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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『夢は大衆にあり』 青山淳平

2006年11月29日 | ビジネス書・マスコミ関連


【夢は大衆にあり】 青山淳平.jpg


違法でなければ、何でもやってよいと考える経営者が目に付きますね。


坪内寿夫という人物の生涯を描いた一冊ですが、坪内氏をご存知でしょうか。かつては、倒産しそうな企業を次々と建て直し、再建王と呼ばれ、松下幸之助本田宗一郎中内功などと並び称されたほどのカリスマ経営者です。


もともとは映画館など、娯楽施設などの事業で得た金を、人から頼まれ、地元の倒産寸前の造船会社に注ぎ込み、大発展させます。とても会社とは呼べないような企業でしたが、 “人を助ける” という信念で、猛烈に働き、動き回ります。

みなの反対を押し切って、犯罪者の更生施設までその近くに、自分の金で建ててしまうほどですから、その人格がわかろうというものです。仕事の尊さを知って欲しい、雇用を提供したいということですね。


そうした再建の手腕で、実績を上げ有名になり、扱う企業も地元の小規模業者から、どんどん大きな会社へと移っていきます。すると、マスコミや政治家などを使った卑劣な妨害や、労働組合との激しい戦いも出てきます。そのあたりの攻防も読み応えがありました。あらん限りの知恵を出し、それでも敵をうらまず、すべてを成し遂げるのです。


やがて、晩年をむかえ、自分の再建した企業が造船不況のあおりで、苦境に追い込まれた時も、責任をすべて自分ひとりで引き受け、個人資産一切を会社の負債の肩代わりに当て、裸同然で表舞台から身を引いてしまうのです。

ダイエーの中内氏のような経営者とは、対極にある生き方だと感じます。


造船不況の深刻さは、河本敏夫 氏を覚えている方はご存知だと思います。かつては、自民党三木派をついで、総理候補にもなった超大物政治家でしたが、三光汽船という、自分が実質的オーナーであった会社が倒産に追い込まれたことで、事実上失脚、夢を絶たれました。

戦後最大の倒産と騒がれ、当時の業界を象徴するような出来事でした。田中角栄には、“自分の会社をつぶすような人間に国政をゆだねられるか”と、強烈に皮肉られたものでした。


業界全体が、塗炭の苦しみにあえいでいる、こういう厳しい時代、やがて政府までも、坪内氏の経営手腕に期待し、氏を担ぎ出そうとする案件が出てきます。


そして、そこに登場するのが、あの白洲次郎です。以前、『英語達人列伝』では、すごいエピソードをご紹介しました。まさに国士とも呼べる人物です。場面はわずかですが、坪内、白洲の両氏の、思いもしなかったつながりに驚きました。マッカーサーと互角に渡り合った、あの白洲氏までも動いたのかと…。


このように、その人格に多くの人々がひかれて、数々の協力を得るのですが、やはり企業がらみ、政治がらみですから、嫉妬や利害関係の不一致は常にあります。時代の流れと、高齢には逆らえず、ついには上記のような結末にいたるのですが、もっとも深く関わった会社、来島ドックは生まれ変わって今もあります。


実に読み応えのある一冊で、深く感動しました。また、日本の造船業界は今やものすごい勢いで復活を遂げました。その影にこうした先人の努力があったことに、歴史の重みや、経営の大切さを学びました。ビジネス書としても、骨太の人物伝としても読めると思います。



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夢は大衆にあり―小説・坪内寿夫

中央公論新社

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P.S. 今日、本書を紹介しましたのは、相互リンクの yumamiti さん が白洲を取り上げておられたからです。“ブスかわいい” って知ってます???

ねえさん、Thank you!




『夢は大衆にあり』 青山淳平
中央公論新社:298P:1890円


『UFJ三菱東京統合ースーパーメガバンク誕生の舞台裏 』日本経済新聞社編

2006年11月21日 | ビジネス書・マスコミ関連


 UFJ三菱東京統合.jpg

銀行の中間決算発表は好調で、ものすごい利益をあげているようですね。また、三菱UFJが住友信託に25億円の支払いで、買収騒動の決着が図られると、報道がありました。


今、振り返りますと、現在のりそな銀行に公的資金注入が決定されて、日本の株式市場は正常化し、ジャパンプレミアムなどといわれた状況が少しずつ改善されたようですね。

小泉・竹中コンビの成果といえるでしょうか。預金の金利はゼロ、国民のお金で不良債権を処理し、空前の利益を上げているのですから、その儲けを、株主だけでなく、一般の国民に対しても目に見える形で、サービスの改善なり、利益還元されることを願うばかりです。当塾のある代々木からは、人のいる銀行がぜ~んぶなくなって、実に不便です。



少し前に取り上げました、衝撃的な一冊 『日経新聞の黒い霧』 の著者、大塚将司氏は、三菱銀行と東京銀行の合併をスクープしました。メガバンクの登場と騒がれましたが、その後も金融界の再編は進みましたね。証券会社、保険会社、信託銀行などなど、はげたかファンドなどと呼ばれる外国資本も参加、さまざまなグループ化がなされました。


ついでに、とうとう郵便貯金までが民営化されるという、10年程前にはとても実現しそうになかったことが現実になったわけです。私はいまだに、ついつい〝さくら"とか、“勧銀” などとやってしまいますし、“東京三菱” か “三菱東京” いつも考えないとわからず、やっと覚えたらまた変わる。ものすごいスピードでしたね。


