テトキチワールド

 松山在住のテトキチの食べたり、旅したりの記録。ときどき、シャム社長のおともをします。

『これが愛媛の噂のラーメン』上位10店をいく①

2010-10-31 09:12:33 | 麺類
 『これが愛媛の噂のラーメン』が刊行されました。『タウン情報』や『美食倶楽部』にのっている店は100%掲載料を払っての広告だ、という話をきいています。さて、同じ版元からでたこの冊子は、どうなんでしょうか。1000人アンケートの結果とか、いってますけどね。この機会にベスト10とされたお店にいってみました。



 「一風堂」って、多店舗展開しすぎちゃって、いつでも行けると思っちゃうので、かえって行かなかったりします。なんだかんだでひさしぶり。赤丸重ね味です。食べてみると、たしかに美味。全国で支持されるだけのことはあります。辛い味噌とニンニク風味のマー油が、文字通り重なっていて複雑な味をつくりだします。



 お昼のセットで餃子と組み合わせて900円でした。



 「一風堂」が松山進出して以来、いかなくなってしまった「一興」。ホンモノが来たのに、コピーを食べにいく必要はないというのが、その理由。街なかからはずれたところにあるしね。



 こってり味の方を頼みました。食べてみると、「一風堂」よりもトンコツの味が濃いですね。逆にいうと「一風堂」の方が食べやすいです。トンコツの風味が好きな人は「一興」を好むでしょう。「一風堂」のコピーと思っていましたが、食べ比べるとちがうものです。麺はかなり細め。



 こちらもお昼の定食で餃子と組み合わせました。「一興」は830円。にしてもこの餃子、このぐらいまで焼くのがこの店の流儀か、それとも焼きすぎた失敗作か。



 さて、この冊子、1000人アンケートをとったといって科学的な装いをこらしています。けれども、どのようにサンプル(調査対象者)を選んで厳密にやったのか怪しいものです。そもそも、食べもののおいしいまずいを量的な調査で判定できるものなのかどうか。「年間に足を運ぶラーメン店は30~40軒程度です。県外の店だったら4~5軒ぐらい」という人相手だったら、千人にきいても2千人にきいても、どこがおいしいかなんかわからないでしょう。きわめて狭い範囲のラーメンしか知らないわけなんだから。



 そんなことを思いながら「長浜一番」へ。昔から定評のある博多ラーメンのお店。トンコツというとギトギトという印象がありますが、「長浜一番」はわりとあっさりしています。そこらあたりが人気の理由かな。



 さて、ひさしぶりにいってみた「ラーメンショップ久万の台店」。



 やたらと平べったいという印象を与える器で登場。スープをすするとトンコツの臭みがあって、こってりしているのかと思うと妙に味の薄いスープでした。このラーメンがベスト10かあ? 『これが愛媛の噂のラーメン』では、ラーメン評論家の石山勇人氏に、ベスト10のラーメンを実際に食べてもらうというのが目玉企画になっています。このラーメンをおいしいとはいえないだろうし、ギャラをもらって仕事している以上、辛口評論をするわけにもいかないだろう。はたして石山氏はどう評価したのであろうか。興味にかられて、「ラーメンショップ」のところを立ち読みしてみました。読んでみると、ねぎがシャキシャキしているぐらいで、麺やスープの味についての言及はほとんどありませんでした。石山氏は、評論家としてそれなりに誠実なのかもしれません。まあ、石山氏も愛媛くんだりまで来て、「ラーメンショップ」のラーメンを食べさせられたのには、驚いたことであろう。



 比較的最近出店した「丸源」。まだ、混雑は続いているみたいです。このお店は、家族連れがけっこう来店したりしていますねえ。



 ここもトンコツを基盤にしたスープ。愛媛の人って、そんなにトンコツスープが好きだったのかなあ。冬季限定の坦々麺なんていうのもあったのですが、基本の肉そばにしました。ここも多店舗展開するだけあって、食べさせる味です。ギトギトしたスープなんですが、柑橘系の擂ったものを溶かしていくといい風味が加わって食べやすくなります。



