本書は「脱藩大名の戊辰戦争」の姉妹編である。副題に「剣士伊庭八郎の生涯」とある通り、本書の主役は伊庭八郎である。脱藩大名こと林忠崇の戊辰戦争は、常識破りの奇行であった。伊庭八郎のとった行動も、林忠崇ほどのインパクトはないにしろ、我々の心を捕えて放さないものがある。
箱根における戦闘で、伊庭八郎は左腕を失う。この負傷で戦闘意欲を失うどころか、益々戦闘的になっていく。美加保丸で榎本艦隊とともに北を目指した。しかし、美加保丸は銚子沖で遭難し、伊庭八郎らは、命からがら上陸した。八郎はこのアクシデントにもくじけず、箱館行きを切望する。隻腕となった彼が単身潜行するのは不可能であった。彼は「北走の望み全く絶え果てば、必ず自尽すべし」(尺振八が伊庭八郎を救いたる始末)と覚悟を決めていたらしい。周囲の知人友人が寄ってたかって八郎の箱館行きを支援した。尺振八、中根香亭、本山小太郎らの献身的な支援により、彼は榎本軍との合流を果たす。伊庭八郎は「眉目秀麗、俳優の如き美男子」だったといわれるが、女性だけでなく、同性からも慕われる好い男だったのだろう。
伊庭八郎は、明治二年(1869)五月、木古内における戦闘で被弾し、その傷がもとで戦死した。立ち会った田村銀之助の証言によれば、薬を飲み干して眠るが如く落命したという。命よりも名を惜しむという美的感覚はこの時代特有の価値観かもしれないが、現代人の心を揺さぶるものがあるのも事実である。
箱根における戦闘で、伊庭八郎は左腕を失う。この負傷で戦闘意欲を失うどころか、益々戦闘的になっていく。美加保丸で榎本艦隊とともに北を目指した。しかし、美加保丸は銚子沖で遭難し、伊庭八郎らは、命からがら上陸した。八郎はこのアクシデントにもくじけず、箱館行きを切望する。隻腕となった彼が単身潜行するのは不可能であった。彼は「北走の望み全く絶え果てば、必ず自尽すべし」(尺振八が伊庭八郎を救いたる始末)と覚悟を決めていたらしい。周囲の知人友人が寄ってたかって八郎の箱館行きを支援した。尺振八、中根香亭、本山小太郎らの献身的な支援により、彼は榎本軍との合流を果たす。伊庭八郎は「眉目秀麗、俳優の如き美男子」だったといわれるが、女性だけでなく、同性からも慕われる好い男だったのだろう。
伊庭八郎は、明治二年(1869)五月、木古内における戦闘で被弾し、その傷がもとで戦死した。立ち会った田村銀之助の証言によれば、薬を飲み干して眠るが如く落命したという。命よりも名を惜しむという美的感覚はこの時代特有の価値観かもしれないが、現代人の心を揺さぶるものがあるのも事実である。
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