田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

【ほぼ週刊映画コラム】『ロング・トレイル!』

2016-07-30 19:42:42 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

緩さが心地よいロードムービー
『ロング・トレイル!』



詳細はこちら↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1060183
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『ミモザの島に消えた母』

2016-07-25 08:00:41 | 新作映画を見てみた

「その気持ち、分かるよ」とはならない



 今から30年前の1980年代、フランスのミモザの島の沿岸の海で、一人の女性が謎の死を遂げた。女性の長男であるアントワーヌは、40歳になった今も、母を失った悲しみから抜け出せずにいた。彼は母の死の真相を突き止めようとするが、なぜか家族も知人も母の死については固く口を閉ざす。

 海の中道「パサージュ・デス・ゴワ」が重要な役割を果たす家族ミステリー。ヒッチコックタッチを狙ったようなところもあるが、全体的にはいかにもフランス映画らしい、どろどろとした情念の世界が描かれる。

 ただ、主人公をはじめ、登場人物の心理描写が総じて中途半端なので、残念ながら「その気持ち、分かるよ」とはならない。当たり前のことだが、国が違えばミステリーの描き方も異なるということか。

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『映画の森』「2016年7月の映画」

2016-07-24 11:12:54 | 映画の森
共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)7月18日号で、
『映画の森』と題したコラムページに「7月の映画」として5本を紹介。
独断と偏見による五つ星満点で評価した。

ラインアップは

女心と秋の空『ブルックリン』☆☆☆
音楽と映画の心地良い融合『シング・ストリート 未来へのうた』☆☆☆
忘れていた家族を取り戻す『ファインディング・ドリー』☆☆☆
戦後のハリウッドを見詰め直した力作『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』☆☆☆☆
2人の老優によるロードムービー『ロング・トレイル!』☆☆☆

クリックすると拡大します↓



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【ほぼ週刊映画コラム】『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』

2016-07-23 18:54:23 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
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今週は

戦後のアメリカを見詰め直した力作
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』



詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1059085
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『ジェームス・ディーンの向こうに日本が視える』(明石散人)

2016-07-19 09:45:48 | ブックレビュー

 知り合いから薦められて読んでみた『ジェームス・ディーンの向こうに日本が視える』(明石散人)。



 画家のエゴン・シーレが写った一枚の写真が、ジェームス・ディーン、エリア・カザン、ビリー・ワイルダー、マリリン・モンロー、そして写楽へとつながるという、まさしく妄想の書。『エデンの東』はシーレを媒介としたカザンとワイルダーによるゲームの産物なんだと…。

 例えば、文中にも登場する義経=ジンギスカン説を推理小説化した高木彬光の『成吉思汗の秘密』のように、よくぞここまででっち上げた!というホラ話を聞くような面白さや、こちらの知的好奇心を刺激されるところも多少はあるのだが、筆者の分身たるY氏という語り部の横柄で断定的な、上から目線の語り口に腹が立ち、素直に、面白かった、まいりましたと言えないところがある。

 持論の押し付けは妄想と化し、うんちくの傾け過ぎは嫌味以外の何ものでもないということだ。

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【ほぼ週刊映画コラム】『ファインディング・ドリー』

2016-07-16 15:49:48 | ほぼ週刊映画コラム
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今週は

別次元に到達したアニメ映画
『ファインディング・ドリー』



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http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1058095
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『歌声にのった少年』のハニ・アブ・アサド監督に取材

2016-07-15 15:43:27 | BIG ISSUE ビッグイシュー

 実在のパレスチナ・ガザ地区出身の歌手、ムハンマド・アッサーフの半生を映画化した『歌声にのった少年』のハニ・アブ・アサド監督にインタビュー取材。



 『パラダイス・ナウ』『オマールの壁』でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたアサド監督は日本映画が大好きだった。

 「一番好きな日本映画は溝口健二監督の『雨月物語』です。小津、黒澤、溝口から始まって、北野武、是枝裕和、園子温、三池崇史、滝田洋二郎…。こうした映画を通して、僕は日本を知ることができました」

 「たとえ同じ国を100回訪れたとしても、自分がストレンジャーだという気持ちは拭えないかもしれませんが、その国の映画を見ることで、気持ちの上でつながることができれば、その国を訪れた時の感覚は全く違うと思います。ですから僕は、今こうして日本にいても強い親近感を持っています」

詳細は後ほど。

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『20世紀映画のすべて 淀川長治の証言』と永六輔さん

2016-07-13 10:43:50 | 映画いろいろ

永六輔さんが亡くなった。



 永さんとは一度だけお会いしたことがある。時は1997年。当時、編集を担当していた『20世紀映画のすべて 淀川長治の証言』(毎日新聞社)というムック本の中で、「20世紀映画が与えてくれたもの」と題して、淀川先生と永さんの対談が行われたのだ。永さんは普段から「淀川学校の卒業生」を自認しているから面白い対談になるのでは…と思っていた。

