ということが多かったのだが、今回もそれに違わずほんとうに突然の、そしてうれしいニュースとなった。

プレスリリースやAP通信を主なソースとしたソニー・ミュージック・エンターテイメントの発表にとよると、

◎ブルースの通算19枚目となるアルバム『Devils & Dust』がUSで4月26日発売となることがオフィシャルのプレスリリースでいきなり発表になりました。
◎今回はEストリート・バンドとのレコーディングではなく、レコーディングメンバーは基本的にスティーヴ・ジョーダン(drums)とブレンダン・オブライエン(bass)。
◎1995年の『The Ghost of Tom Joad 』と似ている部分があるようで実際に数曲聞いたAPの記者によると『The Rising』と比べて、静かでよりアコースティックな作品でペダルスチールギター、ハーモニカ、バイオリンなども入り、民族的なアレンジメントもあり


とのことで、すでに収録曲も発表されている。いくつかは『The Ghost of Tom Joad』でもれたものであり、いくつかは『The Ghost of Tom Joad』ツアー中にできあがったものであり、またいくつかはイラク戦争を契機としてかかれたものということだ。

1. Devils & Dust
2. All The Way Home
3. Reno
4. Long Time Comin'
5. Black Cowboys
6. Maria's Bed
7. Silver Palomino
8. Jesus Was an Only Son
9. Leah
10. The Hitter
11. All I'm Thinkin' About
12. Matamoras Banks


ブルースによると、今回のアルバムは「かなりの部分は西部、特に田舎の生活が舞台」とのことであり、これを受け、各ソース(orソニー)は、『The Ghost of Tom Joad』と似たアルバムと称している。(このあたりの詳細は、AP通信によるUSA TODAYの記事で確認できる)

つまり、より内省的なアルバムということになる。AP通信でも触れられているが、ブルースは、過去、おおむね大きな活動のあとに、この手の内省的な(アコースティックないしはアンブラグド)アルバムを発表するということを繰り返してきた。『The River』のあとの『Nebraska』、『Born in the U.S.A.』のあとの『Tunnel of Love』、久しぶりのThe E-Street Band再結成後の『The Ghost of Tom Joad』、そして今回『The Rising』のあとの『Devils & Dust』。このクールダウンの関係は面白いし、これが巧みに実践できるアーティストはそういないだろう。

じっさいのところ『The Ghost of Tom Joad』の精神性は、過去の『Nebraska』や『Tunnel of Love』に比べてわかりにくいところがあり、ぼく自身も聞き込んでいるとは言いがたく、その点で新しい『Devils & Dust』のニュースについても判断が難しいところではある。
また、じつは、ぼくがブルースを好きな理由は、E-Street Bandに負うところも多く--とりわけMax Weinberg のドラム(※1)、そういった点で少し残念でもあるのだが、たとえそうであっても「Paradise」や「Racing In The Street」、「Drive All Night」といった内省的なバラードは依然として揺ぎなく、もし『Nebraska』のようなシャープさや、『Tunnel of Love』の優しさを魅せてくれるのであれば、そこへの期待感はずいぶん高まる。

現在、アルバムツアーは未定だそうだが、ブルースによると、「アコースティックなものになる。小さな会場を回りたいと思っている」とのことだ。最近は(SMEの署名運動などにもかかわらず)なかなか来日が実現せず、なかばあきらめ気味ではあるが、The Ghost of Tom Joad ツアーのリベンジもあるし、もし来日が叶えばぜひチケットを入手したいものだ。きっと、昨年のJackson Brownのソロ・アコースティック・ツアー以上に素晴らしいものとなるだろうなあ(※2)。


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(※1)「The Ties That Bind」とか「My Love Will Not Let You Down」のドラムワークはものすごく気持ちいいですね。あのくそ真面目ぽい顔からは想像できない迫力です。そういえば、振り返ってみれば、ぼくはドラムにひかれることが多く、たとえば、QUEENが好きなのはロジャー・テイラーがいるからだし、The Policeはスチュワート・コープランドだし、そしてカシオペアは神保彰だし。このあたりは、昨日のエアロの話とつながるのかね。
(※2)なかなかにリラックスした雰囲気でよかったです。旧聞ですがセットリストやコンサートのもようは、こちらの方がくまなくまとめていらしゃいます。考えてみれば1989年の「World In Motion Tour」以来、毎回ツアーに行っているんですよね。ジャクソン、今年はこないのかなあ。


