田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

なじみの映画館がどんどん消えていく…

2014-12-31 16:44:09 | 違いのわかる映画館

 新宿・歌舞伎町の旧ミラノ座などが今日限りで閉館した。3館ともあまり縁はなかったが、こんな映画を見た。



ミラノ座(現・新宿ミラノ1)
『007/オクトパシー』(83)
東京国際シネマフェスティバル 矢野汐織ライブ
『悪魔を見た』(10)ジャパンプレミア(取材)

名画座ミラノ(現・新宿ミラノ3)
『追憶』(73)
『ひまわり』(70)
『リリー・マルレーン』(81)
『プリンス・オブ・シティ』(81)

シネマスクエアとうきゅう
『メフィスト』(81)

 今年は、そのほか新橋文化劇場や丸の内ルーブルも閉館した。なじみの映画館がどんどん消えていくのは何とも寂しいが、これも時代の流れで仕方ないのだろうか。

新橋文化劇場
『真夜中の刑事/PYTHON357』(76)と『課外授業』(75)
『エイリアン2』(86)と『サンダーアーム/龍兄虎弟』(86)
『フライト・プラン』(05)と『スカイ・ハイ』(05)
『力道山』(04)と『コルシカン・ファイル』(04)
『エグゼクティブ・デシジョン』(96)と『スペース カウボーイ』(00)
『デス・プルーフinグラインドハウス』(07)と『タクシードライバー』(76)

『違いのわかる映画館』新橋文化はこちら↓
http://season.enjoytokyo.jp/cinema/vol25.html

丸の内ルーブル
『フルメタル・ジャケット』(87)
『太陽の帝国』(87)
『シシリアン』(87)
『ミッドナイト・ラン』(88)
『メジャーリーグ』(89)
『ツインズ』(88)
『グッドフェローズ』(90)
『ロビン・フッド』(91)
『ドク・ハリウッド』(91)
『JFK』(91)
『リーサル・ウエポン3』(92)
『スーパーマン・リターンズ』(06)

 タイトルを並べるだけで見えてくるものがあると思いませんか?  それでは皆さま、よいお年をお迎えください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『暮れ逢い』のフェティシズムと『毛皮のヴィーナス』のマゾヒズム

2014-12-28 11:19:10 | 新作映画を見てみた

『暮れ逢い』

 1912年ドイツ。製鉄工場を経営する初老のホフマイスター(アラン・リックマン)の屋敷に、秘書として青年フレデリック(リチャード・マッデン)が住み込む。やがて、ホフマイスターの若妻ロット(レベッカ・ホール)とフレデリックは互いに引かれ合うが…。

 ロットの首筋や体の線をたどるフレデリックの視線、ロットの残り香をかぐフレデリックなど、フェティシズムにあふれたパトリス・ルコントのカメラワークが印象的。ベートーベンのピアノソナタ「悲愴」も官能を盛り上げる。

 ルコント自身が「これは、禁じられたわずかな肌の触れ合いを支えに生きる恋人たちの欲望のドラマだ。肌をカメラに収め、愛撫したいという欲望を映像化した」と語っている。

『毛皮のヴィーナス』

 マゾヒズムの語源となったザッヘル・マゾッホの小説を基にした戯曲『毛皮のヴィーナス』の演出家トマと、オーディション終了後に現れた謎の女優ワンダが、二人だけでオーディションを始める。やがてトマとワンダの、支配する側とされる側という立場が逆転し、トマの本性が明らかになっていく。

 監督ロマン・ポランスキーの妻のエマニュエル・セニエと、ポランスキーによく似たマチュー・アマルリックの二人芝居というところに、実際のポランスキー夫妻もさもありなんと思わせる、パロディーやだましの精神があふれて面白い。

 どちらも、一歩間違えれば“変態映画”になりかねない題材を、見事に面白く料理した大ベテランの技に脱帽。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「黒田、わしゃぁおまえだけが頼りじゃ」

2014-12-27 18:28:57 | 映画いろいろ

 ニューヨーク・ヤンキースからフリーエージェントとなっていた黒田博樹投手が広島カープに復帰のニュースには驚いた。一部では19~21億円ともいわれるメジャー球団からの巨額のオファーを断っての復帰劇に、義理と人情の任侠映画を見ているような気分にさせられ、胸が熱くなった。



 『仁義なき戦い』で、山守親分(金子信雄)が子分の広能昌三(菅原文太)に「昌三、わしゃぁおまえだけが頼りじゃ」と言ったように、カープ側も黒田に「黒田、わしゃぁおまえだけが頼りじゃ」なんて言ったのだろうか。それを受けた黒田もすごいが…。

 文太主演の大河ドラマ「獅子の時代」の挿入歌「OUR HISTORY AGAIN ―時の彼方に―」の歌詞が黒田にピッタリ合う。

 金が仇の世の中で 夢を追い駆けていく奴がいる。夜毎に酔いどれて 路地裏で眠っても 胸に赤いバラ そんな感じさ。十五で世の中を分かっちまったよな 奴らから見れば 馬鹿げた話さ。日々の暮らしは 晴れた日ばかりじゃないが 明日が雲間に見え隠れ あ~繰り返す 時を 見逃すな 熱く 燃えて生きる アワー・ヒストリー・アゲイン

