落語の「抜け雀(すずめ)」の舞台は小田原の宿。あまり繁盛していない宿屋の主人が客を呼び止める触れ込みがおもしろい▼「手前どもはこの小田原の宿で、一、二(大声で)…よりは下がります。三(やはり大声で)よりはやっぱり下がりますが、でも四よりは…下がるんで…」。高い評判を取っているのかと思って聞いていれば順位がどんどん下がっていく▼貧しいながらも、正直な宿屋の主人の顔が浮かんでくるが、近ごろは怪しげな「1位」を宣伝し、消費者の目を欺く商売が後を絶たないらしい。商品やサービスに合理的な根拠のない「No.1」を表示する広告などに対し、消費者庁が実態調査に乗り出すそうだ▼商品やサービスを実際に利用したかどうかを問わず、ウェブサイトの印象だけの調査で「満足度No.1」。そんなやり方もあるようで、でたらめな「No.1」がまかり通るのなら、消費者の不信度の方が「No.1」になるだろう▼ねじ曲げたアンケート結果で「1位」を演出するリサーチ会社もあると聞く。根拠のない「No.1表示」はもちろん、景品表示法違反であり、消費者を混乱させるやり口を実態調査で封じたい▼似た商品が並んでいれば根拠がなかろうと「No.1」の方に手を伸ばしたくなるのが人情か。よく分かるのだが、消費者の方も大声の「1位」をうかつに信用せず、むしろ警戒したい。
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