「ウチも結構うるさいよ~」
「色々口出ししてくるよね」
「そうそう。
私なんてこの前お母さんがね」
「ふーむ」
どこもそうなのかな、と
律葉はため息を付く。
今日は狩りもなく、
同い年の子達と出掛けて
買い物を済ませた所。
父親がうるさいんだよね、と言うと
先程の返事。
「でも羨ましいな。
律葉、響と同じ班でしょう」
「……ええ」
「狩りではどんな感じ?」
「どうって、普通だよ。
他の班と同じだと思う」
「私は潤がいいなぁ。
かっこいいじゃない」
はは、と律葉は
彼女たちの言葉を笑って受け流す。
「そういって、
そっちこそ修が居るじゃない」
「ううん。修はねぇ」
ちょうど、律葉達の年代にとって
2つ上の響達は
憧れの人、という立ち位置にちょうど良い。
こうやって集まって話す時に
話題になるのはそういうことばかり。
「潤と響の2人が居るんだもの。
律葉のお父さんは心配しているのよ」
「年上2人に囲まれて~」
「からかわないでよ」
自分達の班は仲が良いとは思う、
でも、それは
あくまで同じ班のメンバーとして。
「でも律葉の班って
不思議な組み合わせだよね」
ふと、1人が呟く。
「響と潤なら、
班を分けても良さそうなのに」
「上手な人だけ組み合わせた訳でも
無さそうだよね」
そう言って、
あ、ごめんね、とその子は律葉を見る。
いいの、と
律葉は首を振る。
飛び抜けて狩りが上手い訳では無いと
自覚している。
「それなら、
あの子が居るからじゃない?」
「あの子?」
「秋葉」
「あぁ、そうか」
「律葉達は聞き分けが良いから
問題のある子と
一緒の班にしたって事」
大変だね、と言われて
そんな事無いと律葉は言う。
「秋葉は、いい子だよ」
「うん、悪い子じゃないよね」
「大人しい子だし」
「同じ班になったら、
そりゃあ狩りはきちんとするよ」
「けど」
「それだけ、だよね」
「あの子の家の問題だもの。
私達にはどうも出来ないわ」
「律葉が気にすること無いよ」
「………うん」
結局はそういう事。
父親が普段の付き合いを控えろと言うのも。
秋葉の家の事を言っているのだろう。
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