エンタメOVOに、【特集】「真田丸」PVベストテン発表 インタビュー1位は峯村リエ(大蔵卿局)掲載
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
2016年映画ベストテン
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1084707
「スター・ウォーズ」シリーズでレイア姫を演じたキャリー・フィッシャーが60歳で亡くなった。2008年に出版された『外国映画女優名鑑』(共同通信社刊)で彼女について書いたものを転載し、哀悼の意を表します。
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この後、キャリーは、30年数年ぶりにレイア姫を演じた『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)で、“女王の貫禄”を示して、今後の展開に期待を持たせてくれたのだが、今から思えば、最新作『ローグ・ワン~』のラストは…。
良くも悪くも「スター・ウォーズ」に終始し、翻弄された女優人生だったのかもしれない。そして、母のデビー・レイノルズよりも先に逝ったことになる。
後記
と、書いた翌日、何とデビー・レイノルズも亡くなったという。嗚呼…。
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知人の紹介で、伊勢佐木町近くの横浜シネマリンに『レミニセンティア』という自主製作映画を見に行った。
この日は、終映後に監督の井上雅貴氏のトークショーも開催された。
本作が監督デビュー作となった井上氏は、イッセー尾形が昭和天皇を演じたアレクサンドル・ソクーロフ監督の『太陽』(05)にスタッフとして参加し、ロシアの映画製作を学んだという。
その時、通訳を務めたロシア人女性のイリーナさんと結婚。この映画は彼女がプロデュースし、娘の美麗奈ちゃんが重要な役で出演している。いわば本作は、ロシアを舞台に、家内制手工業で作られた映画なのだ。
タイトルの『レミニセンティア』はロシア語で「追憶」を表し、映画のキャッチコピーとしては「記憶の万華鏡」と訳されている。
そのことからも明らかなように、本作は人間の記憶をテーマに、少々哲学的なSF(少し不思議)話を展開させる。
簡単にストーリーを紹介すると、人の記憶を消す特殊な能力を持つ作家のミハエルが主人公。彼のもとには「記憶を消してほしい」という人々がやってくる。
ミハエルは金の代わりに人々の記憶(小説のストーリー)をもらうのだが、自身は幼い娘と過ごした過去が思い出せずに悩んでいた。そんなミハエルの前に、記憶を呼び起こす特殊能力を持ったマリアが現れる。というもの。
正直なところ、冒頭は独特のテンポや雰囲気に面食らい、睡魔に襲われたが、じわじわと引き込まれていき、最後は、面白いものを見せてもらったという思いに変化した。
舞台となったロシアの地方都市ヤロスラヴリの巨大工場、マンション、テレシコワ記念館などが、不思議な雰囲気を醸し出し、SF的な効果を存分に発揮している。
何より、ロシアという遠い国の風景がとても新鮮に映った。その点で言えば、この話を日本で撮らなくて正解だったと思う。
また、記憶、夢、水といった隠喩はアンドレ―・タルコフスキーの『惑星ソラリス』(72)を思わせるものがある。
終映後、その印象を監督に話すと、「不思議なことに、ロシアで映画を撮ると何故かあんな感じになってしまうんですよ」という答えが返ってきた。
もちろん、監督デビュー作ということもあり、粗削りな面や独りよがりなところも見られるが、独自のストーリー展開や映像美などを見ながら、将来性は十分にあると感じた。
横浜シネマリンで1月6日まで上映中。興味のある方はぜひ足をお運びください。↓
http://cinemarine.co.jp/
“よくしまる今日子”が傑作
『100円の恋』の脚本家・足立紳の監督デビュー作。1987年の田舎町に住む中学3年生のある1日(夜)を描いた“性春ムービー”。
主人公の大山タカシ(犬飼直紀)の視点を中心に、ひたすらかっこ悪い父親(光石研)、婚約者を連れてくる姉(門脇麦)、頼りない仲間たち、絡む不良たち、巨乳でヤンキーの幼なじみ(浅川梨奈)、街で唯一のレンタルビデオ店、AV女優“よくしまる今日子”…などを点描しながら、男なら誰でも覚えがある性への憧れ、閉塞感、焦燥感などを描き出す。下品で猥雑極まりないが、見ていて妙に切なくなるところもある。
この映画のほかにも『続・深夜食堂』『海賊とよばれた男』等々、最近光石研の活躍が目立つ。
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
これはドラッグに酔ったマイルスが見た夢なのか
『MILES AHEAD マイルス・デイヴィス空白の5年間』
詳細はこちら↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1084346
共同通信のエンタメOVOに、
最終回を迎えた「真田丸」脚本の三谷幸喜へのインタビュー掲載。↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1083319
『映画の森』と題したコラムページに「12月の映画」として5本を紹介。
独断と偏見による五つ星満点で評価した。
ラインアップは
メリル・ストリープの役者根性に脱帽!『マダム・フローレンス 夢見るふたり』☆☆☆
激動の時代を背景にしたある男の一代記『海賊とよばれた男』☆☆
映画製作の秘密を知るドキュメンタリー『ヒッチコック/トリュフォー』☆☆☆
イギリス映画らしいシニカルな視点で『ミス・シェパードをお手本に』☆☆
「スター・ウォーズ」の中の人たちとは『エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街』☆☆☆
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ファンタジーを説得力を持って見せるのは難しい
京都の美大に通う高寿(福士蒼汰)は、電車の中で見かけた愛美(小松菜奈)に恋をする。二人は付き合い始めるが、愛美には「30日間しか一緒に過ごせない」という秘密があった。二人の切ない運命やいかに…。
パラレルワールド、時間軸のずれによる現在、過去、未来のすれ違いを使って、日常と非日常を交差させたファンタジックラブストーリー。
通常の時間軸(高寿の側)に沿った映像を見ながら、どうしても未来から過去へと時間を逆行する愛美の心情や状況をイメージしてしまうので、見ている間は、何かもやもやした気分になる。最後に流れる、愛美が見ていた(体験した)映像を見て、ようやく腑に落ちた。
加えて、『君の名は。』同様、なぜ二人がこうした運命に陥ったのかの説明が不十分で釈然としない。あり得ないこと(ファンタジー)を説得力を持って見せるのは、簡単そうに見えて実は難しいということだ。
ただ、舞台となった京都のレトロな雰囲気も相まってのクラシカルな恋愛模様は、大林宣彦の“尾道三部作”をほうふつとさせるところもあり、捨て難い魅力がある。
こういう映画は、大林のように、作り手が最後まで照れずに作れるかどうかが勝負の分かれ目だという気がする。
この後、主人公が本能寺の変時にタイムスリップする『本能寺ホテル』(1/14)、主人公が時間を戻す『君と100回目の恋』(2/4)、記憶障害の主人公『一週間フレンズ。』(2/18)、主人公が若返って高校生になる『ReLIFE リライフ』(4/15)と、時間軸のずれを描いた映画の公開が目白押し。
しかも漫画の原作が多い。これは『君の名は。』の影響か、はたまた今の若者の現実逃避願望の強さを反映しているのだろうか。