田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

昔の教科書に載っていた小説など 中学校編

2017-03-31 10:08:17 | ブックレビュー
中学校編(中等新国語』光村図書)



主人公の少年のひばりの子への気持ちを描いた
「ひばりの子~『ザボンの花』」(庄野潤三)

有名な昆虫記からの引用
「フシダカバチの秘密~『ファーブル昆虫記』」(アンリ・ファーブル)

初の世界一周を成し遂げたマゼランの航海記
「針路、西~『死の艦隊』」(メノ・ホルスト)

山形を舞台に、鷹匠と鷹との交流を描いた
「爪王」(戸川幸夫)

「私」に蝶の標本を見せられた「君」が、少年の頃の苦い思い出を語る
「少年の日の思い出」(ヘルマン・ヘッセ)

没落した若者が仙人と出会い、さまざまな体験をした後に新たな道を見付ける
「杜子春」(芥川龍之介)

素直になれない弟を厳しく優しく諭す兄とそれに応える弟の姿を描く
「ウミヒコ ヤマヒコ」(山本有三)

宮沢賢治の評伝
「宮沢賢治」(森荘已池)

ハワイのホテルでガラスコップが朝の光に照らされて輝いていることを描写したエッセー
「朝の光の中で」(川端康成) 

自分を劣等だと思っている主人公が、痩せこけたサーカスの馬に勇気づけられるという、自伝的な短編
「サーカスの馬」(安岡章太郎)

著名な物理学者によるエッセー
「ラスコー洞窟の壁画」(中谷宇吉郎)

映画化もされたノンフィクション
「野生のエルザ」(ジョイ・アダムソン)

伊豆を舞台にした自伝的小説の一部
「飛び込み台~『夏草冬濤』」(井上靖)

古代ギリシャを舞台に、友情と信頼について描いた
「走れメロス」(太宰治)

第二次大戦下、ドイツ軍の護送貨車からの脱出を決意する主人公。その時、ラビがハンカチに包んだ一切れのパンを渡すが…
「一切れのパン」(フランシスク・ムンティアヌ)

大きくなり過ぎて岩屋から出られなくなってしまった山椒魚の悲嘆をユーモラスに描く
「山椒魚」(井伏鱒二)

俳人が松尾芭蕉の「奥の細道」の跡をたどる
「奥の細道」を尋ねて(加藤楸邨)

北海道の自然の中で、ある青年の深い苦悩を描いた
「生まれ出づる悩み」(有島武郎)

猫の目を通して人間社会をユーモアたっぷりに描いた
「吾輩は猫である」(夏目漱石)

自身の体験を基に、1920年代の中国に残る封建的な身分差別に対する悲痛な思いと未来への希望を綴った
「故郷」(魯迅)

「道程」(高村光太郎)

明治時代、富士山頂気象観測を果たした野中到とその妻の物語
「足音~『芙蓉の人』」(新田次郎)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昔の教科書に載っていた小説など 小学校編

2017-03-30 10:45:39 | ブックレビュー

小泉八雲の「むじな」で思い出したのだが、昔の教科書に載っていた小説や詩、エッセー、評論の中で、心に残っているものがたくさんある。

小学校編(『小学校国語』学校図書)



赤いろうそくを拾った猿と動物たちとのやり取りをユーモラスに綴った
「赤いろうそく」(新美南吉)

貧しい老夫婦が、雪の中、道端の地蔵にすげ笠をかぶせてやると…という昔話
「かさじぞう」(瀬田貞二)

堤防の穴を見つけたオランダの少年ハンスが、一晩中腕を穴に差し込んで村を洪水から救ったという実話
「ハーレムの少年」(作者不詳)
*どうやら、メアリー・ドッジという米国の作家が創作した話らしい。
ずっと実話だとばかり思っていた。

自分が摘まれることで雨を降らせて小魚を助けたいと願うヒルガオの自己犠牲を描いた童話
「はまひるがおの小さな海」(今西祐行)

タンボはハンターから動物を救うため、得意の太鼓を合図に使う。自然への畏敬と命の尊さを描いた
「アフリカのたいこ」(瀬田貞二)

イタリアを舞台に、10歳の少年の日記という形で進行する連作集からの一編
「争い~『クオレ』」(エドモンド・デ・アミーチス)

十和田湖でのヒメマス養殖に尽力した和井内貞行の評伝
「十和田のひめます」(関英雄)

算数の問題に苦しむ少年が答えを見つけ出すまでを描く
「ひとりでとけた問題」(ニコライ・ノーソフ)

「私」と猟師が見た月の輪グマの母子の愛情を描いた
「月の輪ぐま」(椋鳩十)

