田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』のマリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール監督に取材

2016-06-29 09:05:18 | BIG ISSUE ビッグイシュー



 この映画は、実話を基に、学校から見放された問題児たちの集まるクラスが、ベテランの歴史教師アンナの情熱によって次第に変化していく様子を描いている。

 アンヌは、生徒たちに「アウシュビッツ」をテーマにして、全国歴史コンクールに参加するよう薦めるが、生徒たちは難解なテーマに反発する。アンヌは、強制収容所の生存者を授業に招き、自らの体験を語ってもらうことで生徒たちの心に大きな変化を与える。

 「この映画を通して、教育の重要性、素晴らしい教師との出会いの重要性を伝えたかった」という監督に、山田洋次監督の『学校』(93)を見ることをお薦めした。個人的にはこの映画を見ながら高校時代の世界史のI先生のことを思い出した。

詳細は後ほど。

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『居酒屋吟月の物語』(太田和彦)

2016-06-28 08:00:51 | ブックレビュー

 居酒屋探訪で有名な太田和彦による、映画を題材にしたファンタジー。『黄金座の物語』(01)を文庫化に際して改題したもの。



 主人公の“私”が迷い込んだ時間が止まったような街。そこには、古い日本映画ばかり上映する「黄金座」という映画館があり、加東大介そっくりの大将が経営する「吟月」という居酒屋があった。店の常連で“平山先生”と呼ばれる笠智衆に似た父親とその娘の“紀子”(もちろん原節子そっくり)と親しくなる私。さらに三船敏郎そっくりの“松永”というやくざや田中春男そっくりの編集者、中村伸郎そっくりのバーのマスターも絡んできて…。

 冒頭に「『酔いどれ天使』(黒澤明)『晩春』(小津安二郎)『おかあさん』(成瀬巳喜男)に捧ぐ」とある通り、筆者の分身の“私”が現実を超えて、3本の映画が交錯するような世界に入っていくという話。読み始めは、現実描写とのギャップに少々面食らうが、慣れてくると、これはジャック・フィニイや広瀬正が好んだノスタルジーに満ちたファンタジーの世界なのだと気づき、読み進めるうちに登場人物たちの行く末が気になりはじめる。そして、最後は気持ちいいぐらいにこの不思議で魅力的な世界にはまり込んでいる自分がいた。間に“私”が黄金座で見た映画のあらすじと批評が入るのも面白い構成。筆者が後に著した『シネマ大吟醸』の姉妹作と言ってもいい。

 ちなみに「黄金座」で上映され“私”が見た映画は
『歌女おぼえ書』『按摩と女』『花形選手』『家庭日記』『簪』『小原庄助さん』(清水宏)
『お絹と番頭』『絹代の初恋』(野村浩将)
『花籠の歌』(五所平之助)
『化粧雪』(石田民三)
『樋口一葉』(並木鏡太郎)
『鶴八鶴次郎』『妻よ薔薇のやうに』『噂の娘』(成瀬巳喜男)
『兄とその妹』『隣の八重ちゃん』『婚約三羽烏』『男性対女性』(島津保次郎)
『晩春』(小津安二郎)

 この中の映画はほとんど見ていない。もっと映画を見なくちゃと反省させられた。

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『名画座パラディーゾ 朝霧千映のロジック』(桑野和昭)

2016-06-27 08:00:26 | ブックレビュー



 映画館にまつわる四つの連作短編を集めたライトノベル。全く映画に興味のない主人公が、映画館を経営するうら若き映画狂の女性に引かれて、そこで働き始めるという設定。まるで『古書街キネマの案内人』↓(大泉貴)と“兄弟”のような感じがする。
http://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6d97b5672a79cf2dd48c688097bd7e6e

 『古書街キネマの案内人』の舞台は東京の神保町、こちらは広島の尾道という違いはあるが、ヒロインに人の心を読む特殊能力を持たせ、彼女がその能力と推理力を使って映画館の周囲で起こる小事件を解決していくという筋立ても良く似ている。
 
 登場する映画とその(テーマ)は、『ショーシャンクの空に』(無実の罪)、『プリティ・ウーマン』(身分違いの恋)、『シザーハンズ』(異人へのいじめ)、『ペイフォワード 可能の王国』(幼児虐待)。

 軽く一気に読めてしまうところがこの手の本の真骨頂。若い人が古い映画や映画館への愛を表現してくれるのはうれしいが、せっかく尾道を舞台にしたのだから、それをもう少し生かしてほしかったと思うのは求め過ぎか。

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瀬音の湯とあきる野映画祭

2016-06-26 08:00:52 | 雄二旅日記
武蔵五日市近くの温泉施設「瀬音の湯」で一泊。



秋川渓谷を訪れたのは中学時代の遠足以来のこと。
東京にも、こんなに豊かな自然に囲まれたいい温泉施設があるとはうれしい驚きだった。

この近辺では、毎年7月に「あきる野映画祭」が開催され、
『五日市物語』(11)『あきる野物語 空色の旅人』(15)という自治体絡みの映画も製作されているという。
ちょっとした映画どころなのだ。

どちらも監督は小林仁という人。
調べてみたらあきる野市役所の職員をしながら映画を撮っているらしい。
ちょっと見てみようかな。

あきる野映画祭2016の詳細は↓
http://www.city.akiruno.tokyo.jp/0000006955.html
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【ほぼ週刊映画コラム】『二重生活』

2016-06-25 18:36:08 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

新感覚の心理サスペンス
『二重生活』



詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1056898
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『墜ちた打撃王 ピート・ローズ』

2016-06-20 09:36:08 | 映画いろいろ

 イチローの日米通算安打記録にいちゃもんをつけ、男を落とした感のあるピート・ローズ。その人間性はともかく、彼が不世出の大選手であることは周知の事実。だから、イチローの記録達成で、ローズの記録が見劣りするようなことは決してないのだ。

 逆に、ローズがいかに素晴らしい選手だったかをイチローが思い出させてくれたのではないか。つべこべ言わずに、余裕を見せて「イチローおめでとう」の一言で済んだはずなのに…。


『墜ちた打撃王 ピート・ローズ』(04)



 と、以前、ローズを描いたテレビドラマを見ていたことを思い出した。その際のメモを。

 現役時代、ラフプレーすれすれの全力プレーで人気を博し、“チャーリー・ハッスル”(原題の「Hustle」はここからとられている)と呼ばれた男、ピート・ローズ。

 何しろ、通算出場試合3562、通算打数14053、通算安打4256、通算単打3215というメジャーリーグ記録を持つ不世出のバッターで、おまけにシンシナティに生まれ育ち、主に地元のレッズで活躍したのだから地元では神のような存在だったと言っても過言ではない。そのローズがギャンブル狂で、果ては野球賭博にまで関わって野球界から永久追放されるとは…。なんという運命の皮肉か。

 このテレビドラマは、監督時代のローズがどのようにギャンブルにのめり込んでいったのかを明らかにし、性格破綻者ぶりも知らされるので、見ていていささかつらくなる。またトム・サイズモアがローズそっくりに演じているから、さらに哀れさが増す。恐らく、今後もローズが復権を許されて野球殿堂入りすることはないだろうに、何故今ごろこんなドラマが作られたのかちょっと疑問が残る。

 監督は『ラスト・ショー』(71)『ペーパー・ムーン』(73)などのピーター・ボグダノビッチだったが、残念ながら“雇われ監督”といった感じだった。*自業自得とは言え、こんなふうに描かれたりするから、ひねくれてしまったの? ローズさん。

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【ほぼ週刊映画コラム】『10クローバーフィールド・レーン』

2016-06-18 19:06:59 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

好きか嫌いか自分の目で確かめるべし
『10クローバーフィールド・レーン』



詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1055642
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『教授のおかしな妄想殺人』

2016-06-13 08:00:24 | 新作映画を見てみた

さすがにアレン老いたりか?



 「人生は無意味だ」と考える大学教授(ホアキン・フェニックス)が、転校先で女子大生(エマ・ストーン)と親しくなる。それに加えて、何故か完全犯罪への挑戦に熱中し始め、次第に生気を取り戻していく。

 ウディ・アレンがヒッチコックタッチやプレストン・スタージェスの『殺人幻想曲』(48)の線を狙ったと思われるシニカルなブラックコメディー。

 原題の「不合理な男」からも分かるように、アレンお得意の人生の不条理と滑稽さ、生きる意味の模索を描いているが、話がうまく転がらず、付いていくのに一苦労。

 さすがにアレン老いたりか?と思わされる。 

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『エクス・マキナ』

2016-06-12 11:10:14 | 新作映画を見てみた

こんなロボットとなら恋に落ちてもいいか?

 インターネット会社でプログラマーとして働くケイブ(ドーナル・グリーソン)は、社長のネイサン(オスカー・アイザック)が所有する山荘に1週間滞在するチャンスを得る。ケイブは人里離れた山荘で、美しい女性型ロボットのエヴァ(アリシア・ヴィカンダー)に組み込まれた人工知能のテストに協力することになるが…。

 英国人監督アレックス・ガーランドのデビュー作。山荘付近のロケはノルウェーで行われたらしいが、その他は、ほぼ4人の登場人物による室内劇風のドラマが展開していく。

 アカデミー賞で視覚効果賞を得たスタイリッシュなビジュアルと、脚本賞にノミネートされた巧みなストーリーテリング(人間と人工知能の駆け引き)が融合し、摩訶不思議な世界を現出させることに成功している。それほど金はかけずとも、良いアイデアを生かすことさえできればSF映画の佳作を作ることは可能なのだと改めて感じさせられた。

 ヴィカンダーが妖しい魅力を発散し、こんなロボットとなら恋に落ちてもいいかと思わせる。そこがこの映画のテーマであり、怖さでもある。一作ごとに見た目が異なるカメレオン俳優アイザックも面目躍如の怪演を見せる。

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【ほぼ週刊映画コラム】『マネーモンスター』

2016-06-11 19:01:09 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

監督ジョディ・フォスターの手腕に脱帽!
『マネーモンスター』



詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1054579
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