まあ、この日は水曜日なのだったがキャンディーズの歌った歌詞の一節が作業にとっても適っていたので使ったまでで孤爺的には「危ない水曜日」だったし「わかっているなら やさしくして もっと もっと」のフレーズは不変である。なんてったってオオカナダモは切れやすいので丁寧に優しくそーっと心を込め抜去せねばならんのだが、そうすればするほど我が腹の中は煮え立ってくる。「糞、糞、こんなもんを投入しやがって、呪い殺したい!」時間なのだった。それもそのはず抜去の手間暇時間は孤爺にとっては危険な時間で水の層より泥の層が厚くなった池の中は移動もままならない。水面の揺らぎと反射光で平衡感覚も揺らいでしまい、少しばかりのオットット!でさえ泥中に沈する誘惑に満ち溢れている。「水も泥も滴るいい孤爺」だなんて笑えないし笑う前に胴長装着では土座衛門の可能性だってゼロとは言えないのだ。
前回の抜去から早や三週間であちこちの姿を見せたオオカナダモの姿は点在している数を確実に増やして来た。一旦、水抜きし天日干しすればとりあえずは根絶可能なのだろうが池の生物は大打撃を受けるし下流域を干上がらせないためにはバイバスとしての導水路を掘削しなければならず、そこまでの体力は残念ながら当てにはならなくなっている。仕方が無いので姿を見るたびに胴長装着し頼りの竹杖を持ち腰に足浴バケツを紐で結び池に入り抜去する。
前日の降雨で濁りがさらに増して見えにくくなってしまったものの先送りすれば更に成長スピードを増してしまうので早めの対策は必須だ。しかし濁り水の中でも姿が露わな場所は抜去し易いが低い位置にあるオオカナダモは見えにくい。そこで僅かな色感の違いを頼りに手探りで位置を確認して泥中のタコ足みたいな根まで切らさない様に優しく優しく抜き取らねばならないし、これが池全域をのたくり回り続けなければならない。その間も視点を変えて発見にこれ努めないと漏らしてしまう株も出てくるのである。まあ、「見落とし」と言う事になろうが視点方向を替えながら探さないとどうしても見落としが出てきて「ヤレヤレ終った…」と陸に上がってから発見する事も稀ではないので池内にいる間に極力抜去を済ませたい。
この日、足浴バケツにほぼ半分の量を抜去した。普通のバケツを使えば15ℓバケツにいっぱいくらいに相当するだろう。丁寧に抜去していても3週間でこのあり様ではおっつけ小生が降参の憂き目は間違いなし。その折は送水を遮断断水させて水域の生物もろともリセットするしかない。一旦、投入されれば駆逐するにはそれしかない。今になってザリガニやミドリガメ、はてまたマングースやら野猫、ヤギなどの対策を云々しているけれど「移動や販売、飼育の禁止」等々言い張ってみたところで環境破壊は粛々と進むだけである。椅子に座して文字に起こして済むだけならこんな楽なことは無い。