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音楽のある風景っていいね。

2005-02-09 12:26:47 | ◎聴
保坂和志さんが『音楽のある風景』のファンだったなんて驚いた。感涙ものだ。いきおいあまってBBSにコメントなんかしてしまいましたよ。

『音楽のある風景』は、いちおうTVプログラムということになっているけど、ようは懐かしCD-BOXセット通販のインフォマーシャル(≒PV)だ。ご存じの人もかなり多いにちがいないし、あまつさえ「毎週見入っているよ」という人もいるかもしれない。
東京ならテレビ神奈川など、関西なら京都テレビやサンテレビなどのUHF局やCS局、BS局などあまり人目につかないチャンネルの人目につかない時間帯にこっそり放映されている。

洋楽・邦楽問わず、ポップミュージックからクラッシク、インストまでいくつかのCDが紹介されているのだが、ポップミュージックについてはおおむね6枚セットくらいのCDの主要な曲を、おおむねその曲が流行った当時のドキュメント映像をながしながら紹介していき、全曲一覧紹介ののち、いまからフリーダイヤルでお申し込みを受け付けます、となる。なんのことはない。

保坂さんによると、

「ヘイ・ポーラ」をバックに、ベトナム戦争で川に浮いている米兵の死体が映ったり、 弘田三枝子の「人形の家」をバックに三島由紀夫が自衛隊で演説している映像が流れたり、 最近ではわたしが一番楽しみにしているテレビ番組です。

tvkが見られる人は、一度見てみてください。
テレビって、低予算で作る方が絶対に面白い。タレントが出てきて、しゃべったりしないから。 それにしても、わたしは昔の音楽と昔の映像に弱い。。。。


ということで、わりと心酔されているように思える。
楽曲と映像のマッチングが妙に気持ちよく、かなり懐かしくゆったりした気持ちになるし、当時の世俗風俗がいとおしくすらなるのは、まさに彼が感じるとおりだ。

たとえばわたしが好きなのは、まず『MY GIRL』。「1950年代から1960年代の古きよきアメリカを代表するロックンロールやコーラスグループの名曲、そして懐かしい映画音楽まで合計140曲を収録」。つまりほぼオールディーズだ。「ロック・アランド・ザ・クロック」「オンリー・ユー」「ボーイ・ハント」「マイ・ガール」「アンチェインド・メロディ」から「エデンの東」「ムーン・リバー」まで。そして、曲紹介中の背景に、アメリカの同時代の社会現象、政治、風俗にまつわる映像が流れる。それは、ベトナム戦争での絨毯爆撃だったり公民権運動のワシントン大行進だったりするし、「ティファニーで朝食を」のフィルムだったりする。

もちろんこの頃にわたしは物心がついていたわけではないので、ほんとうは懐かしいわけでもなんでもないのだが、ここはやはり音楽というものの力技なのか、無意識のうちに埋め込まれたかもしれない「あの頃」感覚が覚醒する。とりわけ、ベトナム戦士やアポロ宇宙飛行士の映像を背景に、60年代の終盤に一気になだれこむ、「煙が目にしみる(プラターズ)」、「明日なき世界(バリー・マクガイア)」、「この素晴らしき世界(ルイ・アームストロング)」、「青い影(プロコル・ハルム)」あたりの編集は圧巻だ。

さらに、70年代を中心とした日本のフォーク アンド ポップスを収録した永久保存盤と銘打たれる『FOREVER YOUNG』。「青春の影」「 我が良き友よ」「今はもうだれも」「傘がない」「大阪で生まれた女」「22才の別れ 風」「なごり雪」「あゝ青春」「卒業写真」「『いちご白書』をもう一度」などが、それこそ68年のやや激しい映像から、オイルショックのトイレットペーパー・パニック、たけのこ族の映像までを背景に流れる(三島由紀夫の演説などもあったと思うが、年代的にもこちらは違うCD-BOXの映像だろう)。
こちらは、わたしが小学生くらいの頃の話で、じっさいにこれらのポップ・ミュージックやフォークソングを口ずさんでいたし、社会の映像もおぼろげながら記憶にあるものが多い。ひょっとしたら、最後の走馬灯を見るという感覚に近いのかもしれない。