そして、そのクライマックスは、先日の “スットコ大賞” にも登場した、UFJ銀行の奪い合いですね。(これもスットコのコメントにあったように USJ と時期が重なり、よくわからない銀行名で、ちょっと待ってといいたかった) 


直接的には金融庁とUFJの決算処理をめぐる対決に、UFJが負け、結局、生き残りのために、合併せざるを得なくなったのですが、そこにいたる舞台裏を取材したものです。

とうとう三菱東京とUFJが統合され、預かり資産が世界最大のスーパーメガバンクが登場したわけです。いろいろありましたね。裁判沙汰になったり、逮捕者を出したりと。

住友信託銀行との合併協議打ち切りや、三井住友銀行がUFJを横取りしようとした一件などが、生々しく描かれており、金融機関が不良債権を処理した後も、戦国時代が続いているという印象を受けます。


個人的にも銀行に勤める知り合いが何人かおりますが、話を聞きますと、本当に、体をこわすんじゃないかと心配になるくらいよく働きます。ビジネスエリートとしての強い誇りがなければもたないだろうと感じます。


これからも、外資を含め合従連衡が続くのでしょうか。金融界の覇権をめぐる暗闘のすざましさが良くわかる一冊です。金融機関へ就職を希望する諸君には、ぜひ読んでもらいたいと思います。



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UFJ三菱東京統合

日本経済新聞社

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『UFJ三菱東京統合ースーパーメガバンク誕生の舞台裏』 日本経済新聞社編
日本経済新聞社:315P:1575円


『メディアの迷走-朝日NHK論争事件』 保阪正康ほか

2006年09月26日 | ビジネス書・マスコミ関連
 
安倍総理誕生は予定通りでしたが、小泉内閣でもずっと、要職についていた、中川昭一氏が政調会長だと聞いて、驚きました。一気に出世の階段を駆け上がっている印象ですが、【安倍―中川昭一】コンビで思い出されるのが本書です。

朝日新聞が安倍、中川の両氏が、NHKの戦争裁判に関する番組編集に口出しをしたと報じたのがきっかけでした。朝日新聞の報道に、お二人は反論しましたが、その過程で、NHKからも朝日新聞の報道に対して、クレームがつき論争に火がつきました。ご記憶の方も多いでしょう。

本書は、その朝日新聞とNHKの論争に関して、9名の論者が自らの見解を述べたものです。登場するのは、保阪正康稲垣武朝倉敏夫青山昌史辺真一潮匡人柘植久慶高山正之斎藤貴男の各氏。最後に安倍当時自民党幹事長代理のインタビューが掲載されます。

巨大メディアどうしの真っ向からの意見対立は、日本メディア史上に残るであろうとの認識から、こういう本を出版したそうです。“いや、残らないだろう、すぐに忘れるよ”と思っていたところへ、【安倍-中川】コンビの登場で、確かに、私は思い出しました。

そのあと、朝日新聞が批判に応えるかたちで、一連の報道、論争に関して、総括のような記事を出しましたが、NHKはもちろん、読売新聞、産経新聞、毎日新聞までもが、その内容を厳しく批判していました。本書でも朝日擁護の立場はお二人だけです。

ただ、同じ批判でも、各論者の観点はさまざま。歴史認識の仕方がおかしい、というものや、自らの誤りを絶対認めない報道姿勢が問題、朝日記者の給料が高すぎて(笑)、プライドが問題だなど、いろんな話が出てきます。

論者にかなりの大物をそろえた顔ぶれですが、ちょっとバラバラすぎて、とても歴史的論争の総括などと、呼べる本ではありません。ワイドショーレベル、と言ったら怒られるでしょうか。なにぶん一人当たりの量が短く、もうちょっと詳しく知りたいと思っても、深く論ずる余裕がないためか、議論が雑な印象を受けました。

安倍氏が中川氏を政調会長に指名した時に、この一件は頭によぎったのでしょうか。単に論功行賞だという論評もありますが、お二人の政策は非常に近いようです。大新聞を敵にまわしてしまって、大丈夫でしょうか。これから朝日新聞がどう報道していくかも注目しています。

同時に、ここまで言われたら、朝日新聞は、その声を無視するのではなく、堂々とそれを受けて立つ姿勢を期待します。全新聞が礼賛するような政権よりは、政権に批判的なメディアが存在しているほうが、ずっと健全だと言えますから。



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メディアの迷走 -朝日・NHK論争事件

中央公論新社

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『メディアの迷走-朝日 NHK論争事件』 保阪正康ほか
中央公論新社:190P:735円





■■ 前代未聞   ■■ 
これほどある政権が、大新聞相手に明確に反論というか、敵意といえるほどのものを見せるのは、記憶にありません。大丈夫なのかと心配になります。すでに打倒安倍政権!とやっているブログもありますが、初の戦後生まれの総理大臣、戦後最年少で就任ということですから、新しい歴史の一ページです。もう少し見てみたらどうでしょうか。
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ましま先生コメント(どういうわけかコメント欄に表示されませんので、こちらで記事に追加して、紹介します。どなたか原因わかります?)


