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明治20年の皆既日食の観測記録

2021-04-26 23:45:11 | 

天文情報サイト をみていたところ、毎日新聞 2021/3/30に

「1887年に日本で観測された皆既日食を市民が観測した記録が米国で発見された」

の記事が目を引きました。

「明治の皆既日食記録、米大で発見 不明だった市民の観測分も」

 1887(明治20)年8月19日に北関東から福島、新潟県にかけて観測できた皆既日食

のスケッチなどの観測記録が、米エール大に保管されていた。その中には、市民に

観測を呼びかけた当時の内務省が回収したものの、その後行方不明とされていた記録

も含まれていた。川崎天文同好会副運営委員長の福島薫さんが発見し、3月17日に日本

天文学会春季年会で発表した。

 この皆既日食では、米アマースト大のデビッド・P・トッド教授を隊長とする米国

の遠征チームが、小峰城跡(福島県白河市)で大規模な観測態勢を敷くなど、国内

では初めて近代的な科学観測がされた。日本の大学や内務省地理局(国土地理院の前身)

も各地に観測隊を派遣したほか、文部省や内務省が一般市民に観測してスケッチする

ことなどを呼びかけた。

 市民の観測記録は、文部省が回収したものが国立天文台(東京都三鷹市)に保管

されている。しかし、内務省が回収した記録の行方は分かっておらず、失われたと

考えられてきた。

 福島さんは数年前、天文雑誌でトッド隊の観測のことを知り、市民による日食観測

に興味を持って調べ始めた。トッド教授の遺族が寄贈した資料がエール大図書館にある

ことを知り、閲覧を大学へ電子メールで依頼。すると、未公開の資料を撮影した画像

データの提供を受けた。

 膨大な資料を約1年かかって分析したところ、内務省の回収分に、その他のルートで

トッド教授が入手した分を加えたスケッチ83点や皆既時間の観測記録105点などが見つ

かった。

 皆既日食の当日、トッド教授のいた白河市は天気が悪かった。それでも、スケッチは

10県から寄せられていた。福島県本宮村(現在の本宮市)でのスケッチには、めまぐる

しく変わる当日の天気が記されており、四方八方へ伸びる太陽コロナ(太陽の外層大気)

が描かれている。

 また、飯盛山(現在の同県会津若松市)のふもとでは、15歳の中学生と12歳の小学生の

兄弟が観測していた。雲が多かったため、スケッチには太陽コロナは一部しか描かれてい

ないが、天気や周囲の状況を詳細に記録した手紙が添付されている。

 福島さんは「予想だにしていない発見で、本当に驚いた。名もなき人たちが残したスケ

ッチが素晴らしい。こうした先人の努力を多くの人に知ってほしい」と話した。

 3月17日の学会発表を支援した渡部潤一・国立天文台副台長は「この日食の観測につい

ては、ずっと全貌が分からなかった。10代の若い人も含め、かなりの数の市民が呼応して

観測に参加してくれたことが分かり、素直にうれしい」と話した。当時の写真技術では、

淡い太陽コロナを撮影するのは難しかったため、肉眼で見たスケッチは貴重な観測データ

だったという。【西川拓】

★内務卿の大久保利通が官報に日食観測心得を掲載し、学校の先生、役場の吏員等広く国民

に観測を呼びかけました。

皆既日食帯の新潟、白河は曇り空のため観測が出来ませんでした。

東京天文台の斎藤国治先生は、文部省に報告されたものを国立天文台の図書館に所蔵して

います。

管理人は、宮城県柴田郡入間野小学校の先生方が観測し、文部省に報告したものが国立天文台に

あることが分かったので、出向き複写等してきました。

視聴覚教材としてまとめて、登録しています。

内務省への報告についての存在は気がつきませんでした。

今般、川崎天文同好会の方が発見したという、83点のスケッチについて調べてみたいと

思っているところです。

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
1887年アメリカ観測隊日本遠征 (川崎天文同好会 福島薫)
2024-04-26 20:28:23
 はじめまして、川崎天文同好会の福島薫と申します。私の調査にご興味を持って頂き、ありがとうございます。
 本件につきまして、今年3月に国立天文台(NAOJ On-line Journal for the History of Astronomy and Historical Astronomy)より拙稿をウエブ出版させていただきました。タイトルは、`A Full Account of the 1887 American Solar Eclipse Expedition to Japan: Revealed by the Materials from Yale University Library's Manuscripts and Archives' (査読付き)です。

50ページ中約半分がAppendixですが、Appendix IIに一般市民によるコロナスケッチが掲載されています。
拙い内容ではございますが、ご笑覧頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
返信する
論文のURL (川崎天文同好会 福島薫)
2024-04-26 20:36:48
 度々失礼します。先ほどのコメント内で、On-line JournalのURLが反映されなかったようです。
https://culturalastronomy.net/cognit/?p=49

よろしくお願いいたします。
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