そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

3月30日(日)講演と宴会

2014年03月30日 | 公開

  姑殿と同居人は、お彼岸に行けなかったからと墓参りに出掛けた。あちらで娘とも落ち合うらしい。桜御飯を炊いて、おにぎりにして持たせた。さて、私は、E区にある公園内施設で催される「花の宴」で講演を頼まれている。

  E区は東京都の東端なれば、日本橋でメトロを乗り換える。いったん改札を出て、「丸善」から、このたび中京地区でのご就職が決まったTさんにお祝の品を送った。長らく苦労されてきたが、よいところに専任が決まり本当によかった。どうかお使いくだされ。

  講演の1時間ほど前に会場に着いたが、雨がひどかった。公園内の桜が美しいが、あいにくのお天気である。講演は90分で質疑も受けた。90分は、大学教授なら誰でも、目をつぶってもきっかり喋れる時間である。まあ、お客?の顔を見て、標準を団塊の世代ないしその上に定めた。

  しかし、金日成に似てるだの、柳亭痴楽に似てるだの言うと、なんであそこまでウケるんだろう? ラチもない話ですなあ。

   来聴者の中に短歌をお詠みになる先生がいらっしゃった。御作を披講したが、ついでに自分も腰折れを一首詠む。「雨中花」の題にて。

      雨もよは泣きの涙か たちまちに開けし今日の花のゑみ顔 有若亡

  呈茶などがあり、その後宴会が始まる。床は烏丸光廣卿の古歌短冊だった。茶杓の筒を拝見、「やまでら」とのご銘である。高校の茶道部を指導してくださっている先生に黒柿の茶杓を差し上げたら、銘を付けてと頼まれている。出雲国の黒柿材だから、ここはひとつ、「やへがき」とするしかないように思っておるのだが、如何?

  お土産などを頂戴して帰宅する。今日は入籍、明日は挙式した結婚記念日である。娘が祝いにワインをくれたとのこと。結婚した年のワインである。なかなか気のきいたことを考えるものだ。「たのしみは春の桜に秋の月夫婦仲良く三度食ふめし」という、万載狂歌集の1首が添えてあった。さすが、国文学者と国語学者の間に儲けた子どもだけのことはある。保育園児にして上代特殊仮名遣いをすべて覚えていたという、特殊な子だったからな。  家中、日本酒とワインだらけになった。当分酒には困らないぞよ。