史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

「庄内人名辞典」 財団法人致道館博物館内庄内人名辞典刊行会

2012年08月26日 | 書評
鶴岡の致道館博物館に行った際、そこのショップでこの本を見つけた。値段は三千五百円なので決して安くはないが、辞典として見れば、かなりお買い得である。庄内出身者のみならず、多少でも庄内と関わりのあった人物を、時代にかかわらず網羅している。庄内地方(現在の鶴岡、酒田にまたがる地域)が、長年にわたって多種多様な人物を輩出してきた証でもあろう。
鶴岡市内の寺院の墓地を回って気付くことは、儒者とその一族の墓が多いことである。藩校致道館を中心に学問が盛んであったことは間違いないが、学問を重んじる気風が長きにわたって根付いていたことを思わせる。
庄内藩は、会津藩、桑名藩と並んで有力な佐幕藩であった。庄内藩でも佐幕か勤王かで、藩を二分する騒動があったが、結局、佐幕で統一され、以後、藩論がぶれることはなかった。特に戊辰戦争では庄内藩兵は無敵の強さを誇った。常に領外で戦い、藩領まで攻め込まれたのは鼠ヶ関と関川までである。東北諸藩の中では比較的洋式化が進んでいたことはあるにせよ、庄内藩の精強さはどこから来ているのだろう。うまく説明できないが、学問を重んじる気風と兵の強さは無縁ではないように思う。

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