昨季は皆無だったジャコウアゲハの発生がぽつぽつと見られる。実成りが悪く単なるグリーンカーテンと化したニガウリの葉陰にお菊虫がぶら下がっていたのは承知していたが普段見かけるサイズより小さくて腹部が変色めいて見えていたから死体と思い込み気にも留めなかったのだった。それがこの日の早朝、網戸越しに動くのが視野の端にあり視点を動かしたら羽化したジャコウアゲハが飛び立つ寸前だったのだ。経験則からこの時間に飛び立つ個体はまずいなくて「遅い時間」なのである。
カメラを取りに行く隙も無く飛び去ったのだが翅に違和感を感じ追視していたら数メートル先のキャットテールの上に降りた。目を凝らして確認すれば右の下翅が裂けている。この状態は羽化途上のトラブルなのか蛹の中でのトラブルなのかは知る術も無いけれど、いくばくも飛翔できないうちに力尽きるか捕捉されるかどっちかの運命なのは理解できた。
その後、自宅を出る段にニガウリの床にもう一頭が見えたので「戻ったのか⁉」と思いきや別の個体のように見える。これも後ろ翅が異常に見えている。同じ日に羽化したのだから同じ親からの個体とも思うと遺伝的な問題があったのかどうか…。昨年今年とジャコウアゲハの飛来が極端に減った事と関係あるのだろうか小生には判るはずも無いのだが、少々怪談調にも思えたものの涼しくはない真夏日が続く。