<朝日新聞は、その声を無視するのではなく、堂々とそれを受けて立つ姿勢を期待します。

最近の「週間朝日」の見出しを見ると、他の低次元暴露誌を裏返したようなものばかり。「朝日ジャーナル」の孤高の論調の方がまだよかった。古い記事をTBさせてください。

『アイデアのつくり方』 ジェームス・W・ヤング

2006年09月23日 | ビジネス書・マスコミ関連


当塾 の生徒が、『 先生、この本どうですか? 良かったらブログにのせて 』 といって持ってきてくれた本です。良かったのでのせますよ。 (*^^)v 

60分で読めるけれど一生あなたを離さない本 」 

というキャッチコピーにつられ、買ってしまったそうです(笑)。いいぞ、いいぞ。


筆者はアメリカの広告代理店業界の大物で、氏がシカゴ大学のビジネススクールで話した内容が本書の元になっており、ビジネス成功の秘訣、アイデアの作り方を公表したものです。

実際に読んでみますと、アイデアをいかに作るか、効果的な広告について心理学的なアプローチ、情報収集の考え方などを解説します。私は、同じようなテーマの本を、これまで和田秀樹氏、野口悠紀雄氏、また竹村建一氏などの著作で読んでおりましたので、どこかで聞いたことがあるなぁ~という気がしましたが、それらを短時間で再確認できたのが、何よりの収穫でした。

途中、「それにしても、参考文献や言い回しが古いなぁ~」 と思っていましたが、それもそのはず、あとがきを読んで驚いたのですが、本書の初版はなんと1940年、今から65年も前の本でした。昭和15年ですか。ヤング氏自身も30年以上前に、亡くなっているではありませんか。

いったいどうして今頃、本書が店頭にならんでいたのか調べてみますと、テレビ局の有名などなたか(プロデューサー?)が愛読書として紹介したのがきっかけで評判になったらしいのです。

アマゾンをチェックしてびっくり、レビューが何と90もあって、評価も高く、すごく売れている。恥ずかしながら、知りませんでした。

上に挙げた方たちの著作に影響を与えた原型が本書だとしたら、こちらがオリジナルなわけで、革命的な本だったんですね。あとがきまで入れて100ページ、しかも竹内均氏の解説も入るため、著者の言葉はわずか60ページ。読むだけなら、確かに60分で、OKでしょう。

竹内氏も指摘しているように、根本的にアイデアの作り方はなんでも同じですから、すべての学問や、仕事に共通の考え方です。時間が足りなくて本が読めないと思っている受験生やビジネスマンにぜひ。



P.S.
 それにしても、高校生がこういう本に挑戦するのは、実にすばらしいことですね。どんどん探して欲しいです。紹介ありがとう。(^_-)-☆ それで、自戒もこめて…、なのですが、この種の本はたとえ、その内容を理解したり、感動したりしても、それを実行に移す、継続するのが難しい。勉強と一緒ですね(笑)。

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アイデアのつくり方

ティビーエス・ブリタニカ

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   challenging な読書!  ■■

今の自分には、ちょっと難しいかな、というような本を読んでみるのは、実にすばらしいですね。よろしければ、紹介してくれた彼のために、1クリック、記事にした私に、もう1クリックいただけると大変ありがたいです。<m(__)m> 生徒をダシに…ズルイかな(笑)?

  (彼のために)  お~!初の2位になっておりました。
                                      いかん、緊張してきました(笑)。 
                                     本当にありがとうございます。心よりお礼申し上げます。

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『女子大生会計士の事件簿』山田真哉

2006年09月19日 | ビジネス書・マスコミ関連


高校生と話していて、名前は知っていても、その内容をほとんど知らないのが、“公認会計士” という職業です。弁護士はテレビや映画でしょっちゅう取り上げられますし、税理士は、何となく、“税金を扱う” と知っているのですが、会計士は難しいんですね。

税理士と異なるのは、大企業の帳簿を “監査” するという仕事ですが、それがまたよくわからない。ちなみに公認会計士の資格を取れば、税理士資格も付いてきますから、税理士以上の仕事内容だということはわかります。

実は、ライブドアや村上ファンドも、子どもたちは、事件や人の名前を知っていても、何をしているのかわからない、悪いことをした人たち、くらいのイメージが大半です。監査法人 なんてほとんど “?” ですね。

また、大学受験の進路決定において、経済学部と経営学部、あるいは商学部とはどう違うのか教えて欲しいという要望も、毎年必ず何件かあります。


そこで、本書を取り上げます。妙な題名ですが、半分は勉強の本です。しかも、非常に読みやすくておもしろい。公認会計士というのはどのような仕事をするのか、ある事件を設定し、分かりやすいストーリーで教えてくれます。

企業で行なわれる粉飾決算 (決算のごまかし)や、乗っ取り事件などなど、それらの不正を暴く公認会計士のスリリングな仕事を紹介するのが目的です。

大学生のまま公認会計士の資格を取り、監査の仕事に励む藤原萌実が主人公で活躍し、それに同行する下っぱ会計士、柿本君が事件を語るという設定になっています。 本書は、会計士の資格を目指して、専門学校に通う人々の間で人気になったということです。

会計と関係なく読んでも、おもしろくて、ためになりますから一石二鳥です。私も夢中で読んで、早速、続編も購入しました。 経済・経営学部や商学部系統に進学することを考えている高校生には特にお薦めです。

グローバル化の中で、TOBだの、M&A や MBA だの、よく分からないカタカナ語がますます日常でも使われるようになっていますから、誰でもある程度、企業のしくみや、ちょっとした経済の知識は持っておきたいですね。

