田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ディア・エヴァン・ハンセン』

2021-10-31 06:54:18 | 新作映画を見てみた

『ディア・エヴァン・ハンセン』(2021.10.28.東宝東和試写室)

 ブロードウェーのヒットミュージカルを映画化。『ワンダー 君は太陽』(17)のスティーブン・チョボウスキーが監督し、音楽を『ラ・ラ・ランド』(16)など、ヒットミュージカル映画に携わってきたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが担当。今年の東京国際映画祭のクロージング作品。

 高校生のエヴァン・ハンセン(ベン・プラット)は友達もなく、母(ジュリアン・ムーア)にも心を開けずにいる。ある日、医者の勧めで自分宛に書いた「Dear Evan Hansen(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)」から始まる手紙を、図らずも同級生のコナー(コルトン・ライアン)に持ち去られてしまう。

 後日、校長から呼び出されたエヴァンは、コナーが自殺したことを知らされる。悲しみに暮れるコナーの両親(ダニー・ピノ、エイミー・アダムス)は、エヴァンの手紙をコナーが書いたものと勘違いし、息子とエヴァンが親友だったと思い込む。彼らをこれ以上苦しめたくないと考えたエヴァンは、思わず話を合わせ、促されるままに、ありもしないコナーとの思い出話を語る。

 その後、エヴァンの語った作り話が人々の心を打ち、SNSを通じて世界中に広がり、ひそかに思いを寄せていたコナーの妹ゾーイ(ケイトリン・デバー)とも親密になるが…。

 手紙、身代わり、成りすまし、噓も方便…、これは古典劇『シラノ・ド・ベルジュラック』の変型ではないかと思ったが、それをミュージカル仕立てにし、若者が抱く精神的な苦痛やSNSの功罪を反映させているところが、今の映画の証しだ。

 前半は、『ワンダー 君は太陽』を撮ったスティーブン・チョボウスキーらしく、善意の嘘によって弱者が救われていく姿が描かれるが、同時に、こんなことがいつまでも続くはずがない、一体エヴァンはいつまで噓をつき続けるのかという、心配ややるせなさを感じる。だから、曲に乗ることもできずに、ずっと落ち着かない気分を抱いたまま見続けることになる。

 決して救済を描いたものではないところが、逆にリアルなのか。自分の中でも、もう一つ評価が定まらず、もやもやした気持ちが残った。

『ワンダー 君は太陽』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b91649fa7c96a82eff6bc93822867dd5

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「和田誠展」その4

2021-10-30 07:27:42 | 雄二旅日記

夫婦50割引、『お楽しみはこれからだ』、

「世紀末の記録アート」山手線 東京駅、原宿駅、新橋駅、渋谷駅

寄席葛飾亭

 

『麻雀放浪記』『快盗ルビイ』『怖がる人々』『真夜中まで』

 

 

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「和田誠展」その3

2021-10-30 07:14:13 | 雄二旅日記

日活名画座


シアターアプル

世田谷フィルムフェスティバル

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「和田誠展」その2

2021-10-29 23:58:11 | 雄二旅日記

『チャップリンのアート・オブ・コメディ』、「チャップリン作品集」(『街の灯』『ライムライト』『殺人狂時代』『モダン・タイムス』)、「和田誠個展 LAST SCENE」(『街の灯』

『シネ・ブラボー!』『ワイルダーならどうする?』

「2001年シネマ・オデッセイ 映画ポスターの20世紀」(『フランケンシュタイン』)、「和田誠・スクリーン・グラフィティ」ロバート・ミッチャム(『さらば愛しき女よ』)、ハンフリー・ボガート(『マルタの鷹』

『大いなる西部劇』

『座頭市と用心棒』、黒澤明

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「和田誠展」その1

2021-10-29 23:43:34 | 雄二旅日記

 東京オペラシティアートギャラリーで開催されている「和田誠展」へ。撮影がOKだったので、映画関連を中心に撮りまくったのだが、本当に大好きな絵、大好きな本、大好きな映画に囲まれながら、これほどいろいろなことを教わり、楽しみと影響を与えてくれた人は他にいないと思うと、胸がいっぱいになり、何だか泣きそうになって困った。

ベートーベン、市川崑、オードリー・ヘプバーン(『戦争と平和』)、薬師丸ひろ子(『セーラー服と機関銃』
マーティン・ルーサー・キング、アルフレッド・ヒッチコック、マレーネ・ディートリッヒ(『嘆きの天使』)、渥美清と山田洋次、
エドガー・アラン・ポー、ジョン・フォード、クラーク・ゲイブルとビビアン・リー(『風と共に去りぬ』)、王貞治

