夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

温泉にて

2012-09-08 06:50:42 | つれづれなるままに
 津軽の温泉は銭湯も姿を消すほどに数もあり、更に大浴場の他に露天風呂、サウナも常備されていて350円以内である。銭湯などでは、温泉に対抗するなど正直思えないのが素人でも分かる。しかし、問題はそれを利用する津軽の人々のマナーの悪さであり、感謝の薄さであるといつも思う。
 私の生まれた在所には鉱泉という温度の低い銭湯はあったが、数は少なく銭湯の数が俄然多かった。そういう意味では、東北一体のこの温泉郷を見れば羨ましさを通り越して、天の恵みにありがたさを感じる。なんといっても寒い冬などは家庭風呂と違って、体の内側から温まって、つい深い眠りに入っていくほどに湯冷めしない効果もある。こんなにたくさん温泉があると、今日は何処の温泉に入ろうかと迷うほどであり、同じ地域の住民が、それぞれに愛する外風呂を持っている。熱い温泉が好きな人、ぬるめの温泉が好きな人、もちろんその温泉の雰囲気で昔からの馴染みの会話の交わせる温泉がいいという人だってたくさんいるだろう。
 私の常時通う温泉は、自宅から車で10分かからない場所の「あたご温泉」という。まだ10年経たない新しい温泉で、夜行けば弘前市内の夜景や岩木山の山容が間近に仰げる環境にある。そして料金も大人350円と手軽である。なんといっても従業員を始め、温泉の女主人の笑顔が最高に良い。
 この温泉の特徴は大浴場が中央にあって、その奥にはもうひとつ、水風呂があることだろう。水道水ではなく、多分温泉と同じ泉質の水で、ぬるぬる、つるつる感がある。温泉はやや熱めで、多分42℃位あるように思う。身体が冷えているときは、入るのに少し身体にお湯を多めにかけてからでないと、入るのに辛い。つまり息を詰めて入らないと入れないような暑さでもある。実家の友人が遊びに来た時、件の温泉に連れて行ったが暑くて足首しか入れなかった。
 さて、この文章を書こうと思ったのは、温泉紹介だけではなく最近奇妙な出来事があったからである。冒頭に温泉客のマナーの悪さについて触れたが、たとえばこうである。大の大人が、自分の使った温泉常備の風呂桶や腰掛けを使用しても片付ける人が少ない。更には扱いが乱暴な人がなんと多いのか・・・。乱暴に洗面器を投げたり、衣類かごを音の出るほど投げつける人すらいる。温泉から上がって脱衣室を歩く時も、体を拭かないで歩きまわるなど親の躾も疑わしくなる。子供が水中眼鏡を持ってきて、水風呂で泳ぎまわる。これをそばにいる親が容認している。静かに温泉に浸りたいと思ってもそれがかなわないので、仕方なく、静かにしなさいと注意することになる。
 そんな温泉に夜少し遅くに入りに行った。そしてこんなできごとに出くわした。銭湯内には3人ほどしか客はいなかった。洗面器やら椅子が使用していないカランの前に沢山片付けられずあった。その時、一人の大人がその全部を片付け始めたのである。今まで私は、しょうがない大人たちだと思っていたが、私はただ自分の使ったものしか片づけたりはしなかったのである。その点この人は、たしかに一つの意識を持って、行動をしているのであった。言葉で注意する以上に、この行動を見れば誰でもそれに従うのではないだろうかと思った。心の中の津軽人に対するイメージが一つ変わった瞬間だった。