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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『馬の瞳を見つめて』 渡辺はるみ

2006年04月03日 | ノンフィクション
 
気晴らしにと、軽い気持ちで本書を手にとってみましたが、運良くすばらしい感動ドキュメンタリーに当たりました。

筆者はもともとどこにもいそうな動物好きの女の子、アルバイトで出会った馬に魅せられてしまい、学業半ば、なんと岐阜大学獣医学部を中退し、希望に胸膨らませ北海道の零細牧場に勤めます。 

ところが、そこで出会う競走馬の悲しく厳しい現実。競馬の世界で成功し子孫を残せる馬はほんの一握り。引退後ほとんどの馬たちが乗馬などに回されたという報告が公にはなされますが、実際は…。

筆者の育てた愛馬が何頭も行方不明になり、現実を悟ります。競馬界ではそのことをあからさまにするのはタブーなのですね。メジロマックイーン死亡のニュースが入りましたが、種牡馬になれるのはほんの一握り、まして死亡がニュースになるのは例外中の例外で、競争馬の最期は普通誰も語りません。サンデーサイレンスやシンザンなどのようにはなれる馬など稀なのです。

さて、筆者はやがてそこの牧場主と結婚、母親になり、競争馬の生産で生計を立て、今や牧場の責任者。馬の最期(処分の方法、時期)を自らで決定しなければならない立場になります。経済といとおしい生命のはざまで何度も現実に絶望しながらも決して逃げることなくあらゆる手を尽くし立ち向かっていく姿は涙を誘います。何とか力になりたいと思う読者が多いと思います。

また、競馬ファンの方はもう馬券が買えないほど衝撃を受けるか、ますます馬が好きになるかいろいろな反応がありそうです。ぜひお読み下さい。

http://tokkun.net/jump.htm

馬の瞳を見つめて

桜桃書房

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