音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

アデルがグラミー賞主要部門を独占 ~第54回グラミー賞~

2012-02-15 | ライヴ・イベント・ニュース


アデルがグラミー三冠を独占した。今年のグラミーはかなりアデルで硬いと言われていたが、それでもアワードは蓋を開けてみなければ分からないのが常である。私も「宣言」し忘れてしまったが、アデルの三冠は確信していた(後出しジャンケンになってしまったが・・・)。アデルのアルバムレビューに関しては近々書くとして、折角なのでグラミー賞に関して触れてみたい。

音楽のオスカーと言われるからにはオスカーよりは歴史は浅い。よくオスカーには毎年、表舞台ではないところでの駆け引きがあり、受賞作品や人物に関しても色々物議を醸しているが、グラミーの方は決定してしまうと余りその後はガタガタ言われないのは、ミュージシャンだからなのだろうか。それとも私の認識が浅いのか? 例えば1968年はビートルズの「サージェントペパーズ~」がアルバム賞を受賞している。その2年前に「ミッシェル」が楽曲賞を取っているが、これはコンポーサーが対象だからレノン&マッカートニーである。ビートルズは1965年に新人賞も取っているが、いずれにしても、主要四部門(レコード、アルバム、楽曲、新人賞)ではこの3つしか賞を取っていない。アデルは今年一年でそれを達成してしまったし、彼女は2009年に既に新人賞を取っているので、主要四部門を制覇。ビートルズを越えていることになる。それをいうのなら、1981年のクリストファー・クロスでこの4部門を全部獲得するという史上初でその後、全く例がないことをやって退けた。4部門独占というのは当然、新人賞の年にしか達成することができなく訳で、そのチャンスは人生で1回だけ。その後四冠にもっとも近づいたのは、ご存知、2003年のノラ・ジョーンズ。但し、この時の「楽曲賞」は「レコード賞」と同じ”Don’t know Why”でノラ・ジョーンズの歌った曲(前述の「ミッシェル」と同じでコンポーサーに与えられるので、表彰はジェシー・ハリス)だから、略、四冠と同じ価値である。また、1970年代まではやはりアメリカのアーティストが強く、黒人系はロバータ・フラック、スティーヴィー・ワンダーなど連覇があるが、やはり白人のシンガーが圧倒的に多く、70年代後半からバンドの受賞もボチボチ現れた。また、ポップ音楽が不作と言われた80年後半から90年代には、それこそ大物ミュージシャンの功労賞的なものが多かった。殿堂入りみたいなものだ。オスカーに比べると「世相を反映」する要素が少なく、受賞アルバムからその年を連想することが出来ないのも残念で、結局、その「一瞬が華やかな祭典」なのである。

だから心配なのが、受賞の後である。前述したクリストファー・クロスがそのいい例である。ノラ・ジョーンズは固定ファン層の多い領域だからそこそこ売れているが、やはりその後はあの受賞作を超えるアルバムは出していない。というより、特にアルバム賞に輝いたアーティストのその後は厳しいようだ。アデルは、果たしてこの先、どんな活躍があるのか、それとも、このまま伝説で終わってしまうのか? 奇しくも、ホイットニー・ヒューストンの訃報の翌日、主役の座を引き継いで、彼女の様な本物のエンタティナーに成れるのか? 私はそこに太鼓判を押すほど、自信も責任もない。


アデルの映像


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。