夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

退職後の夢ひとつ

2012-09-15 05:52:57 | 創作(etude)

その1 「人生に感謝」

とりあえずは
60年間
大した病気や
事故もなく
起伏のある
峠のごとき日々を
乗り越えてこられたこと
丈夫な身体に
産んでくれた
母親に
ありがとうを言おう

そして
結婚して
37年間
気象現象のような
変化のある日々ではあったが
じっと耐え
私を支え
ともに歩んでくれた
カミさんに
感謝をしたい

もう一つ
こんなに
自分の娘を
褒めてはいけないとは
思いながら
わたしたちの
生き方や
いのち
無限なる
可能性と
希望を
具体的に
指し示してくれた
わがむすめたち
ふたりに
感謝しない訳にはいかない

なんたって
障害の等級では
一級品の判定を受け
そういう状況でも
長女は36年間
次女も34年間
元気で
私達両親や家族に
役割や
生きがいを
与えてくれた
あるときは
きみたちふたりの
年金が
家計を支えてくれた
そういう時期さえあったのだ

今思えば
この現在の
親の職業を
盛り立ててくれたのは
ほかならぬ君たちだった
いまでは
別々の暮らしを
始めているが
それは
これからきみたちが
社会の根底に必要な
福祉の価値の
中核基盤として
大切な具体生活を
確立するために
必要な実践なのだ
親たちが
地球から消滅した
その日でも
君たちが生き残って
私達両親の願いを
後世に
証明して
くれるはずのことなのだ

その2・・・ということを前置きして

私は
ある日
会社に
行く必要がなくなって
一日を
不定期で
予測すらできない
まったく
個人の意志で
過ごせるという
人生で
はじめて
しがらみから
脱却した
「自由」を
獲得できるのだ
その日のことを
考えているだけでも
どんなに幸せかしれない
たとえ
年金が少なくて
きょうは
お茶漬けだけだとしても
ぼくは
決して
愚痴など
云いやしない
気の済むまで
なんでも
できるのだ
いや
気の済むまで
なんにも
しないのだ

自動車だって
パソコンだって
携帯電話だって
みんな
うっちゃって
ぼくは
お日様とお月様に
身を預けて暮らすのだ
自動車に乗っているときは
決して
見たり聞いたり
できない世界や
暮らしが
今は
自転車や
徒歩で
見聞きできるのだ
匂いだってそうだ
焼き鳥屋さんの
パン屋さんの
惣菜屋さんの
珈琲屋さんの
路地裏の
人々の
日々の暮らしの
ありのまま
それが
実感できる

その3・・・「楽しみ」

自分の
願いとして
ささやかな
趣味の世界を
持ちたい
その環境は
八畳程度の
二階建て
一階部分には
畳敷の
足の下ろせる
長椅子がある
その椅子は
囲炉裏を
囲っている
囲炉裏には
灰がタップリと
蓄えられて
灰均しと
火箸
三徳という
三本足の
鉄瓶置き
その上には
鉄瓶がある
もちろん
二階に向かって
煙抜きの空間があり
その二階部分からは
自在鉤が
孟宗竹に
包まれて
下りている
その自在鉤に
鍋や
鉄瓶が
いつでも掛けられる
天井に
囲炉裏を囲むように
四角い木の
吊り囲いがあって
その木枠には
わらで編んだ
しめ縄の如きカバーが
施されている
ここに
魚や
肉など
燻製にする
仕掛けがある
二階部分には
もう一つの
仕掛けがあって
囲炉裏で煮た
大豆で
味噌を作る
機械にかけたあと
三角錐に形を整え
藁縄で
十字に縛って
吊るすのだ
すると
囲炉裏の煙が
味噌玉を
乾燥に導き
自然に
味噌が
発酵して
ひび割れしてくる
そのひび割れた段階で
焼酎と一緒に
いただく
酒の肴なのだ
囲炉裏には
もう一つ
魅力があって
遠赤外線効果である
灰の中に
渋柿や
芋類

かぼちゃ
なんでも
突っ込んでおけば
火を焚いているうちに
上手に
焼きあがる
これがまたなんとも
樂しい瞬間である
囲炉裏は
優れて
調理器具なのだ
贅沢を言えば
もう一つ
囲炉裏以外に
必要なもの
それは
竈(かまど)である
この竈には
木をくべる穴が
二つと
鍔窯(つばがま)を
乗せる穴
鍔窯で炊いた
ご飯は
窯の底にできる
こげ飯
そのおこげで
オニギリを
握って
囲炉裏に置いた
半円形の
ワタシという
焼き魚や
オニギリを載せる
脚付きの
焼き台がある
薪の細い枝を
二本敷き
その上に
味噌や
醤油
塩をつけた
オニギリを
載せれば
決してくっつかない

この囲炉裏の間が
完成すれば
あとは
食材と
お酒の調達が
次の宿題
漢詩にあるというが
幸せになる方法
「三十分間
幸せでいるには
酒を飲めば良い
三日間幸せでいるには
結婚をすれば良い
八日間幸せでいるには
豚を殺せば良い
一生幸せでいるには
釣りをすれば良い」と
だからというわけではないが
久しぶりに
釣り道具を
引っ張りだして
渓流釣りに出かけよう
春先の渓流は
本当に幸せだ
魚も釣れるが
山菜も抱負だ
ウド
ウルイ
シドケ
コゴミ
アケビの芽
ゼンマイ
タラノメ
アイコ
コシアブラ
などなど
釣れた魚を
川で腹を裂き
腸を捨て
血合いを取って
塩や味噌でまぶす
こうして
帰宅すれば
その日の
夕餉が
豊かな
ひとときを
迎えることができる
豊漁であれば
古き友を
招待して
他愛ない話を
酒を酌み交わしながら
腹を抱えて笑うのだ
そんな
日常を
これから作りたい

















「時間の過ごし方」