toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「山田錦の身代金」 山本薫

2021年11月19日 | 読書日記
いきなり冒頭で混乱してしまった。

「黄金色に輝く穂波の中、(中略)周囲の淡緑色の(後略)」
一体この田んぼはどう言う状況なのか?
収穫時期間近だと思ったらまだ青々してるのか・・・?
ミステリーはどこが伏線になっているか分からないから注意深く読もうと思ってるのに出だしからこれだと大変だなぁ・・・と思いつつ読み始める。

読み進めるとやたらにおかしな点が目に付く。

・その1
山田錦以外の酒造好適米は確かにまた追い付いていないかもしれないけれど、「足元にも及んでいな」は言いすぎでしょう。

・その2
警部の直美が一般人に対して横柄な口のきき方するのは不自然すぎる。勝木主任も口が悪すぎ。事故を目撃した警官も被害者の救助をせず加害車両を追跡しようとするし、兵庫県警はどういう教育をしてるのか?

・その3
醸造用アルコールの添加は三増酒のことを言っているのだろうけれど、大吟醸など特定名称酒に味の調整などの目的で添加されているものまで否定するのはやりすぎ。醸造用糖類は全く不要なものだけど、醸造用アルコールは意味があります。

等々・・・・・。

他にも日本酒の蘊蓄を書きたかったらしく、そのために色々不自然なところが色々ある。
でもその辺りのことには目をつぶるとミステリーとしてはなかなか良くできている。

口のきき方を知らない直美だけど、なかなか鋭く完全犯罪になりそうだった殺人事件を見抜くし、流離いの杜氏は登場するし・・・登場人物の個性やサイドストーリも楽しめる。





幻冬舎文庫
コメント
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