いずれも、もし、これら映像とセットになったDVDなら、迷わずフリーダイヤル、というところだろう。

しかし、これは掲示保坂にも書き込んだのだが、いかんせんあくまでもCD通販のテレビショッピングであり、かつ同じ内容が何回もリピートされているため、無言で見入っていると、家人からは「またや」と厭きれられ、「あほや」と罵倒されることになる。

ずっと「でもなあ…」と、呟き続けていたのだが、この感覚がひとつの感覚として立派に世の中に存在することが立証でき、しかも、その証人が保坂さんであるという事実が強い味方となり、これからは堂々と忘我の時間を過ごせることになるのはなによりだ。どうだ参ったか。

ただ、最近は『浜ちゃんと。』(※)と時間帯がかぶっていて、いささか迷いどころではあるが。


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(※)『浜ちゃんと。』は、関西地区では、一週早いものが、日テレローカルの読売テレビで放送されています。


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通りすぎた、スーパーカー。

2005-01-25 19:41:21 | ◎聴
学生の頃はかなり音楽を聴いていたんだけれど、職に就いてからはなかなか時間を割くことができなかった。そのため、約15年ほどの大きな空白があり、国内外を問わずトレンドや状況などがまったくわからなくなっていた。もちろんその間も、たとえばジャクソン・ブラウンのツアーには毎回顔をだしていたし、The PoliceのコンプリートBOX(※1)を買ったり、浜田省吾やスプリングスティーンの動きはチェックしていた。でも、ただそれだけだ。つまり、過去に学習したことの枠を超えることはいっさいなかった。
気がつけば日本のチャートは、どちらが曲名かグループ名からわからないような新しいバンドでうまっていたし、米国のチャートはまるでHIP-HOPチャートのようになっていた。

したがって、すでに30回くらいは聞いている『スーベニア』のスピッツだって比較的まじめに聞きだしたのは『ハヤブサ』以降だし、くるりを知ったのは『ばらの花 』なので、彼らのそれまでの音楽活動期間からみれば、いまだごまめ階級といわれてもしようがない。

そして、スーパーカー。だいたい、スーパーカーを聴くような人は「中学3年のときにはじめて」といったような、将来に向け何かがみなぎっている人が多く、ぼくのように中年になって枯れてから経験するのは音楽関係者でもない限りレアではないかと思う。
スポーツジムでバイクに乗っているときに聴視した「AOHARU YOUTH」のPVがなぜかしっくりきたため、ぼくとしてはかなり冒険の部類に入ると思うのだが、ただそれだけの情報で思い切って『HIGHVISION』を購入してみた。異様な静謐感と電子的なビートではじまる「STARLINE」を聴いたときに、久しぶりに自分の音楽直感の自信が回復できた。この「まったく新しい切り口のYMO」のようなバンド、かといって決してデジタル一辺倒ではない生音の美しいバンドは、まぎれもなく懐かしいロックであり、凝縮しかけていたぼくの音楽価値観をふたたび拡散へとむかわせる大きな契機となった。「いやあ、やっぱりいろいろ聴いてみるもんだ」と。

そのスーパーカーがどうやら解散してしまうらしい。残念である。と、同時に解散といった、そんな枠組みを決めずゆるやかな共同体として続けるか、「散開」とかあいまいにしておけばいいのに、と思った。まあ、若い人たちだからしようがないか。そんな若くないか。

手元に残る彼らの作品は、
『HIGHVISION』
『16/50 1997~1999』
『ANSWER』(初回生産限定盤)
『WONDER WORD ep』(完全生産限定盤)

今週末にでも、『Futurama』を追加しつつ、3月のB-SIDE COMPLETE ALBUM『B』を楽しみに待とう。

と、WEBサイトをつらつら見ておったら、なんとくるりのドラマー、クリストファー・マグワイアがバンドを抜けていたではないかい(正確には「離れ」た)。こちらもそうとうショックだが、答えは2月末発売のシングルででるか。

