韓国では「12年伝統」「15年伝統」といった看板を掲げる飲食店をよく見かけることがあります。
江戸時代からの老舗も多い日本の感覚だと、「たった十数年で・・・」と大げさに思ってしまうのが正直な気持ちです。
「韓国に老舗はない」とよく言われます。
これは実際に古い店が少ないだけでなく、そもそも創業が古い店=「老舗」をステイタスとする文化がなかったという意味です。
創業から30年、あるいは40年を経た飲食店は、それだけでガイドブックに紹介される貴重な存在となっています。
インターネットを少し見て回れば、胸を張って「10年伝統」とアピールする飲食店や小売店も沢山見つかるはずです。
反対に韓国人の目に、日本の老舗はどう映っているのか。
あちこちでよく紹介されるのが「なぜ同じ商売をいつまでやっているのか分からない」という反応だ。
もっとも最近ではメディアが伝える海外事情などもきっかけとなって、老舗のステイタスが徐々に定着しつつあるようだ。
だが親から子へ代々のれんを受け継ぐといった発想は、韓国社会になじみにくいのも事実のようです。
理由の一つには、日本の植民地支配と解放、またそれに続く朝鮮戦争で、商工業全体がリセットされた事情もあるようだ。
また日本の場合は特に、「一所懸命」、つまり一つの仕事に代々打ち込むのが美徳とされる風潮も関わっていそうだ。
だが一方ではやはり、近代以前から続く朝鮮半島の文化に理由を求める見方も無視できないだろう。