トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

*色即是空 空即是色

2016-09-11 | 大震災
 松一本うづみ残した怒涛なり
          不二ひとつうづみのこして若葉哉    蕪村

 松原は悲惨小さき苗をくれ
          松原は飛脚小さし雪のくれ        一晶

 是がまあつひの仮設か逝き五年
          是がまあつひの栖か雪五尺       一茶

 知るたびに更に案じる奥の封
          しるるるは何かあんずの花の色     貞徳

 散々ももとはひとつの袈裟歪み
          三夕も本やひとつの今朝の秋       元隣

 夕迫る浪に放たる雪時雨
          晴行くや波にはなるるよこしぐれ     風虎

 東日本大震災から五年半が過ぎた。当時、暑い盛りの後片付けボランティアは減少し不足すると報道されていたので、小生も及ばずながらと用意していた矢先にアキレス腱断裂をしてしまった。結果として参加は断念せざるを得なかったのだが、せめてもの償いにと「三日三月三年」と言う通り、三年間毎月のアップを決めた。
 三年後、終了するに忍びなく「五年目までは」と目標変更し、ようやく五年目到達となった。今年の3月で終了しても良かったのだが、こんどは「いけるところまで行く」と朝令暮改し6カ月、ついに力尽きた。
 今までは嫉妬や妄想、煩悩のごとく折に触れ湧いた文字列が出てこなくなったのである。義務や修行とも異なる事だから一応の区切りをつける事にした。尽きる事無い泉のごとく湧いてくると思っていたのだが、何事にも終焉はあるものだ。

 つまるところ、自分自身の終焉も考えねばならなくなった年代で、紛う事無く「土は土に塵は塵に」となるのだが、この世界、生成消滅を繰り返す宇宙の一瞬に過ぎない過程を映像で見ていると、般若心経は究極の宇宙科学書だと思われ、全ては無限の一体である事を感じさせるし、孫悟空が捕らわれた掌も理解できる。
 お彼岸はまだ先だが犠牲者のご冥福を改めて祈りたい。合掌。

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