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(※1)正確には、『Message in a Box: The Complete Recordings 』。基本的にThe Policeが発信したすべての曲が収められている。アルバムは全部LPとして所有していたため購入したCD。そもそも『Synchronicity』なんて、擦り切れて聴けなくなっていたからちょうどよかった。「擦り切れる」といえば最近はそんな心配しなくていいんだけど、もしLPだったら、『The Rising』『How to Dismantle an Atomic Bomb 』は確実に擦り切れているね。



中島みゆき。

2004-12-20 16:10:06 | ◎聴
10代から40代くらいの人が、好きなミュージシャンとして名前をあげるのがなんとなく憚られるひとりが、中島みゆきかもしれない。もっとも、プロジェクトXのおかげで、神格化が進み名をあげる抵抗感はなくなったかもしれないが、それでも、ある人たちは引き続き「暗い・重い」「演歌・怨歌」としてのファーストインプレッションの呪縛から解き放たれてはいないだろう。

しかし、たとえば多くの40歳は、きっと高校時代に、『臨月』(※1)や『寒水魚』(※2)をそうとう聴きこんだに違いないし、加藤逮捕の「世情」に涙をながし、「ファイト!」に打ち震えただろう。つまり、中島みゆきは、とてもいいのだ。もし、日本のポップミュージックの(楽曲作り)ベストを選ぶとすれば、確実に三指には入ってくるのではないか(※3)。少なくとも私は(最近は聴いていなかったものの)ファンであったこと/あることをカミングアウトしたい。

そして、いわゆる、皆が知るメジャーな曲に隠れた一曲にこそ、魂を揺さぶるものが多いのも事実だろう。たとえば、「地上の星」が大きなセールスを記録したのは、むしろ田口トモロヲのMCにフェイド・インされる「ヘッドライト・テールライト」であるに違いない(すでにどこかで、指摘がありましたかね?というか両面シングルでしたね)(※4)。

また、大きなセールスを記録した70年代でもなく90年代でもない、80年代にかけての活動でも、味わい深い楽曲を提出しているのもまた事実だ。(ただし、彼女は、70年代、80年代、90年代、00年代のすべてのディケイドで、チャートナンバー1の曲を生んでいる唯一のアーティストだから、80年代に低迷していたというわけではまったくない)

このことを端的に証明するのが最新セルフカヴァーアルバム『いまのきもち』(※5)である。もちろん、シングルカットされた曲も多くは含むが、注目したいのは、知っている人は知っているといわれるようなアルバム曲である。

それは、たとえば「玲子」「歌姫」「傾斜」といった、おそらくある程度のファンであれば肯けるような名曲であり、これらが、いわゆるいまふうに洗練された形にアレンジされている。オリジナルで強調して欲しかったようなやり方でうまく編曲されているものもあれば(「はじめまして」)、これはまあオリジナルの実直さのほうがいいよねえ(「玲子」「この世に二人だけ」)といったものもあるが、その曲と詞はあくまで力強い。いずれにしても、このアルバムを聴けば、だれもが80年代にさかのぼりたくなるのではないだろうか。

わたし自身は、もし知っているうちでいちばん「夜」らしい曲をあげよということであれば、スプリングスティーンの「Racing in the street」(※6)と中島みゆきの「夜曲」(『臨月』所収)になるだろうし、「誰のせいでもない雨が」(『予感』(※)所収)に注入されたエネルギーには感動するほかない(つまりこの二曲がわたしのベストということです)。

まあ、もちろん「夜会」はずっと継続されているわけだし、歌集や評論などもたくさん出ているわけだから、中島みゆきを不可触にしていたのは、わたしだけともいえる。よって、贖罪をかねて、この10年、TUTAYAにいってもけっして覘くことのななかった、中島みゆきのコーナーで、たとえば、『短篇集』、『EAST ASIA』、『夜を往け』、『中島みゆき』など、わたしの空白を埋めるCDを借りてみるようにします。


