トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

水路を開ける

2023-05-03 | 水辺環境の保全
 二つ池から棚田部への水路がカサスゲに覆われてしまい隠れてしまった。単なる水路としか認識しないのであれば「水が流れて居れば良い」で済むけれどこのような水流の弱い環境を好んで産卵し生息するトンボもいる。特にオニヤンマは水深のある場所より「こんなところで⁉」と思う様な環境がお好みなのである。
 そうだからこそ小さな水路でも水面が見えるように露わにしておかねばならないのであって、この日は草刈り鎌と長柄の貝掘り熊手を持って作業に向かった。

 水路両脇のカサスゲは刈り取って、刈り取った葉は敷き藁代わりに使える。稲藁より空気も水も通りが良くて腐敗も少ないのだ。ともかく雑ではあるが水路を露わに出来た。
 畑や宅地の草取りみたいに「綺麗」は禁物で手入れは欠かせないけれど「人手が入っていない…」風が最大級の生物たちからの賛辞なのである。これを丸刈りし一掃してしまえば一草も残らぬ廃墟とも言うべき大惨事であって、この事は余人には理解できない永遠の課題だ。

 そうぼやきつつ腰を押さえて背伸びをすれば天空の彼方から弾道弾が着弾しそうな妄想もあって、事実そういう場所も数多あるけれど水路も退路も食料だって断たれ虫けらにさえ思われない人々もいるのだった。腰が痛い・肩が痛い・懐が寒い等々たいした日常ではないなあと思わねばいかん。
 昨年、鬼籍に入ったワンゲルのリーダーはいわゆる天涯孤独、乳児にして遺棄されたから戸籍の親の欄は空白だった。それでも努力の結果、経済的にも家庭的にも小生などより数段、質の高い人生を送った。出自や成長期がどうであろうとも豊かな人生を築く事が出来るのもまた人間なのだと言う実感を与えてくれたのである。
 きっと今頃は恩師と二人、蓬莱山にでも上っているのだろう。青春時代、その頃が懐かしいなあ、と思いだすのは小生も歳を喰ったからなのである。それとも短期記憶が成立しなくなったからなのか…。まあ、どちらにしろ本質は同じである。


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