共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
全編を通してワンカットに見える
『1917 命をかけた伝令』
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1214531
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野村克也引退(1980.11.16.)
王さんに続いて、西武ライオンズの野村克也捕手が引退を発表した。ONに比べると扱いが地味だと嘆いていた彼だが、今年は3000試合出場などというとんでもない記録を達成して、改めてその偉大さを世間に知らしめていた。
引退発表の席上、これほどの大選手が、王さん同様に、まだ野球をつかみ切れずに辞める悔しさを口にし、野球の奥深さを感じさせた。そして「もはや成長も貢献もできない」という引退の理由は、王さんの「王貞治としてのバッティングができなくなった」とは対照的で、いかにもノムさんらしいとも思える。
さらに「もう一度生まれ変わってもキャッチャーをやりたい」「頭だけこのままで体だけ若くなりたい」など、生涯一捕手を掲げた彼らしい言葉も印象に残った。ONとは違い、ボロボロになるまでやることで、逆に存在感を示したあっぱれな野球人生だったと思う。長い間、本当にお疲れさまでした。
ヤクルトスワローズ、セ・リーグ優勝(1992.10.10.)
昨日の、ベテラン角富士夫の起死回生のスリーランに続いて、この日はジャック・ハウエルが2打席連続ホームランを放ち、ヤクルトスワローズが14年ぶりにペナントレースでの優勝を決めた。ウィニングボールは広沢克己ががっちりと受け取った。
思えば、1978年、あの時の優勝決定のウィニングボールも同じ背番号8が受け取った。苦しい戦いが続く中、ベテランの三塁手が起死回生のホームランを打った試合もあった。あれから14年の歳月が過ぎ、その大杉勝男と船田和英が今年亡くなった。2人への手向けと言うと少々センチメンタル過ぎるかもしれない。だが、今年のスワローズにはそう思わせるようなドラマがあったのだ。
春先の高野光、伊東昭光の復活に続いて、終盤は荒木大輔も復活を遂げた。順調に勝ち進んだかと思えば、ここ一番でコロッと負けるスリルを味あわせ、もうダメかと思わせてからの優勝である。
野放図で奔放なチームカラーが魅力ではあったが、優勝とは無縁だったこのチームを、ID野球を掲げる野村克也が率いるようになった3年前から、また違った魅力が生じ始めた。
それは、野村親父がドラ息子の広沢や池山隆寛に悩まされ、よくできた若い女房の古田敦也に向かって愚痴をこぼし…という家庭劇にも似た野球ドラマが見られるようになったからである。
そうした山あり谷あり、紆余曲折を経ての今回の優勝は、広岡達朗監督の管理野球に反発してつかんだ前回とは異なり、いい意味で人間くささを感じさせる。さて、日本シリーズだが、前回、全盛期の阪急ブレーブスを破ったように、今回も横綱・西武ライオンズに一泡吹かせてほしい気がする。
日本シリーズ ヤクルトスワローズ対西武ライオンズ(1992.10.26.)
久しぶりに日本シリーズに熱中した。まずは第1戦。はなからの延長戦に、78年からの生き残りの杉浦亨が代打満塁サヨナラホームランで決着をつけた。岡林洋一も熱投し、イニング数、投球数は、奇しくも第1回シリーズ(1950年)での毎日オリオンズ若林忠志と全くの同数、しかもその場所は、その時以来の舞台となった神宮球場、という不思議な一致もあった。(7対3)
第2(0対2)、第3(1対6)、第4戦(0対1)は地力で勝る西武が勝ち、もはやこれまでかと思わせたが、第5戦は池山隆寛が決勝ホームランを放って、土俵際での粘りを見せた。(7対6)
続く第6戦、これがまたすごかった。野球は5対4か8対7の試合が一番面白いと誰かが言っていたが、まさにその通りの展開に手に汗を握らされた。決着はまたもサヨナラホームラン、今度は秦真司である。(8対7)
勢いはヤクルトに、と思わせた最終戦こそ、またしてもの岡林の熱投及ばず、西武の負けない野球の前に屈したが、戦前は、いくら贔屓目に見ても、王者・西武をここまで苦しめるとは思えなかっただけに、これはうれしい誤算だった。(2対1)
両チームの選手たちはもちろんだが、野村克也、森祇晶という、かつての名捕手同士の監督が覇を競ったシリーズとしても見応えがあった。
【今の一言】こうして振り返ってみても、90年代前半のヤクルトは、個性的な選手がそろい、彼らとノムさんとのやり取りが面白さを感じさせる、実に魅力的なチームだったと思う。