TMA講師代表の個人研究:学生時代に、日経平均を指標とする日本経済分析をレポートにしたら、先輩から徹底的に叱りつけられた。では、何に着眼するべきですか?こう質問したら、在庫指数や、と教わった。1961年当時、家電が経済・景気の牽引力であったから、東芝のモーターの在庫の動態だけで、景気が読めた時代である。その後、自動車産業が大いに発展したので、自動車の新車販売動態から景気の動向を読む時代へと進化した。その結果、自動車産業の産業連関が、経済の指標であるだけでなく、製造業を基軸とする経済循環の実態を表現するものとなった。
特に、現在の日本経済は、トヨタ、日産が世界の自動車産業の技術の牽引力となるに及んで、意外に製造業をベースとする経済分析・景気動態の予測は、かなり単純化できるようになった。日本経済は、1960年代と比べて、財閥系の銀行集体が弱体化し、金融の操作で経済が動かなくなった。2000年代は、製造業が、金融部門からの融資に拠らないで、自己資本の内部留保に成功し、低金利という金融環境でも、自己の内部蓄積に努めている。
ここへきて、日本の株式市場は、投機的な外国資本、ヘッジ・ファンドが日本国債の買いに回り、日本企業は自社株を市場から買い戻し、さらに、年金財団による日本株式の保有率の上昇、日銀のよる日本株の底値水準の切り上げ・・・、そうした要因から、日経平均の14000円割れが回避され、同時に、円高に推移しために、外国ヘッジファンドからみたドル建ての日本株の株価水準が高くなったために、売り越しにより、プライス・リーダーが日本銀行に移行した。
さらに、ドイツのVWの虚偽が、中国共産党8600万人から嫌悪され、ナチズムの基礎にある虚偽、大衆情報操作が文化的に嫌われた結果、中国の非共産党員の大衆が、ドイツ信仰を棄て、日本への好感度を高めてきた。中国市場で、日本車の販売が爆発的に伸び、不振の三菱自動車も、エンジンが中国国産車に採用された。こうして、2017年の中国では、日本企業の第3次産業の市場技術が評価される状況へと変化してきた。日本企業の中国への再投資が増加基調に転じ、中国経済は安定装置を手に入れた。アメリカ経済も、さらなる歴史的な好況へと変化しはじめた。キューバとの断交が解決したことは、グローバルな市場環境に有利となる。
このように日々の微妙な変化を反映する日経平均は、17000円の大台を底固めする段階へと来ている。大学でキャリアーサポートする担当者は、売り手市場で就職率が高くなるという楽観ではなく、日本の産業中核にいかに寄与できるか、学生の質を上げることを考えるべきであろう。TOEIC600点では低すぎ・・・というのが、世界水準の日本企業の実力である。