日本中がこれだけ大騒ぎした、ライブドアの粉飾決算の問題、会計士がしっかりしていたら防げたかも知れません…。


それにしても、こういう本が書ける人は本当に貴重だと思います。人気になっているのがうなずけます。

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女子大生会計士の事件簿

英治出版

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『女子大生会計士の事件簿』山田真哉
英治出版:191P:998円(コミック類もあります)


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政治家や、企業家はもちろんですが、強い権限を持っている、弁護士や会計士が正義の味方でないと、安心して生活できません。塾講師もせめて、まじめに努力するものの味方でありたいと思います。

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『仕事の流儀』 高任和夫

2006年09月18日 | ビジネス書・マスコミ関連


敬老の日、今年は9月の18日で、どうも毎年変わる祝日というのは、印象が薄くなってなじめません。9月15日が良かったなぁ~と思うわけです。

“おじいちゃん、おばあちゃん” と呼ばれたい人と、年寄り扱いするな!と怒り出す人もいますので、身内はともかく、知り合い程度では、話題に出してよいかどうか悩む日ですね(笑)。

さて、本書です。確か、日経ビジネスに紹介されていたので、読みました。 「日経マスターズ」という雑誌があるのですが、そこで、“とびっきりの著名人、それも功成り名を遂げた高齢者でありながら、いまなお何らかの分野で活躍している人 ”のインタビューの連載記事があり、本書はそれをまとめた一冊です。

悩み苦しむ後輩たちへ捧げるという主旨もあるそうです。

28人の達人が紹介されています。  大賀典雄(ソニー名誉会長) 小柴昌俊(ノーベル賞受賞・物理学者) C.W.ニコル(ナチュラリスト) 小倉昌男(ヤマト福祉財団理事長) ドナルドキーン(日本文学者) 藤澤秀行(囲碁棋士) 仲代達矢(俳優) なだいなだ(精神科医) 毛利衛(宇宙飛行士) 堀田力(さわやか福祉財団理事長) 城山三郎(作家)  などなどです。

雑誌の連載のまとめですから、ひとつひとつが独立した形で、ゆっくり読めますし、知っている方から、読んでいっても良いでしょう。インタビューだけではなく、高任氏の目にどう映ったかを書いているため、この類の本にありがちな、不統一感はありません。

非常に読みやすく、結局、私も一気に読んでしまいました。もし読まれて、感銘を受けるインタビューがあれば、その方の著作を続けて読んでみるのも良いでしょう。私もそうしました。数人を除いてすべて昭和ひとけた生まれ、またはそれ以前という高齢者ばかりです。

高任氏のすべてを終えての感想は 『 能く生きることは、能く働くことと見つけたり 』というものでした。結局、社会とかかわりつつ生きていく、ビジネスに限らず、よく働くことしかないのかなぁ~、という感想なんですが、私も確かにそう感じました。

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仕事の流儀~28人の達人たちに訊く

日経BP社

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『仕事の流儀』 高任和夫
日経BP社:292P:1470円

■■■   祝祭日   ■■■

うちの塾では、祝祭日も授業がありますので、関係ないのですが、敬老の日はやっぱり、15日じゃないと感じが出ません(笑)。 1月15日(成人の日) や10月10日(体育の日) もそうですが、ずっと慣れ親しんで、文化の一つとも言える、大切な 【●●の日】 。単に3連休にするために変えるなんて、誰が考えついたんでしょう。良くないなと思います。

え~と、このブログにお越しいただく中では、○○さん○○さん○○さん○○さん・・・が、おじいちゃん、おばあちゃんでしょうか? あっ、怒らないで下さい。 どうかいつまでもお健やかに。そして、これまで通りのお付き合いをいただけるとありがたいです。若者に(よく言うよ!)励ましのクリックを、お願い申し上げます。



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『人生と投資のパズル』 角田康夫

2006年08月05日 | ビジネス書・マスコミ関連

小学生で分かる人もいれば、東大生でも分からない人もいる。まずはそんな問題です。

■■ 問題 ■■

ここにA・B・C の3つの箱があり、どれかひとつに百万円が入っています。どれに入っているか当てれば百万円もらえます。そこで、あなたは仮にAを選んだとします。

それを見た、答えを知っている人が、
『 C の箱には百万円は入っていません。AかBのどちらかです。箱をBに変えますか?』 と言われたら、あなたはBに変えますか? それともそのままAにしますか? 


よ~く考えてくださいね。


■■ 正解 ■■

迷うところでしょうが、正しい判断は

『Bに変える』 です。

AかBの二つに一つだから、『AもBも確率は2分の1だ』 と考えてはいけません。

なぜならこの場合、Aに百万円が入っている確率は “2分の1ではなく、3分の1” が正しく、そして、一方、Bの方の確率は “3分の2” になっていて、明らかにBが有利です。

どうして?Aは2分の1じゃないの? という人は、数をずっと多くして考えてみて下さい。例えば宝くじで…。

■■■
ジャンボ宝くじで1等の当たる確率は1千万分の1くらいだそうです。これは、さいころを振って連続9回、1が出る確率と同じくらいです。やってみて下さい。ほぼありえません。

縁起でもないのですが、あなたが、“交通事故で1年以内に死んでしまう確率” の方が、ジャンボ宝くじに当たる確率より、はるかに高いのです。

さて、あなたは、当たれば1億円のジャンボ宝くじを1枚だけ買いました。確率は1千万分の1ですから、まず当たりません。

そこへ、当選番号を知っている人が、↑のクイズと同様、次々にはずれを省いていき、最後の1枚とあなたの1枚となった時、

『あなたの持っている1枚か、最後に残ったこの1枚が、1億円の当たりくじです。変えますか?』 といわれたら…

あなたの持っている宝くじは、じっと待っているだけで、当たる確率が1千万分の1から2分の1に上がったでしょうか? 

