韓国も、もともとは、漢字国だった。日本以上に漢字を多用していた。隣りの中国への半従属関係から、公文書は、すべて漢文であり、世宗王がせっかく創製したハングルも、諺文(オンムン)と呼ばれ、蔑まれつづけ、知識人が使うことはなかった。
その後、日本の漢字・仮名混じり文と同様に、漢字と併用して使われるようになったのだが、日本統治時代を迎えると、日本製の漢語が大量に流入することになる。
たしかに漢字は、もともと中国のものだが、韓国で使用される漢字熟語の七割あるいは八割は、和製漢語なのである。日本統治によって、韓国語は、壊滅に近いくらい「言語上の文化変容」を起こしてしまったからである。
独立後、北朝鮮も韓国も、日本色を払拭することを政策の優先事項とした。日本の影響を受けた、あるいは日本の世話になったような事柄を隠蔽する、いわゆる「日本隠し」が、あらゆる分野で行われてきた。言語政策も、その一環である。
けれども日本式の漢語を、すべて追放することは不可能だった。現在も韓国語の多くの漢字語が、日本起源のものを、韓国音で読みかえられて使われている。
ソウルの街中を歩けば、もし漢字で表記してあれば、ただちに日本人にも読める単語が、まさに大氾濫している。
改札口、大売出、割引、売場、賃貸、横断歩道などなど・・・、見慣れた看板や表示になるはずである。しかし、それらは、すべてハングル表記になっている。なぜ漢字で書かないかと言えば、建前上は、ハングル至上主義で解決できるのだが、実際は、もし漢字表記すれば、これらの多くの単語が、本来は日本起源だということが、一般の人々にばれてしまうからである。
現在の韓国の大学生などは、こうした事実を教えられていない。