ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

事業仕分け打ち上げ(?)会で心が一つに

2010年04月29日 | 日記
昨夕は、事業仕分け本番が終わり、すべての事業が廃止という惨憺たる結果になって、課長以上の幹部職員と打ち上げ(?)会に行きました。普通は“残念会”ということになるんでしょうが、事実上組織の廃止というあまりにも惨憺たる結果を受けて、“残念”という言葉はぴったりと来ません。“残念”という気持ちを通り越した場合、いったい何会と表現したらいいんでしょうか?まさか、“絶望会”とも言えませんしね。

そんなことで、とりあえず打ち上げ(?)会という表現にさせていただきました。

最初はビールで乾杯。こんな時、いったいどんな挨拶をすればいいんでしょうかね?「今日はほんとうにお疲れ様でした。残念な結果になりましたが、今後、この組織の清算のためにがんばりましょう。」なんて言うのも、何かおかしい。

それで、ちょっと躊躇しつつも「財務・経営センターの今後の発展のために乾杯!!」と言ってしまいました。

そしたら、A部長が、「理事長!“発展”でいいんですよ。私たちはまだ、負けたわけじゃない。この組織がなくなっても、理事長の思いを実現できるように、別の形で国立大学と病院を支える仕組みを作ればいいんですよ。そしたら、それが私たちの勝ちだ。」

なんてすごい言葉なんだろうと私は思いました。

この言葉で、みんなの気持ちが一つになりました。

全国の国立大学の若手職員を集めてマネジメントの勉強会を開催しているI課長は、「理事長が勉強会のことを、仕分けの場で言っていただけるとは思ってもいませんでした。今度の勉強会は、もっと盛大にやりますよ!」あと何回勉強会ができるかわからないにもかかわらず・・・・。

仕分けの場では、仕分け人から民間のコンサルを使えばいいではないか、財務経営センターにはプロの経営相談員がいないではないか、とさんざんこき下ろされて“廃止”となってしまったのですが、私は、民間のコンサルを頼んでも、高くつく割にそれほど役に立ったとは思えないこと、結局は職員一人ひとりの経営意識を高めて能力開発をしなければ解決せず、そのために財務・経営センターの勉強会が役に立っていることを話したのです。

仕分けの直前に作ってもらった、国立大学と病院が危機的状況にあり、それを支えるために財務・経営センターの機能をもっと高める必要がある旨を表現したパネル。結局は、仕分け会場では使わないという方針になったのですが、実は、その内容のコピーをS課長がこっそりと準備をして、会場まで持ってきてくれていたのです。もし、その図を示せるような機会が来た時に、使ってほしい。

結局、仕分けの時に使えず、申し訳ないことをしてしまったのですが、それは、私に、私の思っていることを、仕分けの場でもっともっと発言をしてほしいという気持ちを込めたメッセージだったんですね。

こんな職員たちに支えられて、私は、仕分けの場で、かなりのことを発言することができました。といっても言いたいことの半分くらいだったんですけどね。

仕分けの結果は私が発言しても発言しなくても、全く同じ結果だったと思います。しかし、発言できて、ほんとうに良かったと思います。結果は惨憺たるものでしたが、この仕分けという修羅場をいっしょにくぐり抜けたことで、職員と私の心が一つになりました。
コメント (2)
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