電子版産経ニュースに、「幕末から学ぶ現在(いま)」という連載記事を山内昌之東京大学教授が書いていますが、最終回として、「偉人は何故生まれるのか」を記載しています。 以下その文です。
幕末維新のときに多数の人材が輩出して、良きリーダーが日本を指導したのに、現在に日本は何故に指導者に恵まれないのかという声をよく聞く。
危機のときにしかるべき人材が出た幕末維新において、封建的差別の苦しみを経験していた下級武士たちの間から西郷隆盛や大久保利通や勝海舟のような逸材が出た。それは、差別や貧しさが人の逆境をプラスに転化させるエネルギーを生んだからである。
それに引き換え、現在の日本人は、先人の苦しみや犠牲の上に築かれた繁栄や平和を当然視し、その維持や強化のために自己犠牲や負担を背負う気概が見当たらない。
高齢者は恵まれた年金や保険を当たり前のように考え、若い世代の負担や思いやることもないのだ。消費税引き上げや医療費窓口負担の増加などを拒否し、恵まれた自分の老後の既得権を少しでも手放すまいとする姿は、おぞましいほどである。若者たちの気概をどうこう言う前に、私を含めた高齢者たちは、もっと自主自存に徹して、次に来る世代の負担を少しでも軽くするように努力すべきではないだろうか。
なかなか厳しいことが書かれています。
今、「日本海軍はなぜ誤ったか-海軍反省400時間の証言-」という本を読んでいます。この本は、NHKスペシャルで放映された内容についての3人(澤地久枝、半藤一利、戸高一成)の鼎談で構成されています。そして、半藤一利の会話として以下のことが書かれています。
「戦争で310万人の人が虚しく死んで、亡くなって、その犠牲の上に戦後日本はできた、などということ盛んに言われてましたけれど、その犠牲者のことを、日本人は本当に思っているかと言えば、私はあまり思っていないと思うですよ」
私達は、久しく平和で繁栄した戦後日本に安住しすぎたのでしょうか。
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