『日本は北朝鮮に対抗するために、すぐに核兵器を持つべきだ』
という主張の人が、仮にその支持を求めてアンケート調査をしたとします。もちろん実際には過半数の国民は反対ですが、調査にさまざまな仕掛けを施すと、真実とは逆の『国民は核武装を望んでいる』 という調査結果を作り出せてしまいます。
本書は実際に、新聞などに出される、調査、アンケートの類にはそうした“ゴミ”がたくさん含まれていると主張します。
これからの時期、ポスト小泉だけでなく、緊迫してきた北朝鮮問題や、憲法改正など、さまざまなところで、大げさに世論調査の結果が発表されるでしょうが、本書を読むと、とても額面とおりに受け取ることはできません。
手始めにこんなアンケートを紹介しています。アメリカの元大統領4人、カーター、レーガン、ニクソン、フォードと並べて人気投票をし、カーターが圧勝しましたが、非常に単純なしかけがあり、最初からカーターが勝つのは分かっていると言います。
しかけとは、カーター以外はみな共和党なので、民主党支持者は普通カーターに入れざるを得ない。つまり、カーターを勝たせるためのしくまれたアンケート調査だというわけです。
また、朝日新聞は護憲派、読売新聞は憲法改正を主張しています。どちらも憲法改正に関するアンケートを実施していますが、結果に大きな違いが出ています。その仕掛けはアンケートの問い方にあります。両社のアンケートの問い方を並べて批評を加えたところは圧巻でした。
はっきり言えば両社とも、公平を装って、実は世論操作をしているということになります。他にも、メディア、特に大新聞が自分の主張を裏付けるために行う、デタラメ・ヤラセ調査を糾弾します。メディアリテラシー、中でもリサーチリテラシーが今こそ必要です。
「働く女性の6割、職場で性的被害」 とか 「自衛隊『必要』84%」 はいくら何でも数字が高すぎますが、やはりトリックがあるのです。本当に読んでいてあきません。筆者は、仮に依頼されれば、自分でどんな結果のアンケートだろうと作れてしまうとすら考えているようです。
『 論理トレーニング101題 』 でも朝日新聞の記事を用いて、その論理のでたらめさをご紹介しました。『 子どもが減って何が悪いか! 』 の赤川学氏は、『女性の社会進出が進んでいる国ほど、出生率が高い』 というデータのうそを、見事に見破りましたが、その中でも、本書について触れ、“名著” だと絶賛していました。
そのとおりだと思います。ぜひお読み下さい。
http://tokkun.net/jump.htm
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ文藝春秋このアイテムの詳細 |
文藝春秋:222P:725円:
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調査関係の仕事をしたことがあるのでものすごく興味あります。この間書店で見つけて買おうとしたけど倍くらいの値段(海外なので)に躊躇してやめてしまいました。買えば良かった!
調査というのは、どんなに正確にやろうとしても、サンプルの抽出や設問の順番などで結果が変わってきてしまうんですよね。意図的に結果を作りたかったらいくらでも操作する自信があります。(笑)
この本はとてもいいですよね。
私もそう思います。
それにしても凄い読書量とペースですね。
それでいて本の紹介記事もとても面白いですし。
色々と勉強になります(^-^)
これからもよろしくお願いします。
ぜんぜんそうではなく、正直1日1時間くらいしか今は読めません。これからもよろしくお願いします。
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。
この読みました、よく読めば非常に怖い本です、設問内容、問い方によってりまったく違う回答が出てきます、国民に大きな影響をあたえるアンケート調査は難しいと思いますね、でも重要なことは国民が賢民であること、決して愚民であってはいけないことなんです、自分の考えを持ち、その意見に責任と自覚を持てるかと言うことだと思います。
谷岡さんですが、息子さんが灘の野球部にいた関係でよくご一緒させていただきました。物腰が柔らかくてとてもいい感じの大学の先生です。野球がお好きで、大学ではギャンブル学を教えておられるんです。
またお逢いしたらVIVAさんが取り上げてくださったことをお伝えしておきますね。
ギャンブル学の本も今度読んでみようと思います。
本当に貴重なコメントでした。ありがとうございます。