 でもベスト10に、多店舗展開する県外資本のチェーン店が2つ入るというのは、どうなんだろう。もし、この順位が多少なりとも意味があるというならば、愛媛のラーメンの水準の低さをあらわしているということにもなるんだろうけど。私が、仮にこの手の本を編集したとしたならば、アンケートで上位に全国チェーンが来ても番外扱いにするけれど。だって「愛媛のラーメン」じゃないんだもん。それとも、全国チェーンだから広告費をはずんだのかな。



サンク・メール(東京第一ホテル)

2010-10-30 09:53:59 | 洋食
 上州名物を駆け足で食べてきました。見物するところはあまりなかったけど(まあ、遊びにいったんじゃないんだけど)、いわゆるB級グルメはけっこうあって面白かったです。松山の方はといえば、南予、東予と異なり、ご当地グルメのない土地。なんとかしようとする試みはあるようなんですが。その松山名物づくりの最新版、サンク・メールを食べに「東京第一ホテル」にいってみました。



 レジの壁には、「レストラン門田」の門田シェフ名のサンク・メール認定証がありました。サンク・メールは、報道されているように愛媛産の食材を使用したブイヤベースです。



 つけあわせのサラダ。店内を見ると、お昼のお値段ちょっと高めのお店の定番・ヒマそうなご婦人方に混じって、ジャージ姿の初老のオッサンが1人。地方色を感じる光景です。



 エビ、ヒオウギ貝、白身系の魚2種に、山のものも入れるということでじゃがいも、ブロッコリー。ヒオウギ貝がつかわれているあたりに愛媛らしさを感じるかな。市販の缶詰とかパックのブイヤベースは、かなり濃い味つけでくどい感じがします。けれども、こちらのスープは上品にしあがっています。いい出汁がでているという感じ。人によってはちょっと薄いかな、と感じるかもしれません。門田シェフ認定なので、「いやな後味」が残る化学調味料は使われていないんでしょう。



 ニンニクのきいたアイオリソース。これを加えるとコクがまして味としてはおいしくなります。しかし、このソースがかなり冷たかったので、スープに加えるとスープが冷めてしまうのが難点です。これらにパンかご飯がついて2100円でした。



 『リック』だか『リビング』だかにでていた広告をもっていったら、ついてきたパイナップルのシャーベットです。



 今まで知らなかったけど、お昼の定食もあって、けっこうおいしそうなものが並んでいます。また、そのうち試しに来てみようかな。



 さて、このサンク・メール、松山にやってきた観光客が、「松山に来たならサンク・メールを食べて帰らなきゃ」と思うところまで成長するでしょうか。「まずはお手並み拝見といきますかな」(by浜田剛史さん)。

上州半周⑤(群馬の駅弁)

2010-10-29 09:30:39 | 国内旅行ー関東・甲信越
 再び高崎市へ。



 高崎の名物はだるまということで、駅にも壁画が。でも、愛媛県知事選や松山市長選に出るわけではないので、購入はしませんでした。



 駅前から市役所に向かって伸びる大通りは、市制施行110周年の記念事業ということで、花々によってきれいに飾られていました。



 高崎城跡。このしょぼい門と櫓が、群馬県内に残る唯一の城郭建築物なのだそうです。ということで、前橋・高崎というあたりは、どうも観光資源に乏しいようです。東京にいた頃の群馬旅行といえば、草津温泉とか伊香保温泉だったもんな。前橋、高崎は素通りしてたっけ。絵はがきを探してみると、駅構内のみやげもの屋にあるのは、伊香保温泉や谷川岳のものだけで、前橋や高崎の絵はがきというものはありませんでした。それだけ、観光目的で訪れる都市ではないということなんだろうな。



 そんな高崎市ですが、市庁舎は地上21階の立派なもの。



 夜の市役所。最上階にまだ灯りがともっています。松山市役所職員と違って、高崎市の職員は夜まで勤勉に働く、というわけではありません。私は足を踏み入れませんでしたが、最上階が展望レストランになっているのです。今や市庁舎は、地下に職員食堂をつくっていればいいという時代ではないようです。



