憲法記念日ですよ、生徒諸君!新聞社はみな憲法に関してそれぞれ社説で意見を述べています。ぜひ読み比べてもらいたい。新聞を買わなくても、ネットで読めるからね。産経新聞のサイトに他社の社説へのリンクが付いているから便利。いろいろな意見があって勉強になります。
⇒ Sankeiweb
小泉前首相が訪朝し、北朝鮮が拉致を認めて以降、すっかり言論、特に国防や憲法に関して次々とオープンになってきました。以前は政治家が改憲などを口にすることは、即、“タカ派” のレッテルが貼られて、議論すらタブーのように感じていましたが。
今や、総理大臣が堂々と憲法改正を訴えて選挙をするかもしれないという状況で、ほとんどの世論調査で改憲が支持されているというのは、実に隔世の感があります。
今から15年くらい前でしょうか、読売新聞が自ら改憲試案をど~んと掲載した時は本当に驚きました。私は読売新聞のあの不遜な態度の○○さんは、絶対に好きにはなれませんし(笑)、朝日新聞はもう…、申し上げるまでもないかな(笑)。
読売に関しては、『虚飾のメディア』で、朝日に関しては『メディアの迷走』 を取り上げましたし、また、以前ご紹介した名著 『社会調査のウソ』 を見れば、読売が改憲、朝日が護憲の立場から、どちらも世論操作を行っているのは明白です。
が、それでも本書は興味深い一冊でした。
戦後、同一テーマについて書かれた両新聞社の社説を比較するという企画です。サンフランシスコ講和条約から始まり、消費税、日の丸君が代問題、石原都知事発言、歴史教科書問題など、両社の主張が大きく異なった30以上の話題を取り上げています。
一応それぞれの論争にレフェリー役の作家、井沢元彦氏がコメントをするのですが、氏の判定では読売のほぼ一方的な勝利になっています。事実、時の経過によって“読売が正しかった” と証明されたものが多いようですが、個人的には、井沢氏の判定ほど一方的ではないような気がします。
本書の編集は読売側が行なっているため、(また中央公論というのは確か読売が買収したと記憶しています)、議論の形式は見かけ上は公平であっても、題材の選び方、コメントテーターの人選など、あらゆる点でそう言えるかどうかはかなり疑問です。
下世話に言えば、“読売が朝日にケンカを売り、朝日はコテンパンにやられた”形になっていますが、ただ、仮に不公平な設定であれば、今後、朝日新聞が同種の企画をして、反撃をしてくれることをぜひ期待します。
二社の優劣はさておき、日本の世論をリードしてきた大新聞の社説を比較し、検討を加えるというのは、極めて単純な方法ですが、人々に与えた影響力を考えるとジャーナリズムの歴史的な資料ですね。
掘り下げ方次第で大学生の研究論文の対象にもなるでしょうし、中学生レベルでも非常にわかりやすい手法です。新聞の社説ですから、普通の中学生にとっては平易な内容ではありませんが…。
高校生以上なら、難解なところは飛ばし、自分の興味のある話題だけで構わないのでぜひ読んでもらいたいなと思う一冊です。そして、それらについて、できれば自分なりの意見を持つ、さらに他紙を調べても良い、そうすることは絶好の知的訓練になると思います。
また、一口に新聞と言えどもこれほど大きく主張が異なる、新聞に書いてあることは必ずしも一致しないし、正しくないということを明確に教えてくれるという点で本書を推薦したいと思います。
1 1950~70年代(講和条約;60年安保;70年安保)
2 80年代(モスクワ・オリンピック;82年元旦社説;84年元旦社説 ほか)
3 90年代以降(PKO;村山社会党、安保・自衛隊政策転換;憲法改正試案発表 ほか)
本書の他に、同様の企画で、北朝鮮問題に絞ったもの、そして21世紀に入ってからの話題に焦点をあてたものが出されているようです。
憲法改正について、是か非か、どちらの側に立ってもディベートできるくらいになるまで、本書のようなものを参考にしっかり勉強して下さい。
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読売VS朝日―社説対決50年 中央公論新社 詳細 |
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私は今日は、憲法制定の過程を描いた本を採り上げました。草案ができるのにたった9日。憲法の専門家はおらず、23歳の女性通訳までもが条文を書いていたそうです。物語としても面白く、中学生や高校生でも読めるのではないかと思います。TBさせてもらいました。
今日本で一番問題になっている、同じ素材がメディアというシェフの意図するところによってどれだけ違う料理が仕上がるか、みたいな実証検分ですね。しかも3部も!