フランク・シナトラとディーン・マーティン、リタ・ヘイワース、グレタ・ガルボ、マレーネ・ディートリッヒ
ザ・ビートルズ、リー・マービン、ジョン・ウェイン、リチャード・ウィドマーク

セシル・B・デミル、フェデリコ・フェリーニ
『ラスト・エンペラー』『地上最大のショー』(ジェームズ・スチュワート)
マルクス兄弟、ドンファン

東洋現像所(現イマジカ)のカレンダー
『シェルブールの雨傘』『イージー・ライダー』
『キャバレー』『チャップリンの独裁者』
『八十日間世界一周』『生きる』『アニー・ホール』

(つづく)

で、俺も立派な和田誠マニアだ。

和田誠グラフィティ1
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/760b470449a7985133fc43b5c5f985fa
和田誠グラフィティ2
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8b443045117c075505c95c5fd48f6f1c
和田誠グラフィティ3
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/875f530f2d5cfef7103671ba4e924f8d
和田誠グラフィティ4
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/224d6f8eab9042a14e9fcb8c6ccd82f5

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「東京国際映画祭2021」

2021-10-29 20:58:07 | 雄二旅日記

 「東京国際映画祭2021」のプレスパスを受け取りにミッドタウン日比谷へ。ゴジラ像とともに一枚。メイン会場が六本木から日比谷に移ったが、あまり芳しくない気がする。今回のオープニングはクリント・イーストウッド監督の『クライ・マッチョ』。クロージングは『ディア・・エヴァン・ハンセン』だ。

https://2021.tiff-jp.net/ja/

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「滝廉太郎居住地跡」

2021-10-29 12:09:42 | 雄二旅日記

 『ディア・エヴァン・ハンセン』を見た東宝東和の試写室は、地下鉄の半蔵門駅から坂を上った千代田区一番町にあるのだが、その手前に「滝廉太郎居住地跡」のレリーフがある。

 「花」「荒城の月」「箱根八里」「鳩ぽっぽ」などの名曲でおなじみの作曲家・滝廉太郎は、明治27年~34年まで、一番町に住んでいたらしい。25歳で亡くなったのにこれだけの名曲を残したとは…いまさらながら驚くほかない。

 澤井信一郎監督、風間トオル主演の『わが愛の譜 滝廉太郎物語』(93)という映画もあった。

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【ほぼ週刊映画コラム】『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません!』

2021-10-28 08:47:10 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
前田哲監督の家族を描いた2本の映画
『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません!』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1299166

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「BSシネマ」『ラ・ブーム』

2021-10-28 07:02:14 | ブラウン管の映画館

『ラ・ブーム』(80)

『20世紀の映画』より

 

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白土三平とI先生

2021-10-27 23:14:24 | ブックレビュー

 白土三平といえば、自分にとっては、彼の漫画そのものよりも、「少年忍者 風のフジ丸」(64)「サスケ」(68)「忍風カムイ外伝」(69)といったテレビアニメや、映画『大忍術映画ワタリ』(66)の原作者としてのイメージが強い。

 

 ただ、それとは別の思い出もある。高校1年の時の担任で、世界史を教えてくれたI先生が、歴史を学ぶ際のお薦め本として、『遊牧騎馬民族国家-“蒼き狼”の子孫たち』(護雅夫)『街道をゆく5 モンゴル紀行』(司馬遼太郎)『新講 世界史』(土井正興)『火の路』(松本清張)などと並べて、手塚治虫の『火の鳥』と白土三平の『カムイ伝』を挙げたのである。

 

 それまで漫画を薦める教師などいなかったので、これは新鮮な驚きだった。そして、もちろんどちらも読んで、歴史に対する新たな視点を得たのだった。

 また、「お前は映画が好きなのだから、何か歴史に関係のある映画を見たらリポートを書け。いいものを書いたらちゃんと評価するから」と言ってくれた。

 で、例えば、『デルス・ウザーラ』(75)では森林やツンドラでの猟について、『十戒』(56)では「旧約聖書」の「出エジプト記」について、『風とライオン』(75)ではリーフ族とセオドア・ルーズベルトとの関係について、『サンチャゴに雨が降る』(75)では1973年のチリの軍事クーデターについてなど、幾つかリポートを書いたら、褒めてくれた上に、ちゃんといい点をくれたので、豚もおだてりゃ木に登る状態になって、映画について書くことが癖になった。

 それによって、映画は見るだけではもったいない。見たものについて何か書くのは面白いしためになる、と気付かさせてくれたのである。それが今の自分の仕事につながっているのだから、言わばI先生は恩人なのだ。と、白土三平から話が随分それてしまったが。

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