 高崎市でもソースカツ丼を試してみることにして、「栄寿亭」にいきました。



 店内はカウンターだけで、おもちかえりもできます。



 カツ丼のAは400円と安く、ファストフード感覚のカツ丼屋さんのようです。品書きには、「カツ丼Aは、ソースカツ丼ではありません。和風だれを使用しています」みたいな断り書きがありました。そのとおり、少し甘味のある醤油だれのかかったカツ丼でした。400円でも、別にカツがぺらぺらということはなく、適度な厚みをもっていました。値段が半額以下なので、さすがに前橋の「大村」よりはカツが小ぶりですが。吉野家の牛丼が通常380円ですから、このような400円カツ丼のお店があれば、安いし、味もそれなりだしで、便利なことと思います。



 夜食に群馬を代表するだるま弁当(900円)を。こんにゃくとか山菜とかが入る弁当で、海辺の街の駅弁と比べると、貧相な感じは否めません。



 もう一つ、こちらも群馬を代表する駅弁の峠の釜飯(900円)。関東の人は、この器をご家庭で再利用しようと、けっこう持ち帰る人がいます。でも、どの程度実際に使われるかは、疑問です。利用されることのないまま、引越しの際に人知れず廃棄される運命の器が多いんじゃないかな。
 


 群馬県は、高崎のだるま以外にこれといったみやげものもありません。ということで、今回は、だるま弁当の容器(貯金箱として再利用可能)と峠の釜飯の器をみやげがわりにもちかえりました。

上州半周④(藤岡ラーメン)

2010-10-28 08:35:02 | 国内旅行ー関東・甲信越
 群馬県のラーメンどころといえば、ここ藤岡市。無人駅になる寸前といった風情の群馬藤岡駅で降ります。愛媛で瓦といえば菊間町ですが、藤岡市も瓦生産が行われているようで、駅名を示す看板が瓦で焼かれ、鬼瓦も駅正面にとりつけられています。



 藤岡ラーメンの有名店である「みやご食堂」へ。外見は、まさに田舎のさびれた食堂です。



 12時をちょっと回ったときにいったのですが、なんと太麺中華そばが売り切れ。私の正面でモゴモゴと食べていたおばあさんは、太麺中華そばだったから、あれが最後だったのか。わずかの差だったなあ。ちくしょう。



 ということで、ふつうの中華そば(500円)を注文。具はナルトがのったりして、昔ながらの関東風ラーメンです。スープもあっさりとした醤油味で標準的なお味。



 特筆すべきは、こちらの麺です。やや平べったい幅広の太い麺は、手打ちとのこと。非常に強いコシでモチモチしていて、これはおいしい。やわやわ麺がお好きな松山の人たちが、この麺を食べたら、どのように感じるのであろうか。ゴムみたいっていうのかなあ。



 関東ローム層の農地が無秩序に宅地化した北関東にありがちな風景。この奥のほうに「宮口軒」はあります。無秩序開発なので、道がまっすぐではなく、入り組んでいます。この看板がでていなかったら、たどり着くのにかなり手こずったことでしょう。



 住農混在の地域に、ぽつんと1軒だけあるお店。



 純手打羅亜麺(500円)を注文しました。店内にはラーメン博士の佐々木准教授の色紙もかざってありました。さすが、激務の中、足をのばしておられるようです。それにしても、「みやご食堂」も「宮口軒」もラーメンの値段が安いですね。場所代が安い(償却してしまってタダ?)せいもあるのでしょうが。



 こちらのスープは、ピリッとした辛味を感じる個性的なスープ。具に、ごま油で炒めた野菜がのるのもかわっています。スープの辛さを増すことも可能になっていましたので、辛いスープに合う具にしているのでしょう。



 さらに個性的なのはこの麺。手打ちのため、不均一な太さの麺になっています。そして縮れというよりは、ねじれが入っています。コシがあるとともに弾力のある麺は、噛むと歯を押し返してくるような感じを受けます。これまた美味。これは、ラーメン界の「宮武」だなあ。



