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対米交渉に自信を持つ中国,WSJノ寄稿、米国を恐れない中国、米の官僚組織も現状維持望む

2016年12月16日 08時59分59秒 | thinklive

*中米関係をそれぞれのサイドから眺めている、分かり易くまとまっている、

ドナルド・トランプ次期米大統領の台湾に関する発言に対し、中国外務省が「深刻な懸念」を表明した。中国共産党の機関誌もトランプ氏を「子供のように無知」との評価を下した。これらは中国が次期米政権を警戒をしている証しだ。

  筆者は先週1週間にわたって中国に滞在し、政府関係者や元関係者、起業家、ジャーナリスト、非政府団体の代表、そしてシンクタンクの研究者などと話す機会を持った。そして彼らは意外にもトランプ氏に対し、全体としては好意的な意見だった。中国の人々がトランプ政権との関係をあまり悲観視していない理由には、以下の5つの根拠がある。

1.「中国は強国だ」

 確かにトランプ氏は中国とのこれまでの関係を再考するかもしれない。しかし、だからといってそれがすべての終わりを意味しない、という意見があった。今の中国は米国に対抗する手段を数多く持っている。そのうち米国の国民も目を覚ますだろう、というのが彼らの考えだ。

2.「米国には制約がある」

 中国に立ち向かうにはお金がかかるという声もあった。商務省の元当局者は「今後米国は南シナ海のパトロールを強化するかもしれないが、それにはお金がかかる」と指摘した。トランプ氏が米国防総省の予算を大幅に増額する方針を固めていると筆者は伝えたが、その予算*には限界がある、

3.「ビジネスマンは実務的だ」

 中国は過去30年にわたって経済拡大を続けているが、それはイデオロギーの放棄を持って成し遂げられた。トランプ氏もビジネスマンとして成功を手にしており、実際は現実主義者であると筆者は聞いている。トランプ氏がニクソン元大統領のような「狂人」像を作り上げればメリットがある、とあるジャーナリストは話していた。しかしほとんどの人は、そのイメージはすべて見せかけのものだと確信をしている。

4.「官僚と利益団体の存在」

 選挙期間中には中国を批判しながら、当選後はその姿勢を改める大統領が過去にもいた。中国の人々はその変貌ぶりを目の当たりにし、なぜそのようになるのかを分析をしている。米政府の省庁は新たなアイデアを封じ込めることにたけている、というのが彼らの答えだ。トランプ氏のように政治経験のない人物が、議会や連邦政府の官僚の影響を避け続けるのは難しいだろう。

 5.「習慣と相互利益」

 ヘンリー・キッシンジャー元国務長官が北京を訪問してから45年が経過した。中国のあらゆる層の人は、この間に両国が相互利益を生み出せる関係を築き上げられたと考えている。「ウィンウィン」という考え方は、中国でも支持を集める。逆にそのような関係が崩されるとは、あまり考えられていない。

 どこの国の人であっても、変化を拒む思いは強い。しかしここまで大きな出来事が今年は起きたにもかかわらず、今後も現状維持の政策が続けられるだろうと考える中国の人々には、驚きを覚えた。

 トランプ氏は多くの有権者に対し、時代遅れの政策は廃止する決意であると訴えかけた。そのことも中国の人々には話したが、中には「ウィンウィンですら廃止されるのか?」と聞き返してくる米国通の人もいた。

筆者のスティーブン・セスタノビッチ氏はコロンビア大学教授。米シンクタンク外交問題評議会(CFR)のシニアフェローも務める


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