記憶を失いかけ、施設で暮らす元レーサーのジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)のもとを、かつての恋人アンヌ(アヌーク・エーメ)が訪れる。
監督クロード・ルルーシュ81歳、エーメ87歳、トランティニャン89歳のトリオが、『男と女』(66)から53年後の2人の物語を、『男と女』の映像を挿入し、過去と現在を交錯させながら描く。キーワードは回想、記憶、再会、夢と現実。
66年当時、ジャン・ルイとアンヌの息子と娘を演じた子役も、中年になった姿で同役を演じている。音楽も、昨年亡くなったフランシス・レイ作曲の「ダバタバダ…」のスキャットが頻繁に流れる。
「ラブストーリーの結末は悲しい。映画と現実は違う」など、いかにもフランス映画らしいエスプリの効いたセリフの応酬が見どころで、そこに、まだら認知症のジャン・ルイが醸し出す出すユーモアも加味される。
さて、俳優(人間)の若き日と現在の老いた姿を同時に見せられる、何とも不思議な映画という意味では、『男はつらいよ お帰り 寅さん』の倍賞千恵子と前田吟の姿とも通じるところがある。どちらも、第一作から50年という月日を経て製作されたところも同じ。これは単なる偶然か。
ただ、懐かしさは感じるが、老けたエーメとトランティニャンを見ながら複雑な心境を抱かされる点でも『男はつらいよ お帰り 寅さん』と同様のものがある。正直なところ、どう評価したらいいのか、判断に迷う映画だ。
『男と女』のその後
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『男と女』を彩ったフランシス・レイの“ダバダバタ”
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