 当日、最も下っ端だった自分は永さんのかばん持ちを命じられ、ホテルのロビーまで迎えに行った。すると永さんは「僕は人にかばんを持たせたりするのは嫌いだけど、あなたにも立場があるだろうから」と言ってかばんを渡してくれた。

 エレベーターの中では「淀川さんの話は同じことの繰り返しだからねえ」とあまり乗り気ではない様子だったが、部屋に入り、対談の趣旨を説明すると、「分かりました。僕が時間通りにきちんとまとめるからまかせて」と一言。

 そして、淀川先生が部屋に入って来るや、満面の笑みで迎え、いきなり先生が大好きなチャップリンのことから話し始めた。「今、五つの孫がチャップリンを喜んで見ている。チャップリンは永遠だと改めて思いました」と。

 これで淀川先生は大喜び。以後も永さんのリードで話は和やかかつスムーズに進み、終ってみればなんとなく「20世紀映画が与えてくれたもの」というテーマに沿った対談になった。その時、間近で永さんを見ながら、さすがプロだなと感じさせられたものだった。今頃は再会して、二人でまた映画の話をしているのだろうか。

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【ほぼ週刊映画コラム】『シング・ストリート 未来へのうた』

2016-07-10 10:43:56 | ほぼ週刊映画コラム
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『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

音楽と映画の心地良い融合
『シング・ストリート 未来へのうた』




詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1057883
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『天国の門 デジタル修復完全版』

2016-07-10 08:04:35 | 映画いろいろ

『天国の門 デジタル修復完全版』(13)(2013.10.6.新宿武蔵野館)

最後のチミノ

 初見は今から30年以上も前、しかも短縮版だった。今回見直してみて、細部に関してはほとんど覚えていないことに気づき、初めて見るような錯覚に陥った。従って、今回加えられたのがどんなシーンだったのかもはっきりとは分からない。例えば、野球をするシーンは短縮版にもあったか? などと自問しながら見ることになった。

 もし「見直してみて自分の中での評価は変わったか?」と問われたとしても、ストレートに「良かった」とは答えづらい。冗漫な印象も変わらなかったが、意外にも3時間36分が決して苦痛ではなかった。今回改めて気づいたことや疑問を記してみよう。

背景
 東欧移民と牧畜業者の対立によるジョンソン郡戦争が描かれる。これは『シェーン』(53)の奥にあるものと同じだと後から知った。ワイオミングの美しい山河と、そこで繰り広げられる醜い争いという対照の妙が印象に残る。

人物キャラクター
  『ディア・ハンター』(78)のニック同様、文盲だが純情なガンマン、ネイサンの優しさが前面に出ている。どちらも演じるはクリストファー・ウォーケン! 

 対照的に『ディア・ハンター』のマイケル(ロバート・デ・ニーロ)に比べると、主人公ジェームズ(クリス・クリストファーソン)のキャラクターが弱い。これは東部出身のエリートを揶揄するためだったのかとも思えるが、ここがこの映画の弱点だろう。

 代わりにジェフ・ブリッジスが演じた“第三の男”ジョンの存在感が際立つ。ほかに、日和見なジョン・ハート、憎まれ役のサム・ウォーターストンも好演を見せる。

『ディア・ハンター』の影
 監督のマイケル・チミノはイタリア系、撮影のビルモス・ジグモンドはハンガリー移民。どちらもアメリカではマイノリティ、エスニック(少数民族)に属する。そのためか、『ディア・ハンター』とこの映画には東欧移民への同情や強いこだわりが見られる。そして牧歌→極限状態→挽歌という物語形式も同じだ。

 『ディア・ハンター』の主人公はスラブ系移民の子孫たち。前半はたっぷりと時間をかけてスティーブン(ジョン・サベージ)の結婚式を描き、一転、ベトナムの戦場という極限状態に移り、主人公をめぐる三角関係(マイケル、ニック、リンダ(メリル・ストリーブ))をはさんで、最後は残されたマイケルの孤独を映す。

 『天国の門』に登場するのは東欧移民の第一世代。前半はハーバード大の卒業式をこれも時間をかけてたっぷりと描き、ワイオミングに舞台を移し、やがてジョンソン郡戦争へと突入する。主人公をめぐる三角関係(ジェームズ、ネイサン、エラ(イザベル・ユペール))をはさんで、最後は残されたジェームズの孤独を映す。

 大きく違うのはジェームズが東欧移民ではないこと。つまり、彼はあくまでも傍観者なのだ。

 音楽も『ディア・ハンター』がロシア民謡を効果的に使ったように、『天国の門』では「美しき青きドナウ」など東欧を意識した音楽が使われている。また『ディア・ハンター』の「ゴッド・ブレス・アメリカ」に当たる「リパブリック賛歌」も印象に残る。

評価
 アメリカ開拓史上の恥部を真正面から描くという意味では、後にアカデミー賞を大量受賞した『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)の存在がある。では、『天国の門』はなぜあれほど激しいバッシングを受けたのか。両作の評価が雲泥の差ほども違うのはなぜなのか。そもそも両作は西部劇なのだろうか。といった疑問が浮かんできた。

 

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