山から帰ってくると
体は疲れているのに
もう次の山に行くことばかり
考えている
歌もフランス語も
遠い昔のことになってしまった
地図やガイドブックを広げ
所要時間を計算し
「若い時ならともかく
今の体力では無理だな」
と溜め息をつき
「そうだ体を鍛え直さなきゃ」
と運動を始め
すぐに息が上がり
朝からこんな雨の日
枯れた林の上の青空を思って
鬱々と過ごす
家族に呆れられながら
山を歩いているか
山を夢想しているか
それなのに夜は
辿り着けない夢
帰り着けない夢ばかり見ている
今この瞬間も世界のあちこちで
無抵抗の人々を
軍隊が跪かせているというのに