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(※1)『臨月』:あした天気になれ/あなたが海を見ているうちに/あわせ鏡/ひとり上手/雪/バス通り/友情/成人世代/夜曲('81.3.5)
(※2)『感水魚』:悪女/傾斜/鳥になって/捨てるほどの愛でいいから/B.G.M/家出/時刻表/砂の船/歌姫 ('82.3.21)
(※3)言いすぎ?まあもちろん一人でつくっているのではないにしても、3指とすれば、ほかだれだろう。桑田くらいしか思いつかないけれど。いまとなってはB'zも入ってくるのかなあ。結局、大御所ということになってしまって無意味か。ちなみに、歴代ミリオンシングルから判読しようとしたが、これもまたあまり意味のないことに気づきました。すいません。松本隆とか筒美京平なども範囲になりますからねえ。
(※4)最近、私が泣いたのは、第155回「列島踏破30万人 執念の住宅地図」 。阪神大震災のくだりですね。むしろ田口のMCと台詞に泣かされたのかもしれない。なんだかんだ言っても、いい番組つくるんだから頑張ってほしいですね。
(※5)『いまのきもち』:あぶな坂/わかれうた/怜子/信じ難いもの/この空を飛べたら/あわせ鏡/歌姫/傾斜/横恋慕/この世に二人だけ/はじめまして/どこにいても/土用波 ('04.11.17)
(※6)<>『Darkness on the Edge of Town』所収。
(※7)『予感』:この世に二人だけ/夏土産/髪を洗う女/ばいばいどくおぶざべい/誰のせいでもない雨が/縁/テキーラを飲みほして/金魚/ファイト!('83.3.5)


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ポップミュージックと「作者の死」。

2004-11-20 21:07:38 | ◎聴
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(1)『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB/U2』
(2)『ヨNCORE/EMINヨM』
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当BLOGには「No Music,No Life」というカテゴリーもあったりします。人なみに、音楽を聴くほうなので、いきおいでカテゴリーをつくったわけですが、じつは、音楽についてテキストを書くための「言葉」が見つからなく、幽霊カテゴリーになっている状態です。

たとえば、先日も、EMINヨMの『THE MARSHALL MATHERS LP SPECIAL EDITION』を聞いて、何か書こうか、とWZエディターを立ち上げものの、数行でどうしてもキーボードを叩く手が先へ進まず、それ以降、書きかけのまま放置していました。

『THE MARSHALL MATHERS LP SPECIAL EDITION』は、じつは、なんの前情報も調べることなく、CDショップの店頭でほとんど直感的に(正しくは衝動的ですね)手にしたもの。EMINヨMのディープなファンには「この俄(にわか)め!」と、絞められるかもしれないけれど、このアルバムが彼にとってどのような位置づけのアルバムで、どのような評価を受けているのか、といったことをまったく知らないということは、逆に言えば、かなりプレーンな状態で、この音楽に接することができることになるわけです。

そういうことなんで、なにか書けるだろうと思ったのだけれども、感想めいたことすら書き始められない。もちろんある一定の評価を受けているため、こりゃだめだ、ということはない。では、逆にどういいか、と考えたとき、これを評する言葉がなく、さりとて創り出すこともできず、はたと思考停止に陥ってしまった、というわけです。

今回のU2とEMINヨMもまったく同じです。U2については、ほとんど4年振りくらいとなるオリジナルアルバムでかなり待望していたし、ドラムのリズムカウントに続く、エッジのギターのカットと「Unos dos tres Catorce!」というボノの掛け声ではじまる、第一曲目の『VERTIGO』なんて、まさにクラっとなるくらいに、めちゃくちゃにかっこいいんだけど(ipodのCFの曲ですね)、「めちゃくちゃ」にとか、「かっこいい」といった、どうしようもない言葉しか、思いつけないわけです。きっと誰かに勧めるときだって、「いいからつべこべ言わずに一度聞いてみ」と、なんの説得力もなく話すしかなさそうです。

少し頑張ったところで、「10曲目の『ORIGINAL OF THE SPECIES』って、曲としてはまったく違うだけどドアーズの『touch me』の雰囲気があるのはなぜなんだろう?」といったようなことで、論を進めことができるかもしれないけれど、なんだかこれって音楽の本来的な楽しさじゃない。

