クリント・イーストウッドが、2015年にアムステルダム発パリ行の列車内で起こった無差別テロ事件を映画化。同事件で現場に居合わせ、武装した犯人に立ち向かった3人のアメリカ人の若者たちの実話を描く。
『ジャージー・ボーイズ』(14)『アメリカン・スナイパー』(14)『ハドソン川の奇跡』(16)と、80を過ぎてからのイーストウッドの仕事ぶりは、本当に驚くべきものがあるのだが、今回も、俳優ではなく事件の当事者が自分自身を演じ、実際に事件が起きた場所で撮影するという、新たな試みに挑んでいるわけで…。その旺盛な創作欲に脱帽させられる。
実話を、映画的に、時系列を操作して描くという手法は、前作『ハドソン川~』と同じだが、94分という短い時間の中で、事件そのものを描くのはラスト近くの20分ほどで、それよりも問題児扱いされた3人の子供時代や、事件直前のヨーロッパ旅行のスケッチを丹念に描いたところには、正直なところ、ちょっとはぐらかされたような気がした。
イーストウッドとしては、あくまで普通の人々の物語として描く、あるいは、問題児がヒーローになる皮肉を描きたかったのかもしれないが、『ハドソン川~』と比べると、手放しでは褒めちぎれないところがあった。
詳細は後ほど。