ここで聴ける↓
https://www.youtube.com/watch?v=S5BNxEyJMDI

 「野球はビジネスが全てじゃない。だから楽しむんだ」という『ミリオンダラー・アーム』のセリフを思い出した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】2014年映画ベストテン

2014-12-27 18:27:03 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

『2014年映画ベストテン』


ベストワンは

『ジャージー・ボーイズ』と『小さいおうち』

詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/983274
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「正真正銘の“美女”が観たい」『地上より永遠に』『王様と私』『お茶と同情』

2014-12-27 18:21:45 | 名画と野球のコラボ

名画投球術 No.14(現状最終回)いい女シリーズ4「正真正銘の“美女”が観たい」デボラ・カー



 「いい女シリーズ」第4回は“正真正銘の美女”デボラ・カー。

 “ハリウッド・ビューティー”という形容詞があるが、古くはスウェーデン出身のグレタ・ガルボ、イングリッド・バーグマン、ドイツのマレーネ・ディートリッヒといった具合に、実はアメリカ映画を代表する伝説の女優たちは外国出身者が圧倒的に多い。これは良くも悪くも世界中の才能を取り込んでしまう、移民の国アメリカが持つ特質の一端だろう。

 今回紹介するデボラ・カーもイギリス出身。筆者はもちろんリアルタイムでは知るべくもないが、後年、テレビで彼女の映画を後追いで観るたびに、その美貌に見とれた憶えがある。今や死語となった“正統派=正真正銘の美女”がここにいる。

ルール違反のラフプレー 『地上より永遠に(1953・米)』



 真珠湾攻撃直前のハワイの兵舎を舞台に、軍隊内の対立関係、不倫などさまざまな問題を提起しながら、軍隊機構の持つ矛盾や非人間性を暴露した問題作。製作当時、アメリカを揺るがせていた赤狩りに対する、フレッド・ジンネマン監督らの怒りが込められている。

 この映画が描いた軍隊の矛盾もさることながら、当時は不倫描写もまたタブーだった。そんな中、デボラが演じたのは夫の部下と不倫関係にある人妻役。特に相手役のバート・ランカスターと演じた、水着で波に包まれながらの激しいいラブシーンは、後には『フライング・ハイ』(1980)などのパロディー映画のネタになったほどの名場面。不倫など想像もさせない彼女が許されぬ愛に燃える姿は、男心を微妙に刺激する。二人は後に『さすらいの大空』(1969)でも激しいラブシーンを演じている。

なぜか無冠の帝(女)王 『王様と私(1956・米)』



 19世紀、シャム王国(タイ)にイギリスから赴任した女性家庭教師アンナ(デボラ)と、王(ユル・ブリンナー)の交流を描きながら、東洋と西洋の違いを浮き彫りに。「シャル・ウイ・ダンス」を始め、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタインJr.による楽曲が素晴らしいミュージカル大作。

 家庭教師役とは、まさに知的、気品、クールという形容詞がピッタリのデボラにとってはハマリ役。豪華なドレスに身を包み、相手役のブリンナーと踊る彼女はまさにエレガント! 先の『地上より永遠に』とは一転した清楚な姿は、女性の多面性を示すとともに、彼女の演技力の確かさも知らせてくれる。だが本作も含め6度もノミネートされながら、ついに彼女がアカデミー賞を受けることはなかった。後年、アカデミー協会は彼女に特別賞を授与したが、それはまた別の話だ。

新人を手ほどき 『お茶と同情(1956・米)』



 舞台はニューイングランドの男子大学寮。同性愛の噂を立てられ“シスターボーイ”と呼ばれるナイーブな青年トム(ジョン・カー)。そして彼をかばう舎監の美しい妻ローラ(デボラ)。二人の淡い恋をリリカルに綴った舞台劇の映画化。

 現在のように過激なラブシーンがあるわけではない。どちらかと言えばこの映画は心理劇に類するであろう。だがリアルタイムで観た先輩諸氏の感想を読むと、ローラのトムへの同情がやがて愛情に変化していく様を結構ドキドキしながら観ていたという。そういう意味では今も飽きずに作られている、年上の女性が施す“恋の手ほどき映画”のルーツと言うべきか。成熟したデボラが美しい一編。

 というコメントを最後にサイトの閉鎖とともにこのコラムも打ち切りとなった。およそ1年、思えば楽しい仕事だったなあとあらためて思う。いつか再開できたらいいね。編集担当だったK君とYさんそして途中からイラストを書いてくれたOさん。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画鑑賞手帳『CINEMA REVIEW NOTE』

2014-12-25 23:01:12 | SCREEN スクリーン

 

 近代映画社から、SCREEN特製 映画鑑賞手帳『CINEMA REVIEW NOTO(シネマ・レビュー・ノート)』が発売に。

 拙著『人生を豊かにするための50の言葉 名作映画が教えてくれる最高の人生の送り方』(近代映画社刊)ほかで選んだ「映画の中の名セリフ」も欄外に入っている。映画鑑賞のお供にぜひどうぞ。

