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今日の筆洗

2024年08月03日 | Weblog
松尾芭蕉は『奥の細道』の旅の終盤、福井・敦賀の色ケ浜を訪れた。句が残る。<寂しさや須磨にかちたる浜の秋>▼源氏物語の光源氏が謹慎生活を送り寂しさの極致とされた須磨の秋より、この浜の夕暮れの方が寂しく心ひかれるとの意という。浜には漁師の粗末な家があるくらい。わびしい寺で茶や温かい酒を飲み情緒に浸ったという▼現代の敦賀の海辺の風景は変わるのか。色ケ浜近くの日本原子力発電敦賀原発2号機について、国の原子力規制委員会は直下に活断層がある恐れが否定できないとして再稼働を認めない手続きに入った。廃炉の可能性が高まったらしい▼13年前の東日本大震災での福島の事故を受け誕生した規制委が、電力事業者の原発再稼働申請を退けるのは初めてになる。安全が危うければ、国の機関が認めない-。前例ができる意味は重かろう▼敦賀以西は原発銀座と呼ばれるほど林立し寂しい漁村に富をもたらしたが、今後も頼れるのか。地震の影響を見極めるため審査が長引いている原発は他にもある。政府は原発を活用する気でいるが、地震国日本で「安全な原発」を十分に確保できるのだろうか▼芭蕉は敦賀で中秋の名月なのに雨にたたられ、北陸の天気は先が読めないと<名月や北国日和定(さだめ)なき>と嘆いた。月がなくとも夜を照らす明かりを永く、原子力でともすのか。先は定めなしとも思える。
 
 

 


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