妻に付き合って、バスツアーを題材にしたトラベルミステリードラマを続けて見た。
1本目は、名取裕子主演の「早乙女千春の添乗報告書10 山梨湯けむりツアー殺人事件」(00)。監督・長尾啓司、脚本・いとう斗士八。
舞台は山梨ということで、甲府、石和温泉、昇仙峡などを巡る旅。ツアー客は、記憶喪失の兄(辰巳琢郎)と妹(細川ふみえ)、訳ありの夫婦(中西良太、相本久美子)など。
途中で殺人事件が起きても平気でツアーを続けるのはご愛敬。名取演じる千春の上司役の蟹江敬三、執事役の沼田爆がいい味を出していた。
2本目は「西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ15 尾道・倉敷殺人ルート」(98)。監督・脇田時三、脚本・長坂秀佳。
尾道・倉敷2泊3日のツアーバスがジャックされたという報を聞き、十津川警部(渡瀬恒彦)は驚く。そのバスには十津川の先輩刑事の船木夫妻(高松英郎・野口ふみえ)が乗っており、船木の息子の一郎(西村和彦)は十津川の部下だったからだ。犯人から身代金の要求があり、十津川と亀井刑事(伊東四朗)が事件の解明に乗り出す。
バス消失のトリックは、同じく西村京太郎原作で、新幹線から巨人軍の一行がいなくなる『消えた巨人軍』を思わせるところがある。尾道・倉敷と言いながら、名所巡りの場面はほとんどなかった。
どちらも20年以上前の2時間ドラマなので、小道具(携帯電話)や衣装、風景に時代を感じる。
そういえば、バスツアーを題材にした傑作映画があったことを思い出した。原作・有馬頼義、監督・杉江敏男、脚本・井手雅人/瀬川昌治、撮影・岡崎宏三、音楽・神津善行による『三十六人の乗客』(57)だ。何度かテレビドラマ化もされている。
情婦(淡路恵子)と共に失踪した刑事(小泉博)が、スキーツアーバスの乗客となる。ところが休憩所で、凶悪犯もバスに乗り込んだことを知らされ、図らずも36人の乗客の中から凶悪犯を探すことになる、というストーリー。
乗客は、千秋実、多々良純、中谷一郎、森川信、佐藤允らくせ者揃い。高校生の頃、テレビの深夜放送で一度見たきりなので、常々もう一度見たいと思っている。