田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

【ほぼ週刊映画コラム】『トレイン・ミッション』『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

2018-03-31 18:33:44 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

通勤電車を舞台にした至極のサスペンス
『トレイン・ミッション』
リュック・ベッソンの自由奔放なイメージが爆発した
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』の2本立て



詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1145837
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『エノケンと東京喜劇の黄金時代』(東京喜劇研究会編)

2018-03-30 09:06:12 | ブックレビュー

 「わろてんか」で広瀬アリスが歌った「アラビアの唄」で二村定一のことを思い出し、もう一度彼らが活躍した時代について書かれたものが読みたいと思った。そんな中、タイミングよく日暮里の「古書ほうろう」で本書を発見した。エノケン=榎本健一を中心に、過ぎし日の東京喜劇を研究したこの本は、資料としても貴重だ。



 「映画のなかのエノケン」(佐藤利明)、「エノケンとジャズ」(瀬川昌久)、「エノケンとチャップリン」(井崎博之)など、やはりエノケンと映画の関わりについて書かれたものが印象に残る。

 研究員の一人である原健太郎氏があとがきで、エノケンたちの舞台について「わたしたちの世代は、確かに何も見ていません。生まれる以前におこなわれたことなのです。時代を共に生きてこなかった以上、それは不可能です。では、わたしたちは何も言う資格はないのでしょうか」と書いていた。

 この言葉は、自分が生まれる前に作られた古い映画について書いたり、語ったりする時によく感じるジレンマと通じるものがある。ところが自分も、今の若者が1970~80年代の映画について書いたものを読むと「リアルタイムじゃないだろ」などと素直に認めないところがあるのだから、困ったものだ。

「アラビアの唄」 エノケンとその仲間たち
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c5c5c9c9e274cc51e260d9cdea01cd0a

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『ロンドン、人生はじめます』

2018-03-30 06:01:26 | 新作映画を見てみた
これは本当に“いい話”なのか



 ロンドンの高級マンションに暮らすエミリー(ダイアン・キートン)が、森の中の小さな小屋に住むドナルド(ブレンダン・グリーソン)と知り合い、2人は互いに引かれ合うようになるが…。

 国立公園で暮らすホームレスが、裁判で土地の所有権を手にして資産家となった実話を基に映画化。いかにもイギリス映画らしい、ブラックユーモアと皮肉を交えて描く人間ドラマといったところか。

 ところが、2人の行動の動機や理由の描き方が曖昧なもので、エミリーはただの優柔不断なわがままおばさんに、ドナルドは逃避癖のある頑固者に見えて、あまり感情移入ができない。「これは本当に“いい話”なのか?」と自問したまま見終わってしまった。

 原題は、単に舞台となった「Hampstead=ハムステッド」。この邦題も…。
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『君の名前で僕を呼んで』

2018-03-29 10:06:13 | 新作映画を見てみた
頭では分かっていても…



 1983年、北イタリアの避暑地。17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、考古学者の父(マイケル・スタールバーグ)を手伝いに来た24歳の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)と恋に落ちる。

 オリヴァー役が女性なら何の問題もない、よくある切ない恋物語だが、男同士の恋というところが異色。脚色は自らもゲイのジェームズ・アイボリーだけに心理描写が細かい。その脚本を、監督のルカ・グァダニーノの繊細な演出をはじめ、サヨムプー・ムックディープロムの自然光を生かした撮影、適切な音楽の挿入など、スタッフが見事に映画として完成させた。特に男性美を表す彫刻をちりばめたオープニング、2人のちょっとした仕草や、互いに交わす目線が印象的だ。

 ただ、例えば女性同士=レズビアンの恋を描いた『キャロル』(15)などにはあまり違和感を抱かないのに、『ブロークバック・マウンテン』(05)『ムーンライト』(16)もそうだが、男同士の恋(特にラブシーン)には、見ていてどうにも居心地の悪さを感じさせられる。この映画も、同性愛云々ではなく、恋をする若者の思いを描いた映画なのだと、頭では分かっていても…。これは偏見や差別ではなく、生理的な感覚だから仕方がない。

 それにしても、シャラメもハマーもよくこんな難役を引き受けたものだと感心させられたが、全てを見通し、息子を受け入れる父親を演じたスタールバーグの好演も印象に残った。
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『きみへの距離、1万キロ』

2018-03-29 08:48:00 | 新作映画を見てみた
うなじの匂いをかぎ、キスをし、愛撫すれば分かる



 原題は「Eye on Juliet」。つまり「ロミオとジュリエット」のような、運命の相手との障害のある恋を描いていることを暗示しているのだが、この邦題では…。

 米デトロイトに暮らす孤独な青年ゴードン(ジョー・コール)は、ロボットを遠隔操作して北アフリカの砂漠にある石油パイプラインを監視する仕事をしている。ある日、ゴードンはモニターに映った訳ありの若い女性アユーシャ(リナ・エル・アラビ)に心を奪われ、やがて彼女の姿を追うことが生きがいになっていく。

 中盤、ゴードンが、やはりモニターを通じて知り合った迷子になった盲目の老人に「運命の相手だと知る方法は?」とたずねると、老人が「うなじの匂いをかぎ、キスをし、愛撫すれば分かる。それで違うと感じたらやめることだ」と答える印象的なシーンがある。相手に思いが届かない、触れることもできないというゴードンにとっては反意的とも思えるこの言葉が、実はラストシーンで反芻されるのがこの映画のミソだ。