もしそうなら、あなたに1億円当たりそうですが…。

いいえ、あなたの確率は1千万分の1のままで、もう一枚が1千万分の999万9999です。そんなチャンスは絶対にさっさと変えなければなりません。

ところが、こんな時でさえ、人間というのはやはり最初に自分で選んだ宝くじを手放すのは、惜しい気がしてなりません(笑)。

箱の例でも、あなたの取ったAの当たる確率は、たとえC がなくなったとしても、3分の1のままで、Bが3分の2になることがわかりますよね。

ところが実際に、これを生徒に試してみますと、誰一人、Aを変えようとしません。これは、“自分が最初に下した決断は正しいと信じたい”、という心理が働くためなのです。

そうです、我々人間は常に合理的な判断をしているではなく、極めて感覚的で不合理な動機で動かされるものです。

行列ができるラーメン屋さんはおいしいだろうとか、高いものだから安心だろう、が代表例ですね。あっ、ついでに、大手の予備校だから成績が上がるとか(笑)。

マーケティングや心理学、あるいは金融工学などでこのような問題を扱いますが、この分野の経済学でノーベル賞が出たことでがぜん注目が集まりました。

売る方は巧みに我々の心理をついてきます。賢い消費者でいるためには、なかなか気が抜けません。本書にはこうした、パズルというか、クイズ形式というか例題が多く引用されています。 

読むには、確率の考え方を理解することはある程度必要ですが、実際の生活に即したアドバイスも多く、投資をするかどうかは関係なく、消費者として生活している人々に多くの示唆を与えてくれるものです。

以前ご紹介した、チャルディーニの書いた『 影響力の武器 』 も大いにお薦めできますが、その社会心理学に共通する部分が多く含まれていました。興味のある方には、お薦めです。


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人生と投資のパズル

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読書小説書籍・雑誌ニュース

『テレビ報道の正しい見方』 草野厚

2006年07月27日 | ビジネス書・マスコミ関連
   

この前のボクシングのひどい判定、さらに、私は安倍晋三の支持者でも何でもありませんが、この前の今回のTBSの一件にはさすがにあきれました。安倍つぶしなんでしょうが、こんな時期に、日経新聞の天皇の発言メモのスクープといい、朝日新聞の広田元首相の遺族の談話といい、何か腑に落ちません。

いくら安倍氏の独走に危機感があるとしても、このTBSのやり方は幼稚というか、卑劣というか…。楽天でも何でも買収されりゃあマシになるかも(笑)とさえ考えてしまいます。

TBSは何度目でしょうか?オウム真理教による、弁護士一家殺人事件のきっかけを作ってしまったという反省はどこへいったのでしょう。

今、調べましたら、
★15年11月 「サンデーモーニング」で、石原都知事の「日韓併合の歴史を100%正当化するつもりはない」という発言を「100%正当化するつもりだ」と字幕を付けて放送。

★18年6月 「ニュース23」が、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「行くべきでないと強く感じているわけではない」と語った米下院国際関係委員長のコメントを、「行くべきではないと強く思っている」との日本語字幕を付けて放送。

そして、今回、明らかに同じ方向に“偶然” “間違えて” います。視聴者をバカにしてますよね。

まだ、こうして問題だと、明確に指摘されるものはましですが、それ以外に、どれだけ世論操作が入っているのかと考えるとぞっとします。

その前は、日テレの視聴率操作も発覚しましたね。アメリカのマスコミではイラク戦争当時、戦争反対の声はいっせいにかき消されてしまい、大規模な『 愛国報道 』がなされたことが話題になりました。

本書はニュース、報道番組はどこまで信頼できるのかを扱っています。私は夜、各局のニュース番組をはしごするのですが、あくまで個人としての感想は、

NHK:面白みに欠ける。ただBSの特集はおもしろい。
日本テレビ(今日のできごと):女性アナが事実を淡々と伝える。むしろ特集が興味深い。
TBS(ニュース23):常に結論ありき。特集も観点が独自。
フジ(ニュースジャパン):右寄りで伝え方が雑。時間も短く掘り下げが少ない。
テレ朝(ニュースステーション):内容はいつもおもしろいが、古館氏(かつては久米氏)と朝日新聞社員のコメントが不要。

本書で草野氏はこれらのニュース番組が、北朝鮮不審船の問題と、ガイドライン、森元首相の神の国発言をどう伝えたかを検証し、報道機関の意図を見抜けるように解説しています。

メディアリタラシーという言葉が最近使われるようになりましたが、その重要性を一層認識させてくれる一冊でした。非常に勉強になりました。ニュース番組をはしごされる方には特にお薦めします。


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テレビ報道の正しい見方

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『社会調査のウソ』 谷岡一郎

2006年07月17日 | ビジネス書・マスコミ関連
   
 『日本は北朝鮮に対抗するために、すぐに核兵器を持つべきだ』 

という主張の人が、仮にその支持を求めてアンケート調査をしたとします。もちろん実際には過半数の国民は反対ですが、調査にさまざまな仕掛けを施すと、真実とは逆の『国民は核武装を望んでいる』 という調査結果を作り出せてしまいます。

