tonto's blog

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便利な言葉

2012-08-28 | weblog

 「医者たちはなぜ互いに先生と呼び合うのか」という題名のコラムがありました。それを読み、私なりに考えてみました。

 医師の世界では同業者らしき他人のことをだれでも「先生」と呼び合います。そして私も患者さんや看護師から「先生」と呼ばれることや医師同士で「先生」と呼び合うことに、違和感はありません。ただ、出身大学の同級生や後輩には使わないようにはしています。

 有名なことわざに「先生と よばれるほどの ばかでなし」があります。「先生」と呼ばれても、いい気になってはいけないよということ。「『先生』という言葉には必ずしも敬意が含まれていない 」という意味のようです。はい、まさにそういう感じですね。「センセー」とか軽いですもんね。

 数年前にある製薬会社の医療情報担当者(M.R.:Medical Representative)から同社の内服薬の特徴などの説明を受けたとき、「先生」「○○先生」と連呼され、相手が自分のことを“バカにしているような感じ”を覚えたことがあります。「君が先生という言葉をよく使うのは、たぶん癖になっているのだろうけど、よく感じないヒトもいるよ」って注意したらそれ以降はピタッと訪問がなくなりました。

 そのコラムには色々な理由が、たとえば「権力勾配の維持」とか難しい理由が書いてありましたがそんな難しいことじゃないんです。

「とても便利な言葉なんです」

 たとえば町で久しぶりに「先生」にすれ違ったとします。
 「先生、お久しぶり!」って言えるのですけど、「先生」と声をかけない業種の人だと名前が覚え出せなくて、声がかけられずに通りすぎてしまうことってありますよね。他の職業でも「先生」と呼ばれる業種の方々もきっとそうだし、一般の人からしても「先生」と呼ばれる人には、名前なんかどうでもよく「先生」で済むのです。誰だって心の底から「先生」って思える先生なんて数人もいないでしょ。

 「物忘れ」が進み、ヒトの名前がなかなか思い出せなくなってきているこの頃、余計に「便利な言葉」だと思っていますよ。