詳細はこちら↓
http://www.amazon.co.jp/dp/4764824086/
http://www.amazon.co.jp/dp/4764822946/

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「かわいい女を観てみたい」『アパートの鍵貸します』 『あなただけ今晩は』『スイート・チャリティ』

2014-12-20 19:57:05 | 名画と野球のコラボ

『名画投球術』No.13 いい女シリーズ3「かわいい女を観てみたい」シャーリー・マクレーン



 「いい女シリーズ」第3回は、“かわいい女”=シャーリー・マクレーン。アメリカ映画の愛すべきヒロインのパターン(これは男の勝手な理想像なのかもしれないが…)に、“黄金の心を持った娼婦”というのがある。笑顔の時も泣いているように見える独特のファニーフェイスが魅力的、気立てはいいのになぜか男運に恵まれない、ツキのないヒロインを数多く演じたシャーリーはまさにその典型だ。

 男から見るとかわいらしくて仕方ないと、いった感じなのだが、本人は「私に回ってくるのはたいてい娼婦みたいな役だった」と、ステレオタイプに陥ることを嫌い、後にさまざまな役柄にチャレンジした。今回はシャーリーのかわいらしさ真っ盛りの、若き日の3本を紹介する。

MVP=最高殊勲選手賞 『アパートの鍵貸します(1960・米)』



 舞台はニューヨーク。出世のために自分のアパートの部屋を上司の秘密の情事の場に提供しているサラリーマンのバクスター(ジャック・レモン)。だが彼がひそかに思いを寄せるエレベーターガールのフラン(シャーリー)が、上司(フレッド・マクマレー)との不倫に疲れ、バクスターの部屋で自殺未遂を起こしたことから、彼は人生を見つめ直していく。

 ご存じ、ビリー・ワイルダー監督+レモン+シャーリーのトリオによるシニカルではあるが、心温まるヒューマンコメディーの最高傑作。この映画のかわいらしいショートヘアの、しかし不幸なシャーリーを見て、心動かされた男性諸氏は数知れない。よく考えたらひどい話なのだが、ワイルダーの巧みな話術と二人の好演が決してそうは感じさせないばかりか、観客がこれほどハッピーエンドを望んだ映画も珍しい。

ゴールドグラブ賞 『あなただけ今晩は(1963・米)』



 舞台はパリ。気のいい娼婦のイルマ(シャーリー)は、実直な巡査バート(ジャック・レモン)にほだされてヒモに採用する。だがバートは、イルマが客との交渉を続けることに耐えられず、借金をして変装して富豪の英国紳士X卿に成りすまし、客として彼女の独占を図るが…。

 『アパートの鍵貸します』に続く、名トリオによるアッと驚く展開をみせる爆笑コメディー。この映画のシャーリーはまさに“黄金の心を持った娼婦”だ。客の英国紳士X氏に成りすましたバートが、そのX氏(つまり自分自身)に嫉妬するなどはまさに落語の世界だが、そう思わせる彼女のかわいらしさが、この荒唐無稽な話に説得力を持たせている。『アパート~』と対で見てみることをお勧めする。

ロベルト・クレメンテ=チャリティ賞 『スイート・チャリティ(1969・米)』



 ニューヨークのダンサー、チャリティ・ホープ(マクレーン)は気のいい女だが、男という男にことごとくだまされ続ける日々。けれどもみんな許してしまうことから、ついたあだ名は“スイート・チャリティ=甘い施し”。それでも懲りずに明日の愛の夢を見続ける彼女の姿を描いたミュージカル劇。

 オリジナルはフェデリコ・フェリーニ監督の『カビリアの夜』(1957)。ジュリエッタ・マシーナが演じた無垢な魂を持ったヒロイン像を、シャーリーが歌と踊りを交えて新たに構築した。“泣くのは嫌だ笑っちゃおう”とばかりに、泣き顔にやがてほほ笑みが戻ってくるかわいらしさは、まさにシャーリーの面目躍如。監督はミュージカルの鬼才ボブ・フォッシー。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『バンクーバーの朝日』

2014-12-20 18:30:31 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

キャプテン妻夫木、エース亀梨…野球が人々に希望を与える
『バンクーバーの朝日』


名台詞は↓

「また野球しような」
byレジー笠原(妻夫木聡)

詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/982680
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【インタビュー】『チェイス!』アーミル・カーン&アーチャールヤ監督

2014-12-15 23:15:39 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版253号』
映画『チェイス!』の主演アーミル・カーン&ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ監督へのインタビュー記事掲載中。



街で販売員の方を見掛けられましたらぜひご購入、ご一読ください。

詳細はこちら↓
http://www.bigissue.jp/latest/index.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『ゴーン・ガール』  

2014-12-13 16:51:46 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

結婚するのが怖くなる!? ダークなユーモアに満ちた心理サスペンス
『ゴーン・ガール』



名台詞は↓

「結婚とは何か、
相手は何を考えているのか、
どう感じているのか、
互いに必要としているのは何なのか、
何がしたいと思っているのか…」

byニック・ダン(ベン・アフレック)

詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/982050
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする