ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

着任早々事業仕分けにかかる(独)国立大学財務・経営センター~一人でも多く存続の声をあげて下さい~

2010年04月05日 | 高等教育
前回のブログで(独)国立大学財務・経営センターの理事長に就任することをご報告しましたが、4月1日の午前10時に文部科学省に出向きました。

写真はその日の文部科学省のビルを撮った写真です。高層ビルの手前に、レトロな感じの旧文部省庁舎の一部が残されています。昭和8年に建てられたもので、国の登録有形文化財になっているんですよ。

高層ビルの東館にある大臣室で川端達夫文部科学大臣から直接辞令をいただきました。やはり、辞令交付は緊張しますね。

鈴木寛副大臣、中川正春副大臣を初めとして、文科省内の主だったみなさんにご挨拶をして回り、午後は一ツ橋にある財経センター東京連絡所で、今度は私が財経センターの新任の教職員の方々に辞令を交付させていただきました。

財経センターでは、独立行政法人の事業仕分けが4月21日から始まるとのことで、着任早々たいへんな状況が待っていました。文科省関連の独立行政法人の中でも、財経センターはどうも仕分けのターゲットにされているような感じを受けます。

もし、“財経センターは不必要だ”などという仕分け結果になった場合には、全国の国立大学にいろんな支障が生じると思います。たとえば、巨額の資金が必要である大学病院の再開発の際に、今までのようには、全大学一律の固定の低金利で長期借り入れができなくなると思います。仮に民間から借金をすれば、大学によって金利が異なることも生じかねず、たとえば東大なら低金利で貸してくれるが、三重大は高い金利になるかもしれません。そんなことでは、安定的に提供するべき教育や研究そして医療サービスが不安定になってしまい、国立大が地域の皆さんや国民の期待に十分に応えることがそれだけ困難となります。

また、財経センターが今まで積み重ねてきた国立大の財務・経営に関する調査・研究事業は、今後ますます重要になると思います。特に、附属病院の調査・研究は、地域医療の確保、そして、医学医療の国際競争力の向上の観点から非常に重要です。私も三重大の学長時代に自分なりに大学病院の調査・分析をして、前政権時代の政策を変更していただくように提言し続けてきましたが、今後は、大学でもなく、政府そのものでもない、財経センターのような第三者機関が、客観的な立場から、しっかりと調査・分析をすることが欠かせません。

この他にも、財経センターは、建物の修繕費を支援したり、東京一ツ橋の学術総合センターの会議室を低廉な価格で利用していただいたりして、全国の国立大の支援活動をいろいろとやってきました。

独立行政法人というだけで、なぜか“無駄”という烙印を押されるような雰囲気がありますが、毎年交付金が削減される中で、経費の節減をしつつも国立大学への支援機能が低下しないように、職員の皆さんは少ない人数で夜遅くまで(労働基準法の範囲ですが)一生懸命がんばってきました。

着任早々、その存続が問われる羽目になる組織の長になってしまいましたが、財経センターの存続のためには、全国の国立大や附属病院の皆さん、そして地域や国民の皆さんの声が不可欠です。財経センターの存続が大切とお考えになる皆さんは、今すぐにでも、民主党の議員さんにご意見を伝えていただくか、文科省のホームページ等を通じて意見をお寄せいただくと幸いです。時間がありません。お一人でも多くすぐに声を上げてください。お願いします。

コメント (2)
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