夏の盛り、身重のお母さんのために少女が夏みかんを買いに行く様子を綴った
「夏みかん」(壷井栄)

秋田の八郎潟にまつわる民話を自己犠牲の精神から描いた
「八郎」(吉沢和夫)

トキの学名がなぜニッポニア-ニッポンになったのかを探る
「ニッポニア-ニッポン」(作者不詳)

厨子作りに没頭する若い仏師の姿を描いた
「玉虫のずしの物語」(平塚武二)

可能性の大きさを綴った詩
「ここに手がある」(江口榛一)

マリアナ海溝に潜った深海探査船のドキュメント
「一万一千メートルの深海へ」(ジャック・ピカール)

1本の楡の木の視点で北海道の変遷を描いた
「にれの町」(百田宗治)

老狩人と利口な雁の知恵比べを描いた
「大造じいさんとがん」(椋鳩十)

幕末から明治にかけて、数奇な運命をたどった中浜万次郎の評伝
「ジョン万次郎」(野村純三)

火山弾のベゴを擬人化し、その泰然自若な姿に賢治自らの理想を反映させた
「気のいい火山弾」(宮沢賢治)

国境に派遣された老人と若者の出会いと別れの中に、戦争の空しさを静かに描き込んだファンタジー
「野ばら」(小川未明)

アルザス地方を舞台に、戦争のため、最後の授業となったアメル先生の教室を描いた
「最後の授業」(アルフォンス・ドーデ)

廃業した造り酒屋の隠居と孫のふれあいをほのぼのと描いた
「分銅屋のえんとつ」(氏原大作)

満点の星が輝くモンゴルを舞台に、日本人の「私」と中国人のチャンくんとの友情や正義感について描いた
「カルガンの星の歌」(佐々木望)

ラジウムを発見したマリ・キュリーの評伝
「キュリー夫人」(作者不詳)

人間の顔に見える岩肌に、そっくりな顔の偉人が現れるという言い伝えを描いた不思議話
「いわおの顔」(ナサニエル・ホーソーン)

以前、教科書図書館を訪れて“再会”した時は感慨深いものがあった。↓
http://www.textbook-rc.or.jp/library/index.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『へるん先生の汽車旅行 小泉八雲と不思議国・日本』(芦原伸)

2017-03-29 08:57:37 | ブックレビュー



 ニューヨーク→シンシナティ→トロント→バンクーバー…。横浜→焼津→姫路→松江→出雲→熊本→神戸→東京。

 ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)を元祖バックパッカーとして捉え、その生涯を、“旅と鉄道”という視点から追ったルポルタージュ。
作者は雑誌『旅と鉄道』に携わった紀行作家の芦原伸である。

 ハーンの話と作者の話が入り乱れるスタイルに、初めのうちは少々戸惑ったが、慣れてくると、新たなハーン論として思いのほか面白く読めた。中でも、アメリカでのルポライター、記者時代に「マーダー・バラッド(殺人事件をテーマにした物語的なフォークソング)」の影響を受けて書いた文章が、来日後、妻のセツという語り部を得て「再話文学(昔からの物語や伝説、民話などを分かりやすく書き直したもの)」へと昇華していったという件は興味深かった。

 ハーンに関する個人的な思い出は、小学校時代に学校の図書室で読んだ『怪談』、中学時代、英語のリーダーの教科書に載っていた「むじな=MUJINA」、「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」からなる小林正樹監督のオムニバス映画『怪談』(65)、山田太一作、ジョージ・チャキリスがハーンを演じたテレビドラマ「日本の面影」(84・NHK)などがある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『映画の森』「2017年3月の映画」

2017-03-27 07:42:16 | 映画の森
共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)3月27日号で、
『映画の森』と題したコラムページに「3月の映画」として5本を紹介。
独断と偏見による五つ星満点で評価した。

ラインアップは

ディズニーおはこの少女の成長物語「モアナと伝説の海」☆☆☆
若手女優たちのチームワークが素晴らしい「チア☆ダン~」☆☆☆
棋士たちが醸し出す個性が見どころ「3月のライオン 前編」☆☆☆
二人芝居で通したユニークなSF映画「パッセンジャー」☆☆☆
怪獣が出てくるベトナム戦争映画「キングコング 髑髏島の巨神」☆☆

クリックすると拡大します↓



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ストロングマン』

2017-03-26 15:49:50 | 新作映画を見てみた

アイデアは面白いのだが…



 ギリシャのエーゲ海でクルージングを楽しむ中年男性の6人組。船がアテネに寄港するまでの間に、誰がストロングマン(最高の男)かを決めるゲームをすることに…。女性監督が皮肉たっぷりに、男のアホなプライド、愚かしさを描く。今年度のアカデミー賞の外国語映画賞のギリシャ代表作品。