本書は実際に、新聞などに出される、調査、アンケートの類にはそうした“ゴミ”がたくさん含まれていると主張します。

これからの時期、ポスト小泉だけでなく、緊迫してきた北朝鮮問題や、憲法改正など、さまざまなところで、大げさに世論調査の結果が発表されるでしょうが、本書を読むと、とても額面とおりに受け取ることはできません。

手始めにこんなアンケートを紹介しています。アメリカの元大統領4人、カーター、レーガン、ニクソン、フォードと並べて人気投票をし、カーターが圧勝しましたが、非常に単純なしかけがあり、最初からカーターが勝つのは分かっていると言います。

しかけとは、カーター以外はみな共和党なので、民主党支持者は普通カーターに入れざるを得ない。つまり、カーターを勝たせるためのしくまれたアンケート調査だというわけです。

また、朝日新聞は護憲派、読売新聞は憲法改正を主張しています。どちらも憲法改正に関するアンケートを実施していますが、結果に大きな違いが出ています。その仕掛けはアンケートの問い方にあります。両社のアンケートの問い方を並べて批評を加えたところは圧巻でした。

はっきり言えば両社とも、公平を装って、実は世論操作をしているということになります。他にも、メディア、特に大新聞が自分の主張を裏付けるために行う、デタラメ・ヤラセ調査を糾弾します。メディアリテラシー、中でもリサーチリテラシーが今こそ必要です。

「働く女性の6割、職場で性的被害」 とか 「自衛隊『必要』84%」 はいくら何でも数字が高すぎますが、やはりトリックがあるのです。本当に読んでいてあきません。筆者は、仮に依頼されれば、自分でどんな結果のアンケートだろうと作れてしまうとすら考えているようです。

『 論理トレーニング101題 』 でも朝日新聞の記事を用いて、その論理のでたらめさをご紹介しました。『 子どもが減って何が悪いか! 』 の赤川学氏は、『女性の社会進出が進んでいる国ほど、出生率が高い』 というデータのうそを、見事に見破りましたが、その中でも、本書について触れ、“名著” だと絶賛していました。

そのとおりだと思います。ぜひお読み下さい。


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「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ

文藝春秋

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『社会調査のウソ』谷岡一郎
文藝春秋:222P:725円:


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『 グーグル-Google 』 佐々木俊尚

2006年07月15日 | ビジネス書・マスコミ関連

数日前、このブログをご覧になった、ある大学院生から、私の書いた 『ニートって言うな 』 の記事をご自分の修士論文の一次資料あるいは、参考文献として引用してよいかという問い合わせをメールでいただきました。

いったい、どういうことですかとお聞きしますと、私の記事がすばらしいというわけでは、ぜんぜんなく(残念ながら(笑))、その方の論文と私の記事における論の進め方、例示(ゲーム脳など) が酷似していたのだそうです。

つまり、素人がマスコミに頼らずに、ウェブ進化論などで語られる、情報の横つながりによって、自分の頭で考えようとする連帯が、現実にブログで起こっている。そこで私が書いた、当たり前の 「マスコミ主導で大きな風潮が作られるときには、やはり一歩引いて慎重に考える姿勢が必要です」 と書いたことがポイントのようです。(間違っているかもしれません)

『 ウェブ進化論 』 をご紹介したときに、英語に関していつもコメントを下さる Kaoruさん から、『VIVAさんが今やっているのも十分にWeb 2.0ですよw』 とクールにコメントいただき、 『ワオ!そうか、最先端、かっこいいぜ!』 と一瞬思いましたが、実はその意味はまったくわかっておりませんでした(ハハ…)。

本書を読んで何となくわかりました。現在進行形で、大きく世の中が変わりつつあるんだという実感です。そして、それを可能にしているのが、ブログと検索エンジン、なかでも、今は本書で扱うグーグルなんですね。

ウェブ進化論が “富の再分配” など概念的な意味あいや、アマゾンなど象徴的な大企業に関して述べているのに対し、本書はさらに、現実的で身近な広告の例を挙げて、世の中が変わるさまを地道に取材しています。

デジタルディバイドと言われますが、筆者のような方が、本書のような書き方でそのギャップを埋めていただけるのは、素人には実にありがたいです。私のようなネットの世界に“遅れている人種” にとって、誇張でなく、“世に資する” 貴重な一冊だと感じました。

こういう分かりやすい一冊を、何とか教育現場に持ち込めないかぁ~とも思います。格差(ディバイド)が問題になる中、大きなヒントを与えてくれると思います。

いや、もっと早く読むべきでした。
グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

文藝春秋

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『 google 』佐々木俊尚
文藝春秋:248P:798円


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『お金持ちなのになぜか借金だらけの国ニッポン』 財部誠一

2006年07月14日 | ビジネス書・マスコミ関連
 
景気が良くなったということで、ゼロ金利が解除されました。正直あんまり良いタイミングとは思いませんが…。

でも、これはとっても大きなニュースなので、この機会に高校生以上の生徒たちには、少しでも経済に興味をもってもらいたいなぁと思います。これからはどんな職業でも、基本的な経済の知識は不可欠でしょうから。特に、自己責任なんて言われちゃうとね。

金利が上がるということは、お金を預けている人にとっては、貯金の利息が増えますが、逆にお金を借りている人は、支払う利子が増えてしまいますね。経済は、いつも片方によければ、たいていもう片方には悪い、そんなものばかりで、ややこしいです。

