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10年後の認知症発症リスクを48%も減らせる可能性、脳のトレーニングゲーム、月会費14$,年間で90$

2016年07月30日 09時35分50秒 | thinklive

新たに発表された10年間にわたる研究の結果によると、コンピューターを使う脳トレーニングで視覚情報の処理をより迅速に行わせる「スピードトレーニング」による効果が、一般によく知られた他の2つの脳トレ法(記憶力の訓練と、論理的思考の訓練)による効果よりはるかに高かった。研究チームは、合計11~14時間のスピードトレーニングを行っただけで、10年後の認知症発症リスクが48%も減る可能性があることを突き止めたという。

 この「高齢者向け先進的認知力トレーニング(ACTIVE=Advanced Cognitive Training in Vital Elderlyの略)」の研究結果は、カナダ・トロントで開かれていた国際アルツハイマー病会議(AAIC)で24日に発表された。行動的介入が認知症の発生を抑制し得ることを示した初の研究だと考えられている。年を取っても頭を柔らかく保つため、さまざまな脳のトレーニングを実践する人は少なくない。ACTIVE研究の一環として発表された先行研究では、試した3種類の脳トレがすべて、認知機能および(食事を作るなどの)日常生活能力の改善につながることが示されていた。中でもスピードトレーニングは、その他の脳トレ法を上回る効果を示した。例えば自らの過失による車の衝突事故の発生を減らす、健康状態の悪化を防ぐという点で効果が大きかった。スピードトレーニングは、うつの症状を予防する効果を示した唯一の介入法でもあったという。

オハイオ州クリーブランドに本拠を置く医療機関クリーブランド・クリニックのウェルネス(健康)研究所の代表を務めるマイケル・ロイゼン氏は「これで認知症発症のリスクを50%近くも減らせるのだとしたら、すごいことだ」と話す。同氏はこの研究に関わっていない。

 その結果、合計10時間のトレーニングを受けただけの被験者が10年後に認知症を発症するリスクは、平均で33%低下した。これに対し、追加訓練も受けた他の被験者のリスクは48%低下した。

  脳トレゲームは近年大きなビジネスになっている。だが一部の研究者たちは、ゲームが認知力の低下を抑えられる、あるいは症状を改善させられるといった脳トレプログラムのメーカーの主張に懐疑的な見方を示している。

 連邦取引委員会(FTC)は今年、脳トレプログラム開発会社Lumos Labsを相手取った欺瞞広告をめぐる訴訟で、同社に200万ドル(約2億1000万円)を支払わせることで和解した。FTCは同社が開発した脳トレプログラム「Lumosity」について、認知症や加齢に伴う認知機能低下を予防するという虚偽の主張を行ったとして提訴していた。

 フロリダ大学臨床・健康心理学部の代表を務めるグレン・スミス氏は、認知症を引き起こす神経生理学的プロセスにスピードトレーニングが影響を及ぼすかどうかは不明だと語る。ただ、そうした脳トレゲームは少なくとも、人々が認知症につながる何らかの脳の変化に直面した際に回復する力をつける助けになり得るという。同氏は同じような脳トレゲームを使って別の研究を行っている。

研究で使用されたスピードトレーニングは、研究者によって開発されたが、2007年にポジット・サイエンス社(サンフランシスコ)にその権利が取得された。より使いやすいバージョンのゲーム「ダブル・ディシジョン」は、ポジット社のオンライン認知訓練サービス「BrainHQ」の一部として提供されている。会費(ダブル・ディシジョンの使用権を含む)は1カ月で14ドル、1年間なら96ドル。同社は今回の臨床試験の結果を基に、米食品医薬品局(FDA)に対して医療機器として申請する計画だと話している。

 ダブル・ディシジョンでは、視線の中央に表示される物体を見分けると同時に、周囲に表示される物体も認識する必要がある。正解すると、表示のスピードが速くなったり、邪魔が入ったり、物体の区別がつきにくくなったりする。




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