友人と久しぶりにランチを共にして(上野毛の「神戸屋レストラン」、落ち着いていて明るくて良い店だ。美味しいパンは食べ放題だし)、「車でどこかに行こうか」というので、ぼくの大好きな場所、保土谷の英連邦墓地に誘った。第三京浜に乗ればすぐだ。
あそこは、舞岡の谷戸と並んで横浜でぼくの最も好きな場所だ。そして、ここよりも美しい静かなたたずまいの墓地は日本には無いのではないかと思われる(あったら教えてほしい)。
山手の外人墓地とは違う。あそこはお墓がごちゃごちゃとあって、観光客がたくさんいて、また行こうという気にはなれない場所だ。英連邦墓地は時々訪れたくなる。心を静けさでいっぱいにするために。
ぼくが描写するより、写真を見てほしい。ぼくには墓標の傍らの赤いバラの一株の美しささえ書き表す力はない。
(写真は7月初めのもの。いまは薔薇はやや枯れている。)
主に第二次大戦の時に日本で亡くなったイギリス連邦軍の兵士が埋葬されている。といっても、ほとんどは戦闘ではなく捕虜収容所で亡くなったものらしい。
入ってすぐに一番広い墓所。その奥とその右手に少し離れて2つずつ小さめの墓所。出身地域によって分かれているようだ。すぐ東を横横道路が通っているのだが、周囲の森に音が吸収されるのかほとんど気にならない。まるで別世界のようだ。芝生は普段から手入れが行き届いているが、昨日は雨に濡れていっそうみずみずしく美しかった。
墓石の金属板には、階級、氏名、所属部隊名、死亡時の年齢と、部隊のシンボルと思われる紋章が刻まれている。主に20代前半。いちばん若いものは19歳。
一番下に、すべてにではないが、死者に手向けた遺族の言葉。そのうちの一つだけを紹介する。初めて来たときは、これらの言葉を読んでいるうちに思わず泣いてしまった。
A BEAUTIFUL STAR SHINES OVER THE GRAVE OF ONE WE LOVED BUT COULD NOT SAVE.
いつもここに来るとフォスター美しい四重唱曲「わが恋人の眠るところに」が心の中で鳴るのだが、昨日はなぜかアズナブールの「青春という宝」が鳴っていた、友人はアイルランド民謡の「ダニー・ボーイ」が鳴っていたようだ。「また、四季折々に来たいね」と言っていた。
この場所については長い長い文章がが書けそうな気がするが、センチメンタルになるからやめておこう。