 また、この映画の設定は、無人戦闘機ドローンにより、戦地に行かずして空爆を行う様子を描いた『ドローン・オブ・ウォー』(14)と似ており、怖さを感じるところもある。加えて、昔の映画では、恋する人の姿を黙って追うのは純愛の証として描けたが、今ではストーカー行為と思われてしまう難しさがある。

 ところが、この映画はカニのように動くロボットを仲介させることで、怖さや不気味さを緩和させ、ファンタジー色を強めることに成功している。このあたり、カナダ出身のキム・グエン監督の手腕を買いたい気もするが、アユーシャの行動がわがままに見えてしまうのが難点だ。

 ゴードンの上司の名はピーター。これは歌手の「ピーター&ゴードン」にあやかっているのだろうか。
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「没後20年 旅する黒澤明」

2018-03-28 22:04:56 | 映画いろいろ
4月17日から京橋のフィルムセンターで
「没後20年 旅する黒澤明」が開催される。



http://www.momat.go.jp/fc/exhibition/kurosawaposters/
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『ミミック』

2018-03-27 18:27:34 | 映画いろいろ
『シェイプ・オブ・ウォーター』のアカデミー賞受賞記念、というわけでもないのだろうが、同じくギレルモ・デル・トロ監督作の『ミミック』(97)をテレビでやっていた。



初見の際のメモを。

 タイトルの意味はものまね。つまり遺伝子操作で作られた新種の昆虫が人間の“ものまね”をして擬人化していくというB級ホラーだ。

 その昔のワニ男やハエ男のばかばかしさをほうふつとさせる“ゴキブリ男”が登場。ニューヨークの地下を舞台に、ミラ・ソルビーノが真っ黒になって頑張り、ジャンカルロ・ジャンニーニ、チャールズ・S・ダットン、F・マーリー・エイブラハムらの脇役も面白く、『ジョーズ』と『エイリアン』を足して割ったようなB級映画のテイストにあふれたなかなかの拾い物だった。実はこういうばかばかしい映画も大好きなのだ。


 今回は、若き日のジョシュ・ブローリンが出ていたのを発見。デル・トロ独特のグロさは昔の方が強烈だった。『シェイプ・オブ・ウォーター』はそれを緩和させたが故にオスカーを受賞したのかと改めて思わされた。
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スティーブン・フォスターの伝記映画など

2018-03-27 06:50:26 | 映画いろいろ
 先日テレビで、アメリカの作曲家スティーブン・フォスターの生涯について語る番組が放送されていた。

 フォスターといえば、「おおスザンナ」「草競馬」「故郷の人々」(「スワニー河」)「主人は冷たい土の中に」「ケンタッキーの我が家」「金髪のジェニー」「オールド・ブラック・ジョー」「夢見る人」…などの名曲を残しながら、零落して夭折した悲運の人。

 初期の曲の多くは、「ミンストレル・ショー」と呼ばれる、顔を黒く塗った白人が、踊りや音楽、寸劇などを演じるショーのために書かれたものだという。だが、やがて芸術としての音楽に目覚めたフォスターは、生活と芸術のはざ間で悩むことになるのだ。



 確かフォスターの伝記映画があったはずだと思い、調べてみたら、『懐かしのスワニー』(39・Swanee River)という映画で、日本でも1951年に公開されていたことが分かった。

 製作はダリル・F・ザナックで、監督シドニー・ランフィールド、脚本フィリップ・ダンというスタッフ。後年『コクーン』(85)で粋なじいさんを演じたドン・アメチーがフォスターに扮し、ミンストレル・ショーを思わせる黒塗りの顔で売った、『ジャズ・シンガー』(27)のアル・ジョルスンが共演している。

 また、もう一本、日本未公開でアラン・ドワンが監督し、『捜索者』(56)のアラン・ルメイが脚本を書いた『I DREAM OF JEANNIE』(52)という映画もあるようだ。こちらはビル・シャーリーがフォスターを演じている。

 もちろんどちらも未見なので、ぜひ見てみたい。

 ところで、かの山本周五郎が、フォスターの生涯を翻案し、舞台を浄瑠璃の世界に移し替えた『虚空遍歴』という長編を書いているという。こちらも未読なので、この際、読んでみようかなと思っている。
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花見と新ゴジラ

2018-03-26 08:26:10 | 雄二旅日記
午前中は『男はつらいよ』の第一作のオープニングにも登場する水元の桜で花見。




午後は「映画の友」との飲み会。
帰りに日比谷の新ゴジラ像と初対面した。

 

旧ゴジラ像は3月29日にオープンする「TOHOシネマズ日比谷」に移設されたとのこと。
壊されなくてよかった。
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『映画の森』「2018年3月の映画」

2018-03-26 06:46:13 | 映画の森
共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)3月26日号で、
『映画の森』と題したコラムページに「3月の映画」として5本を紹介。
独断と偏見による五つ星満点で評価した。

ラインアップは

摩訶不思議な“デル・トロ・ワールド”『シェイプ・オブ・ウォーター』☆☆☆☆
新たな試みではあるが…『15時17分、パリ行き』☆☆
メキシコを舞台にした家族の絆の物語『リメンバー・ミー』☆☆☆
ドラマと映像の魅力が見事に共存『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』☆☆☆☆
通勤電車を舞台にした至極のサスペンス『トレイン・ミッション』☆☆☆☆

クリックすると拡大します↓





WEB版はこちら↓
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2018-04-16_1755606/
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