さて、『僕はお金なんか借りてないから関係ないよ』 って言いたいところですが、残念でした。実は、借りていて、いつか必ず払うんですね。『誰にも借りてないってば!』 そう、君が直接、借りていなくても、日本という国が借金していますから、結局、のちのち、我々国民が、税金などの形で、支払わなければならないんですね。よくテレビで『子や孫にツケをまわさない』 というのはそういう意味なんですよ。

で、その額ですが、日本の借金は国地方合わせて700兆円とも1000兆円ともいわれます。700兆を一億人で割ると一人当たり何と700万円も借金しています。えっ、4人家族?すると2800万円の返済ですね。『知らない間に許せねぇ~!』 そうなんです。税金の使われ方は、よく見ておかないと、大変なことになっちゃう。

でも上がったのは、たった0.25%でしょ?という声もありそうですが、100兆円の借金の利息が0.25%増えると、1年で余分に2500億円も増えるんですよ。一日にするとだいたい6億円ですか。一分に直すと約40万円、たった1分ですよ、しかも今回上がった利息分だけ。

ではこれを見てください。→ http://www.takarabe-hrj.co.jp/clock.htm

筆者の財部さんが作って有名になった借金時計です。刻々と国の借金が利息で膨らんでいるのが分かります。誰か止めてくれ~!と叫びたくなるでしょう。

ところがです。一方で日本は世界一の外貨準備高や対外資産を保有しているから大丈夫という政治家や経済学者もいます。いったいどう考えればよいのでしょうか。そのあたりのことが本当に分かりやすく書かれています。

新聞などの経済記事がよく分からないという方のための入門書です。これから政経を学ぼうという生徒にも最適ではないでしょうか。ついでに…、個人向け国債はおきて破りのこの上ない安全商品だそうです。

財部誠一 お金持ちなのになぜか借金だらけの国ニッポン―新聞・テレビの「財政論議」がよくわかる本

中経出版

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『お金持ちなのになぜか借金だらけの国ニッポン』財部誠一
中経出版:221P:1575円


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『ラクして成果が上がる理系的仕事術』鎌田浩毅

2006年07月03日 | ビジネス書・マスコミ関連
  
ネット上で薦められていたので、読んでみました。仕事術とありますが、私にとっては、あまり目新しいものはありませんでした。というのは本書の中で薦めていたり、引用していたりする書籍を、ほとんど読んでいたからです。こういうことも時々あるんですね。

ですから、ビジネスマンというより、むしろ、大学受験生や大学生が読んで、仕事やレポートの作成に活かしたらどうだろうかと思います。すべてが具体的で参考になる output の仕方が書かれています。情報処理をどのようにし、無駄なく知的生産へつなげるかというテーマです。

筆者の鎌田先生は東大卒で、京大教授で、ご著書もたくさんある偉いお方ですから、わからない私のほうが、きっと頭が悪いんですが、そもそも“理系” の定義がなされていないので、本書でたびたび登場する“~が理系的” とか “文系だと~” というフレーズがしっくり来ませんでした。

理系なら、そもそもの定義 あるいは鎌田先生なりの “理系とは~” から初めて欲しかったというのが、私レベルの本音です。現在世界が注目している最新の分野は、単独の学問領域を超えた、理系・文系総動員のものが多いと思います。(心の問題が、医療と哲学、倫理、歴史など)

大学の研究者たちが最も注目している研究所ランキング』を当教室のメルマガに載せましたので、参考までに、ご覧下さい。

理系大学: 文系大学 


本書で紹介させている、書籍で私が読んでいたものは、

渡部昇一『知的生活の方法』
カール・ヒルティ『幸福論』
野口悠紀雄の著書、数冊
和田秀樹『能力を高める受験勉強の技術』
斎藤孝の著書、数冊
清水幾太郎『論文の書き方』

他にもありますが、かなり重なってしまった印象で、逆に親近感がわきました(笑)。結局、『筆者ご自身が “ラク” して書いた本じゃないのかなぁ~』 と思いながら読み進めると、最後にその主旨が述べられており、苦笑してしまいました。


http://tokkun.net/jump.htm
ラクして成果が上がる理系的仕事術

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PHP研究所:261P:777円


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『ブログの正体』伊藤穣一+デヴィッド・L・シフリー&デジタルガレージグループ

2006年06月07日 | ビジネス書・マスコミ関連


ウェブ進化論』 に刺激を受け、ブログについてもっと知りたいと思い、読んでみました。副題は、“No.1ブログ検索エンジン、テクノラティーの挑戦”です。かっこいい!

筆者の伊藤氏は、テクノラティジャパンの取締役、1966年生まれ、シフリー氏は米国テクノラティーの創業者・CEOで68年生まれです。若い!

本書はデジタルガレージ、テクノラティジャパン、WEB2.0、クリエイティブガレージの4社の書籍プロジェクトとあり、章によって執筆者が分かれています。前3社の代表取締役の林郁氏が序文を書いていて、そのグループの総称がクリエイティブガレージというのだそうです。ややこしい!

ブログだけに絞った内容ですので、まずはその歴史や、人気ブロガーがどういう人々かなどをわかりやすく紹介します。グーグル検索とブログ検索の違いを、『次世代の検索エンジンを考えると、グーグルは大きな図書館のカタログを検索する感覚。それに対して、ブログの検索はリアルタイム検索』 と時間軸の違いを強調します。

ウェブ進化論より、語られるテーマは狭いのですが、社会に与える影響に関して、両書は、さまざまな点で酷似しています。ただ“文化”としてウェブの進化の意味をとらえている前者に対して、本書はそのツールとしてのブログの有用性、将来性を強調します。

例えば、象徴的な違いは、ネットから個人が得られる収入に付いて述べた点です。引用は長いので、勝手にまとめてしまいます。

『ウェブ進化論』:(グーグルのアドセンス)月十万円稼ぐにはとても大変だが、数千円規模ならば、かなりの確率でたどりつく、として、その意味が学生や低所得層、特に途上国において、どれだけ大きいかを説明します。そこに新しい経済圏が現実にできている、富の新たな分配機能が働いていることに読者の注意を向けます。

本書:(アフィリエイト)ある会社の成功報酬ランキングに言及し『個人で月に300万円、200万円と驚くべき収入を得ている人もいる。(中略)数十万円というのは珍しくない』とし、今後この市場がさらに拡大し、日本経済の活性化にまで言及します。

テクノラティーの紹介本ですから、やや宣伝めいているのは当然ですが、それでも、ブログの存在意義、今後の可能性について勉強になりました。

http://tokkun.net/jump.htm

革命メディア ブログの正体

インデックス・コミュニケーションズ

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『ブログの正体』伊藤穣一+デヴィッド・L・シフリー&デジタルガレージグループ
インデックスコミュニケーションズ:207P:1575円


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↑↑↑ ふ~っ!やればできた。1時間かかったけど。Thank you でございます。



ちなみに↓がテクノラティーのタグです。押してみてください。どう使うかわかります?今のところ効果は?(笑)どなたか正しい使い方教えて下さい。 
あっ↑ですか?これはブログランキングです。どれでも結構ですから押してみてください(笑)。いつのまにやらにぎやかになってまいりましたぁ。

ブログの正体 テクノラティブログ  ウェブ進化論

『ウェブ進化論』梅田望夫

2006年06月05日 | ビジネス書・マスコミ関連
 

いつ頃からか、私の読書はあっちへ行ったり、そっちに寄ったりで、常に同時進行で数冊、時には20冊くらいを読むというヘンなスタイルになってしまいました。

あまり興味をひかないものだと、途中まで読んだ内容を忘れてしまい、もう一度最初からやり直しになったり、もういいや、と止めてしまったりするものもあります。かなり…。

本書は違いました。最初から、最後まで集中して読んだのは久しぶりです。今、確認しますと、アマゾンではすでに100を越える書評がありますし、ネット上でもたくさんの良質なレビューが出ていますから、今さら“ネット素人”の私があまり申し上げることも、あまりないでしょうが、せっかく読みましたので、少しだけ…(笑)。素人が読んだほうが衝撃の度合いが大きいとも言えるでしょうから。

単なる検索エンジンだと思っていたグーグルの思想、ネットのこちら側とあちら側という対比で、社会を非常にわかりやすく解説してくれます。ホームページとブログの意味するものの違いなど、まったくわからないままでしたし、そんな状態で始めたブログのおかげでネットを見ていて気になったものが(例えばいろいろな無料サービス、アフィリエイトなど)かなりあったのですが、それが氷解した印象を受けます。

ヤフーや楽天に対し、グーグルやウィキぺディアの違いなど、引き込まれて読みました。ロングテールやフラクタルなど、以前ご紹介した『歴史の方程式』 にも通じるような物理的な分析にも感心しました。

そうした分析が興味深いだけでなく、世代論や社会構造分析など、非常に高いレベルの筆者の教養と前向きな人生観まで感じられる一冊で、多くの方にお薦めしたいと思います。
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

筑摩書房

詳 細

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『ウェブ進化論』梅田望夫
ちくま新書:249P:740円

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『最強のファイナンス理論』 真壁昭夫

2006年06月05日 | ビジネス書・マスコミ関連
 
『ヘッジファンド』 とか『デリバティブ』 といった経済用語が新聞などマスコミに出てきます。高度な数学とコンピューターを駆使して投資をし利益を得るという、金融工学と呼ばれる分野です。難しそうですが、どういうものか知りたくて本書を読みました。

読んでみますと、本書は専門書ではなく、入門書。しかも金融工学を説明するのではなく、それと対峙する、“行動ファイナンス理論” を紹介するのが目的です。あれ?

簡単に言えば、『数学』的な市場把握に対して、『心理学』的な市場理論です。数学的に必ず儲かる投資理論があるとすれば、数学者は誰も損はしないはずです。先日ご紹介した『天才数学者、株にハマる』 で書いたとおりです。

あるいは市場というものが常に合理的で情報を共有していれば、バブルは起きないし、ぼろ儲けもありません。そういう現象を、心理学を基本に人間の市場での行動や、そのメカニズムを扱うのが行動ファイナンス理論です。 

証券アナリストの試験にも最近出され始め、この理論でノーベル経済学賞を取った学者が出て一気に注目が集まりました。伝統的経済学理論ではバブルなどは“例外的事項”として説明は放棄されていたそうで、そこに光を当てたわけです。

筆者は投資を実践するように進めていますが、マネーマーケットに関係なく心理学の本として読んでもおもしろい一冊で、お薦めできますが、“最強のファイナンス理論”という題名はかなりずれがあるかなと(笑)…。

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最強のファイナンス理論―心理学が解くマーケットの謎

講談社

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