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特異小惑星2012DA12

2013-02-14 23:04:18 | 
2月9日の朝日新聞


日本スペースガード協会のスペースガード観測センター長の中野主一さんから協会役員(管理人も役員)
あてに2月7日、次のメールが配信されました。

●小惑星ニュース JSGA Web News No.159 -アポロ型特異小惑星2012 DA14の接近
今年、地球に大きく接近する小惑星の予報を紹介(JSGA Web News No.156)したが、その1つ、
特異小惑星2012 DA14が2月15日UTに地球に接近し,7等級まで明るくなる。

 この小惑星は、1回の衝のみの観測であったため、接近の際の予報にまだ大きな誤差があったが、
その追跡観測が2013年1月9日と11日にラスカンパナス天文台の6.5m望遠鏡によって行なわれた。
このとき、小惑星は、まだ23等級の暗さであった。
この追跡観測のおかげで、小惑星の軌道は下のとおり大きく改良された。ただし、地球へ大きく接近
するために、接近時の予報位置には、まだ、多少の誤差があることに注意していただきたい。
Mo= 67.7279 Epoch = 2013 Feb. 7.0 TT
ω = 271.1329 e = 0.108450 H = 24.4
Ω = 147.2155 (2000.0) a = 1.002133 AU G = 0.15
i = 10.3546 n゜= 0.9824630
q = 0.893451 AU P = 1.00 年
2 oppositions orbit from 193 observations, 2012-2013.
上の軌道要素でわかるとおり、この小惑星は、ほぼ、地球の軌道上を動く天体で、人工物とも考えら
れるが、推定される直径は約45mで、人工天体としては、少し大きく自然の天体と思われる。

●地表面への接近
 その地球への接近状況を下の図に示した。

小惑星は、地球の南極近くで接近を始め、2013年2月15日19時24分頃(=16日04時24分JST)に
スマトラ島近くの海上(λ= 97゜50'、φ=-06゜37')で地心に0.00023 AU(地上高約2万7700Km)
まで接近し、対地心速度7.8Km/sで移動する。
この際、地心で見た1日の移動速度は地球を3周できる1134゜に達する(地上面からの移動速度は、
距離が近いため、さらに大きいことに注意)。
最接近時の地上高2万7700kmは、気象衛星ひまわりなどの静止衛星の軌道までの距離
(地上高約3万6000km)より近いところを通過するが、人工衛星に衝突する可能性は少ないという。
まして、地球との衝突は全くない。

2012年2月にスペインで発見されたこの小惑星は、368日周期の地球に近い軌道を持つ。
今回の接近通過後は、地球の重力の影響で公転周期が317日に縮まるとみられる。

●位置予報
 幸いにもこの接近は、我が国でその全貌を明け方の空に観測できる。また、その光度も7等級まで
明るくなるため、双眼鏡で空を移動するこの小惑星をとらえることができるだろう。
小惑星が7等級と明るいのは、2月16日朝、05時JST前後の1時間のみとなる。
接近小惑星が7等級まで明るくなることはめったにない。ぜひ、観測して欲しい。
 美星スペースガードセンターでの位置予報を下に示す。(詳細は日本スペースガード協会のHPを参照)
小惑星は、地球に大きく接近するために美星から離れた他の地域では、この予報を使えない。
小惑星を観測するときは、5分~10分ほど時刻の進んだ位置で待ちかまえれば、しばらくすると、
南側からその視野の中に入ってくることに気づくだろう。
ただしその動きは1分間に1度、つまり満月の見かけの大きさを30秒で横切ってしまうほどの速さである。
日本では、16日未明3~4時ごろに南西の空に現れ、北西の空高く上ったところで夜明けを迎える。
当日の薄明開始時刻は4時56分(札幌)、5時2分(東京)、5時38分(福岡)となっている。

出典:
日本スペースガード協会HP
アストロアーツHP