このシリーズだけで、時事と現代史とメディア論を一挙に学べそうで、たしかにVIVAさんのご指摘通り、卒論にはぴったりの面白いテーマになるでしょうね。私が今学生だったら、すぐノッて書きます。
憲法はついに60年経ってしまいましたね。もちろん非常に大切なきまりなので、簡単に変えてもらっては困るのですが、60年というのは長過ぎるとも感じます。9条以外でも、変えたり、付け加えたりしたいものがあるようですが、どうも動かせないですね。
白州次郎の本、気になっていたやつです。チェックしておきます。ありがとうございました。
でも本書を読むと、かなり以前から違ったことが書いてあったんだな~と思いました。昔は、朝日が高級紙で読売がやや下という受け止め方があったようにも記憶しています。
最近は高校生でも、新聞の特徴を言う生徒がいたりして驚きます。
朝日は、いったいいつ頃から偏向と呼ばれるようになったのでしょう。
昨年の記事にも書きましたが、70年代初頭のベトナム戦争の真っ最中
朝日新聞には開高健がベトナムへ従軍記者として駐留し、毎日臨場感あふれる素晴らしいレポートを送ってきたものです。
片や朝日ジャーナルには、毎週ベ平連代表の小田実が熱い反戦の論旨を展開して、反戦運動の精神的基盤となったものです。
(論理的基盤は羽仁五郎の『都市の論理』)
私は今でもこのふたりの真性のジャーナリストが、このふたつのメディアを通して語りかけなかったら、日本の反戦運動のあれほどまでの高まりはなかったと信じてます。
ところが、ネットで記事が読めるようになって、最初にasahi.comを読んだ時の驚き! 落胆です。内容がお粗末すぎる。
(ということは、精神が貧しいということなのですが)
どこでこんなFree fallがあったのか、非常に残念でくち惜しいです。
本多勝一氏はじめ、中国や北朝鮮よりの報道が目立つということも言われますね。私たちよりさらに少し下の世代は、学校で強い自虐史観を植え付けられていて、大人になってから、あれちょっと違うぞと気付くんですね(笑)。そういうのを扇動しているのが朝日だと若い人が言います。
ネット右翼とからかわれていますが、若い世代が朝日嫌いになっているのは、そんな背景があるのかなと思います。私たち以上に戦争をまったく知らない世代が怒っているので、時々驚きます。
悲しいことに、人生のうちで社会の動きにもっとも鋭敏なのは、
なぜか学生時代だったような気がします。
世の中の矛盾や大人の偽善、政治の嘘が許せず……
それでデモに出かけたりした日々もあったなぁ、と
今は昔です。
仕事が業務から、自分の使命みたいなものに変化して
お務めがビジネスに変わったあたりから、
世界の動きに関心をもつひまがなくなったような気がします。
だから70年後半から90年なかばまでの20年ほどは、
私の頭には新聞の大見出しになるような大事件しか焼き付いていません。
ほんとについここ数年です。
もしかしたら、インターネットで世界の動きを読み始めてから
かも知れませんね。真剣に事実が知りたくなったのは。
いつも寝ぼけた頭に警鐘を鳴らしてくださるVIVAさんの書評に
お世辞じゃなく感謝しておりますです!
(お返事はきりがなくなるので、いいですよ。)
実はね、朝日少年なんでね。まぁ読売とか日経とか色々読んでるけど。ちなみにメーデー、日比谷の護憲集会に行ってきましたよー。
こういう本は新潮辺りが有識者ならぬ変識者を集めて出版して欲しいですね。
たしかに朝日は偏向と虐げられていますが、その言葉に負けず、その意気を貫いているのが良いと思います。
ちくまや岩波など、出版業界で左向きな会社は多々あります。しかし、新聞業界ではもはや朝日だけと言っても過言ではありません。
新聞は毎日読みます、文庫に比べれば目を通す機会が多いはずです。そこで朝日がなくなれば、朝日特有の火は消え、大衆紙はどこも同じ様な事ばかりを書き、ますます大衆は右傾していく様な気がします。
確かに朝日は偏向で左傾で事実と異なる記事を書いているかもしれない。
でも朝日が不必要でないのは事実なはずです。
正直、朝日がここ最近落ち込んでいるのにはショックです。
長文失礼
お~、久しぶり。
元気で良かった良かった。護憲集会に行くとはたいしたもんです。
そうそう、そうなんです。朝日は絶対になくならないから心配無用。虐げられていう感覚がおもしろい。
いずれにしろ、多少、贅肉部分は剥げ落ちても、きちんと残りますよ。