2007年のラグビー・ワールドカップ(W杯)はニュージーランド代表が優勝の大本命だった。1次リーグを全勝で突破し、ファンは優勝間違いなしと信じた▼期待は裏切られる。準々決勝でフランスに敗北。ファンの怒りはグレアム・ヘンリーヘッドコーチに向かい、交代論が強まった。協会側は耳を貸さなかった。かつての名選手ブライアン・ロコアさんの助言があったと伝わる。「1敗したからといって一夜で悪いコーチとはならない」。留任したコーチは11年のW杯で見事、同代表を優勝に導く▼これにならって、オーストラリアで失敗したからといって悪いコーチだというのかと言い聞かせることにする。ラグビー日本代表のヘッドコーチにエディー・ジョーンズさんが復帰する▼手腕、経験のいずれも申し分ない。15年、W杯の南アフリカ戦で日本を奇跡の勝利へと導いた「恩人」でもある。気になるのはここ数年、結果が出ていないことでイングランド、オーストラリアのコーチを相次いで事実上のお払い箱となっている▼それだけで悪いコーチとはいわないが、今回の復帰の経緯が分かりにくく、ファンの間に疑問の声が出る背景になっている▼「最後の仕事を日本で」と専門誌に書いていた。決まった以上、声援を送る。世代交代と実力向上を急がねばならない日本代表である。疑問は結果で消し去るしかない。
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