 アイデアは面白いが、理解不能のギャグ、微妙な間やテンポについていくのに一苦労。例えば、はげでデブの弟がミニー・リパートンの「ラビング・ユー」に合わせて踊り、仲の悪い兄がそれを花火で盛り上げる場面なども、もっといい場面になりそうなものだが、テンポが悪くて見ていていらいらしてくる始末。

 ハリウッドでリメークしたらもう少し締まって面白くなるかもしれないと感じた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『キングコング 髑髏島の巨神』

2017-03-26 06:42:47 | 新作映画を見てみた

怪獣が出てくるベトナム戦争映画



 1973年、太平洋の孤島スカル・アイランド(髑髏島)を、軍人、学者、カメラマンからなる調査隊が訪れる。そんな彼らの前に島の守護神キングコングが現れる。

 1933年製作の第1作以来、キングコング映画としては通算8作目となる本作は、コングが都会に連れていかれて大暴れ…という従来のパターンを破り、孤島でのサバイバルとバトルの様子を中心に描く。とにかくコングや巨大トカゲなどのリアルな動きに驚かされる。

 また、監督のジョーダン・ヴォート・ロバーツが、「モンスターが出てくるベトナム戦争映画」と語る通り、コッポラの『地獄の黙示録』(79)を想起させる設定やシーンが数多くあるほか、『ルーム』(15)で注目されたブリー・ラーソンが、歴代のヒロインたちとは違う、アクティブなヒロイン像を構築するなど、新たな試みが随所に見られる。

 だが、製作がうわさされるハリウッド版の『ゴジラ対キングコング』への布石を打つためか、ラストが中途半端になってしまったのが残念だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『パッセンジャー』

2017-03-25 15:35:08 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

二人芝居で描くユニークなSF映画
『パッセンジャー』



詳細はこちら↓

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1099638
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【インタビュー】『キングコング 髑髏島の巨神』ブリー・ラーソン

2017-03-24 16:44:10 | インタビュー

 共同通信のエンタメOVOに、『キングコング 髑髏島の巨神』のヒロイン役ブリー・ラーソンへのインタビュー掲載。

 ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督いわく「モンスターが出でくるベトナム戦争映画」でアクティブなカメラマンを演じた。




https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1099431

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『スタジアムの戦後史』(阿部珠樹)『両さんと歩く下町』(秋本治)

2017-03-23 08:00:57 | ブックレビュー

 『スタジアムの戦後史』

 スポーツライターの阿部珠樹が、スタジアムが果たした役割や、そこで行われた名勝負や、反響をまとめた好著。後楽園球場、旧両国国技館(日大講堂)、川崎球場、日本武道館、東京球場の5編を収録している。

 旧両国国技館以外は訪れたことがあり、武道館以外は今はもうないということで、ノスタルジーを喚起させられる。国技館の春日野(栃錦)清隆、東京球場の永田雅一、武道館の「大きな玉ねぎの下で」(爆風スランプ)に関するエピソードが切なく響く。

 

 続けて『両さんと歩く下町』(秋本治)を読む。葛飾に移り住んでから早7年。いつの間にかこちらの方が地元のような感覚になってしまった。巻末に山田洋次監督との対談付き。わが町は寅さんと両さんに挟まれているのだ。それにしても、絵が描けるというのはうらやましい限りだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『横綱』(武田葉月)

2017-03-22 12:33:52 | ブックレビュー

 久しぶりの日本人横綱稀勢の里の誕生合わせたかのように文庫化された歴代の横綱経験者たちへの貴重なインタビュー集。女性が聞き手というのが新鮮だ。



 登場するのは、若乃花(初代)、大鵬、栃ノ海、佐田の山、北の富士、琴櫻、輪島、北の湖、若乃花(二代)、三重ノ海、千代の富士、隆の里、双羽黒、北勝海、大乃国、旭富士、曙、武蔵丸、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜。

 初代若乃花以外は、現役時代を知っているので、こちらの思い入れや懐かしさも手伝って一気に読んでしまった。若乃花が栃錦を、大鵬が柏戸を、北の富士が玉の海を、輪湖が互いを、武蔵丸が貴乃花を、とライバルを語る時が最も生き生きとする。その意味では、本書の惜しむべき点は、若貴が語る曙、武蔵丸がなかったことか。白鵬の悲劇は良きライバルを持てなかったことにあるのではないかとつくづく思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする