田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

サム・ペキンパーとロバート・アルトマン

2015-07-28 20:35:58 | 新作映画を見てみた

 同時代を生き、作風の違いこそあれ、共にアウトロー、異端と呼ばれたサム・ペキンパーとロバート・アルトマン。ペキンパーは1925年2月21日生まれ、アルトマンは同年2月20日生まれ。つまり二人の誕生日は1日しか違わない。奇縁と言うべきか。

 

 奇しくも9月から『サム・ペキンパー 情熱と美学』、10月から『ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』という、二人の生涯を描いたドキュメンタリー映画が相次いで公開される。これまた奇縁と言うべきか。

 今回2本のドキュメンタリーを見て、あらためてペキンパーは自滅し、早世したことで伝説となったが、アルトマンはしたたかに映画界で生き抜き、多くの作品を残し、天寿を全うしたのだと思った。

 それぞれの映画については後ほど。

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ラベル(『愛と哀しみのボレロ』)とマーラー(『ベニスに死す』)

2015-07-26 22:44:35 | 映画いろいろ

 新交響楽団の第230回演奏会を聴きに行った。今回はモーリス・ラベルの「古風なメヌエット」と「ダフニスとクロエ」、グスタフ・マーラーの「交響曲第4番」というプログラム。

 ラベルを初めて聴いたのは、クロード・ルルーシュ監督の『愛と哀しみのボレロ』(81)の劇中音楽としてだった。この映画は、第二次大戦から現代に至るまでの四つの家族それぞれの人生を描いた大河ドラマで、ヘルベルト・フォン・カラヤン、グレン・ミラー、ルドルフ・ヌレエフ、エディット・ピアフがモデルとなっている。

 最後に主要人物が一堂に集い、ジョルジュ・ドンがエッフェル塔下で踊るボレロの公演が映される。何か妙な感じではあったが、ひどく印象に残った。

https://www.youtube.com/watch?v=lCtqsUMB3UI

 そして、マーラーと映画と言えば、ケン・ラッセル監督が撮った伝記映画『マーラー』(74)があるが、やはりルキノ・ビスコンティ監督が『ベニスに死す』(71)で使った「交響曲第5番アダージェット」が筆頭だろう。

https://www.youtube.com/watch?v=Fvb1ITRFXhc

 以前、ビスコンティが大好きだった淀川長治先生の解説口調をまねて『ベニスに死す』について書いたことがあった。

 はい、みなさん今晩は。

 今夜は私、狂喜しております。何故かと申せば、ついに、ついに日曜洋画劇場でルキノ・ビスコンティ監督の名作『ベニスに死す』を皆さんにお見せすることができるからです。

 はい、この映画は、簡単に申せば初老の作曲家が美少年に恋をするお話ですねえ。けれども、もちろんそれだけではありませんねえ。どんな人間でもやがては老いて死んでいくという運命への抗い、そして本当の美とは何か、退廃とはなにかが描かれております。

 原作はトーマス・マンです。主人公の作曲家アッシェンバッハを演じるのがダーク・ボガードですねぇ。見事ですよ。
アッシェンバッハが憧れる美少年をビョルン・アンドレセンという無名の若者が演じております。その美しいこと、キレイなこと…。彼はビスコンティに見出されて、本当にこの映画のためだけに磨かれたんですねぇ。

 それから、音楽はマーラーの交響曲第5番アダージェットが使われております。これがまたこの映画の持つ退廃と美というテーマにぴったりなんですねえ。

 それでは、この1971(いっせんきゅうひゃくななじゅういちねん)年度のイタリアとフランスが作った芸術、芸術、美の極致を、じっくりとご覧なさい。後でまたお会いしましょうね。

淀川先生ごめんなさい。

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【ほぼ週刊映画コラム】『チャップリンからの贈りもの』

2015-07-25 19:48:03 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

喜劇王チャプリンが天上から演出した!?
『チャップリンからの贈りもの』



今週の名セリフは↓

「死んだ友だちに金を借りよう」
byエディ(ブノワ・ボールヴールド)


詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1008576
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『チャイルド44 森に消えた子供たち』

