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KIHAKU's blog

日々の記憶
建築家 筒井紀博のブログ

スケッチの考察

2007-01-17 11:58:46 | 建築
プロジェクトが始まる初期段階では、諸条件のヒアリングが終了した頃から手の作業が多くなります。

コンセプトを明確にし、自分の脳の中に構築されつつある空間のイメージをスケッチを通して吐露する、
このスケッチを描くことによって、より明確なイメージを構築していきます。

たった1本の線が描けず何日も悩むこともあり、デジタルなツールに比べて不自由なことも多いです。
しかしこの不自由さ、アナログ感が人の五感へさまざまな摩擦を生じさせ、そこで熱を帯び、脳を刺激します。

この時がとても楽しい。

押し寄せる無限な線束から1本の「その線」を見いだせた時の歓びは何ものにも換えられないものがあります。
と、同時にその理想の線を実現させるためには膨大な苦痛や作業が伴うことを覚悟した上で、勇気をもってその線を描いていかなければなりません。

その勇気は自身の建築に対する想いの他にも、クライアントを始め、周囲の人々の想いによって影響を受ける意外と繊細なものなんですよね。

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