 2軒とも、おいしゅうございました。藤岡の街を歩くと、他にも「手打ち」を掲げたラーメン店があったから、この地で麺を手打ちにするというのは、一般的なことなんでしょうか。ともかく、群馬のラーメンどころの名に恥じぬラーメンでした。



 さびれきった群馬藤岡駅のショーケースに、特産品として瓦などと一緒に置かれていたおみやげ用藤岡ラーメン。でも、前橋駅や高崎駅の構内の土産物屋には置いていませんでした。どこで売っているのであろうか。でも、あの手打ち麺の味は、機械製麺のおみやげ用では出せないでしょう。味わいたかったら、現地に足を運ぶしかありません。また行ってみたいなあ。

上州半周③(前橋ソースカツ丼)

2010-10-27 09:07:01 | 国内旅行ー関東・甲信越
 「B級グルメ」という言葉の創始者だという田沢竜次氏の『B級グルメ大当りガイド』に、「前橋でカツ丼といったら大体ソースカツ丼って話で、山梨や岡山と並ぶ日本三大ソースカツ丼エリア」という一節があります。これは試してみねばなりません。というわけで、老舗らしい「西洋亭・市」へ。



 お店の外観も古さびていましたが、内部も昭和の駄菓子屋風に。これは、売りものなんだろうか。



 元祖ソースカツ丼(650円)です。味噌汁の具は大根の千切りで、非常にしょっぱいです。東京の味つけは、関東といっても都会的に洗練されています。しかし、群馬まで来ると、まさに関東の味つけです。この味は、関西出身の人が赴任してきたら悩まされるだろうなあ。



 ソースカツ丼といっても、醤油ダレです。その意味では、愛媛は伊予市郡中の「浜田屋」のカツ丼と同系統です。しかし、味つけはこれまたしょっぱい味つけ。関西系の人には受け入れられないのではないでしょうか。



 前橋から群馬総社に足を伸ばしました。この駅には、かろうじて駅員がいて、無人化を免れていました。



 この街はずれまで来たのは、前橋で行われたT-1グランプリという豚肉料理のコンテストで優勝したお店があるというからです。前橋は「とんとんのまち」というまちづくりをおこなっているようで、豚肉料理で外からお客を呼び込もうとしているようです。「T-1」のTは、「とんとん」か何かの頭文字と思われます。



 ここがグランプリ店「大村」です。看板にあるように、本来はお蕎麦屋さんです。



 注文するのは、もちろんソースカツ丼(870円)。



 「西洋亭・市」とは異なり、ヒレ肉の部分を使用しているようです。タレも甘味とコクがあります。衣はタレがかかってもシナっとならないように、固めにカラッと揚げられています。中のお肉は、もちろん柔らかいです。これは、たしかにグランプリを獲るだけのことはある品です。店が前橋の中心部から離れていることが、唯一の欠点です。



 まあ、街はずれまで来たおかげで、このような、いい感じに古さびているお店にも出会えました。まだ現役というところが立派です。クールミントガムとかグリーンガムって、まだ売っているのであろうか。初めて訪れた街をぷらぷら歩くのは、楽しいもんです。



 ♪エンジンの音 轟々と 隼は行く~ といった具合に群馬総社から高崎にやってまいりました。高崎駅構内にある「たかべん」。名物のだるま弁当をつくっている会社が出している立ち食いそば店だそうです。



 壁の右隅に、小野員裕氏の「魂のラーメン」の記事が拡大されて貼られています。小野氏曰く、「高崎市内のどのラーメン屋もここの味にはおよばないのでは」。これは、試してみねばなるまい。



 ラーメン(380円)。ふつうのあっさり醤油スープですが、たしかにそこいらのラーメン店のスープよりもコクがある感じがします。麺は、駅の立ち食い店という性格上、茹で上がりやすいように細麺です。ちょっとやわらかめだったかな。後から来た地元の常連客らしいおっさんは、食券を渡す際にすかさず「麺固めで」といっていたから、そういう注文の仕方が正解なのかもしれません。でも「魂のラーメン」かというと、ちょっと持ち上げすぎのような気も。長い連載の間に、ちょっとはさんでみた変化球、という役どころだったのかな。 



 この晩は高崎泊まりです。