夜寒の候に花見の話とはしまらぬが、江戸時代の川柳<花の山手毎(てごと)に折ってしばられる>。花見客でにぎわった上野のお山での光景という。将軍家の霊廟(れいびょう)があるため、花見客はあまり勝手なふるまいもできなかった▼飲めや歌えの騒ぎなどはもってのほかで、サクラの枝を折ろうものなら、見回りの山同心に川柳のように大目玉を食った▼今なお上野は花見の人気スポットだが、渋谷はハロウィーンの名所になることをきっぱりと拒否したようである。区長が「渋谷に来ないで」と宣言し「ハチ公」周辺の封鎖にまで踏み切った▼ハロウィーン時の大混雑、大量のごみ。一部の客の迷惑なふるまいを思えば渋谷の判断もいたしかたないところか。1年前の韓国・梨泰院でのハロウィーン雑踏事故のような悲劇が渋谷で起こらないとも限らないという心配も分かる。名所になることより街の安全と住民の安心を選んだのだろう▼ハロウィーンの迷惑行為を引き起こす大きな原因はやはり路上飲酒なのだろう。お祭りムードにアルコールが加われば若者に限らず、どうしたって羽目を外しやすくなる▼江戸の上野の山ではないけれど考えるべきは公共の場所での「飲む」である。海外に比べ日本では伝統的に大目に見られてきたところもあるが、見直しの時期かもしれぬ。さもなくば、渋谷は追い出されても新たな名所でまた騒ぎが起こる。
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