もし、楽譜が読める専門家ならかなり事情が違っていて、読むだけで音が聞こえそうな解説もできるかもしれないけれど、そうでもないかぎりは、じつは、アーティストの生い立ちとか日常の言動とかゴシップや外野と、それを前提とした詞について語るしかないんですよね。

たとえば、『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB』に収められている解説をみてみても、その10枚程度の原稿のうち、約3/7はバイオグラフィ、2/7はボノ生い立ち、1/7は生い立ちのうち家族の関係がこのアルバムのいくつかの曲に詞としておよぼした影響、1/7は大人になった(と筆者が考える)U2の今後、ということで、じつはメロディについてのノートはほとんどない。少なからずある、音へのボキャブラリーはあまりにも乏しい。

EMINヨMにしても、たとえリズムとメロディーに快があったとしても(『ヨNCORE』には不快も満載)、現実的にその評価のおおむねはlyricにならざるをえないし、そのlyricを解釈するためには、わかりにくい英語と『8Miles』で描かれたような彼の人生とキャラクターを知っていることが必要条件になる。

これはポップミュージックはつまりは「作者の詞(lyric)」であるということを意味することになる?そうであれば、ポップミュージックに「作者の死」はありえない、ということになる。
しかし、その歌が多くの人の共感を得るための理由の多くはまずリズムとメロディありきだし、音楽に国境はない、という考えが大勢だ。

作者なんてわからなくても、いい曲はいい。しかし、その曲の良さは、作者抜きには語れない。でも、そんな語りでは、まったくプレーンな人に楽曲のほんとうのところの良さは伝えきれない。
これは、いささか難題だ。世にあまたある音楽評論、音楽雑誌には回答があるのだろうか。なんらかのカルチュラル・スタディーズに答えは用意されているのだろうか。もしくは、すでにバルトの評論があったか。少し情報収集が必要ですね。


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なんだか、試作のようなややこしい話をだらだらしちゃいましたが、U2とEMINヨMの新譜は、わたしがいうまでもなく世界中の人たちの待望に応えたものになっています。またアマゾンではわたしのアホな悩みを吹き飛ばすようなコアなファンの屈託のない解説がレビューでたくさん公開されていますので、ぜひ確認してみて得心してください。

『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB/U2』
『ヨNCORE/EMINヨM』

双方とも、さまざまなバージョンがありますのでWEB&店頭で迷ってください。ちなみに、わたしが買ったのは、U2:国内限定版CD+DVD、EMINヨM:ボーナスCD付輸入盤。U2はともかくEMINヨMは、やっぱり対訳付きを買うべきでしたね。


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くるくるブライアン。

2004-09-23 23:55:08 | ◎聴
(1)くるくる節 Qururi Live Tour 2004 Documentary Film/くるり
(2)ROOM SERVICE/BryanAdams
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FairLife(水谷公生、浜田省吾、春嵐 +岡野昭仁-ポルノグラフィティ)のシングル『永遠のともだち/砂の祈り』を買って、ついでに浜田省吾の昔のアルバムのリマスター・リミックス("MY OLD 50'S GUITAR "が急に聞きたくなって)を買おうと思ってHMV渋谷に行ったんだけれども、いろいろ発見して、上記に予定変更。

(1)は、結構悩みましたが、デモ映像をみていて『グッドモーニング』の弦がなったときに、鳥肌がたったので買い物カゴに。くるり については、『アンテナ』を相当聞いているけど、本質的にはわかっていない。一般的なファンの評価とかもあまり気にしていない。でも去年入った、ドラムのクリストファー・マグワイアさんって人のドラムが、ジャクソン・ブラウンのバンドのラス・カンケルのような力強さがあって、まぎれもなくロックンロールしているところが良いと思っています。
(2)ブライアンは、前作『On a day like today』を、けっこう気に入ってたんだけど、最近は『18 til i die』なども、あまり売れなかったらしく、彼がショックを受けているという話を聞いていたので、売れたのかなあ、つぎはどうなるのかなあ、と思い続けて6年ぶり、だそうです。あいだにサントラも出していたけど結局聞かなかった。少し聞いてみると、愚直なロックンローラーにもどったかな、という感じですね。いいんじゃあないでしょうか、基本的に屈託のないシンプルなロック、好きだし。