2020年12月6日に小惑星リュウグウのサンプルが入ったカプセルを地球に届けた後、
「はやぶさ2」探査機は、新しい旅に向かっています。この延長されたミッションの
ことを「はやぶさ2拡張ミッション」と呼んでいます。一方で、これまでの
「はやぶさ2プロジェクト」の方ですが、プロジェクト終結の作業を行っていました。
その作業も終わりましたので、はやぶさ2プロジェクトは2022年6月末をもって解散
することになり、完全に「拡張ミッション」に引き継ぐことになりました。
この機に、「はやぶさ2拡張ミッション」の愛称とロゴマークを発表します。
まず、愛称ですが「はやぶさ2♯」となります。「ハヤブサ・ツー・シャープ」と読みます。
「♯」の文字は、音楽記号で“半音上げる”を意味するシャープです。英語の綴りはSHARPと
なりますが、これは、Small Hazardous Asteroid Reconnaissance Probeのアクロニム(頭字語)
になっています。これは、はやぶさ2拡張ミッションが、地球に衝突する可能性がある小さい
が危険な小惑星を調査するものであるという意味になります。また、シャープ(sharp)と
いう英語は“尖った”とか“鋭い”という意味がありますから、拡張ミッションがさらに挑戦的
であることを表現しています。さらに、音楽的には“半音上げる”ということですから、
ミッションのランクアップの意味にもなります。
なお、音楽記号の「♯」の文字は、特殊な文字ですので実際に使用するときには使いにくい
という問題があります。そこで、パソコンや電話のキーで使われている「#」の
記号(番号記号、パウンド、ハッシュ)で代用していただいて構いません。つまり、
「はやぶさ2♯」(音楽記号の♯)、「はやぶさ2#」(全角文字の#)、
「はやぶさ2#」(半角文字の#)のいずれの表記でも問題ありません。
次に、はやぶさ2拡張ミッションのロゴマークですが、このようになります。
このマークは、地球から出発して、2つの小惑星(2001 CC21と1998 KY26)を探査し
に行く探査機をイメージしています。また、はやぶさ2拡張ミッションでは、探査機
の運用に加えて、「はやぶさ2とOSIRIS-RExのサンプルの共同科学分析の活動」、
「OSIRIS-RExサンプルを受け入れるキュレーションの設備整備の活動」、
「はやぶさ2科学成果を広く国際的に発信する活動」という3つの活動を行います。
4本の軌道はこれらの活動が相互に作用しながら進んでいく様子を示しています。
背景には星形でシャープの文字を示していますが、4つの星形も探査機運用と3つ
の活動を示しています。
引き続き、はやぶさ2拡張ミッションである「はやぶさ2♯」の方も、応援を
よろしくお願いいたします。はやぶさ2プロジェクト 2022.6.29
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、小惑星リュウグウから試料を持ち帰った
探査機はやぶさ2のプロジェクトチームを30日で解散すると発表した。はやぶさ2は
リュウグウのミッションをほぼ終え、2031年に別の小惑星を目指す計画で、体制を
見直して若手を中心とした新チームに移行する。
現チームはJAXAの所属だが、新チームはその下の宇宙科学研究所に置き、人員と
予算規模を縮小する。はやぶさ2を成功に導いた津田雄一プロジェクトマネジャー(47)
は新チームでもトップを務めるが、その下の運用部門のリーダーに三桝裕也・同研究所
主任研究開発員(38)を登用する。
15年からチームを率いた津田さんは「ここまでやり遂げられたことに非常に満足
している。さみしさがあるが、探査機が宇宙に残っていることは自慢できる。
花丸二重丸だ」と振り返った。
三桝さんは「ここまで非常にいい成果を上げてきて、その延長線上に関われるのは
夢のよう。一方で、探査機はいつ何が起こってもおかしくない状況が続く。共に旅を
続けられる幸せをかみしめて運用していく」と抱負を語った。
はやぶさ2は20年12月にリュウグウの試料が入ったカプセルを地球に投下した。
残ったイオンエンジンの燃料で約100億キロ航行し、地球と火星の間にある小型
小惑星「1998KY26」(直径約30メートル)の探査を目指す。