2015-07-20 17:27:17 | 新作映画を見てみた

ロシアなまりの英語は変でしょ



 1953年、スターリン政権下のソ連で、44人の子どもたちの変死体が次々に発見される。だが「理想国家=パラダイスで殺人は起きない」というスローガンのもと、国家はあくまで事故として処理する。そんな中、スパイ容疑をかけられた妻(ノオミ・ラパス)をかばったため、地方へと左遷させられたKGB捜査官のレオ(トム・ハーディ)が、事件の真相究明に乗り出す。

 トム・ロブ・スミスの原作は「このミステリーがすごい!」海外編で1位を獲得しただけに、ミステリーとしてはなかなか面白い。少年ばかりを狙うシリアルキラーという犯人像は、スチュワート・ウッズの『警察署長』をほうふつとさせるし、一見ばらばらに見えた犯行が鉄道を軸にして結び付くという趣向もある。

 ハーディとラパスをはじめ、ゲイリー・オールドマン、バンサン・カッセルらの怪しさに満ちた演技、スウェーデン出身のダニエル・エスピノーサ監督、撮影監督のオリバー・ウッドらが作り出した、時代背景や登場人物が抱える暗さを反映した画面構成も印象に残る。
 
 ただし、この映画の最大の弱点は、登場人物たちにロシアなまりの英語でせりふを言わせたこと。違和感を抱かされること甚だしい。ロシア語ならロシア語、英語なら英語のどちらかに徹底すべきだったと思う。

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ベルリン・フィル ワルトビューネコンサート2015

2015-07-20 17:08:12 | 映画いろいろ

ベルリン・フィルによる映画音楽コンサートをテレビで見た。

ラインアップは以下の通り。()内は作曲者名



「20世紀フォックスファンファーレ」(アルフレッド・ニューマン)
 パンパカパーン~ オープニングにこれを持って来るとは何とも粋ですなあ。ニューマンは20世紀フォックスの音楽部長。
https://www.youtube.com/watch?v=LTgRm6Qgscc

『戦艦バウンティ』(62)(ブラニスラウ・ケイパー)
 ルイス・マイルストーン監督、マーロン・ブランド主演。四度映画化された海洋反乱劇。ケイパーはポーランド出身。ちょっと意外な選曲。
https://www.youtube.com/watch?v=uRISreLfTf8

『ローラ殺人事件』(44)(デビッド・ラクシン)
 オットー・プレミンジャー監督、ジーン・ティアニー主演。謎の女を演じたティアニーが美しいサスペンス映画の傑作。バーナード・ハーマンの『めまい』にも似た甘美なメロディー。ラクシンは“映画音楽の祖父”と呼ばれているらしい。
https://www.youtube.com/watch?v=b-QtnIaG0xE

『大いなる西部』(58)(ジェローム・モロス)
ウィリアム・ワイラー監督、グレゴリー・ペック主演。堂々たる西部劇。オープニングタイトルでダイナミックに動く馬車を背景にして奏でられた名曲。タイトルデザインはソール・バスだった。何ともおおらかな気分にさせられる。
https://www.youtube.com/watch?v=Ougq8jSZ2-o

『ロビンフッドの冒険』(38)(エーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト)
マイケル・カーティス監督、エロール・フリン主演。アカデミー作曲賞受賞の冒険活劇。オーストリア出身のユダヤ人がフリンの数々の主演映画の音楽を作ったのだ。
https://www.youtube.com/watch?v=q8vsrK1QejU

『トムとジェリー』シリーズ(スコット・ブラッドリー)
とてもアニメのテーマ曲とは思えない。この曲はもろにジャズじゃないか!
https://www.youtube.com/watch?v=kYrUWfLlYI0

『ベン・ハー』(59)(ミクロス・ローザ)
ウィリアム・ワイラー監督、チャールトン・ヘストン主演。一大スペクタクル史劇。ハンガリー出身のローザは17度アカデミー賞候補となった映画音楽の巨匠。クラシックにも決して引けを取らない、超大作らしい風格漂う名曲。
https://www.youtube.com/watch?v=jXkVVLFlXlM

後半はジョン・ウィリアムズ三連発! 世が世ならウィリアムズはクラシックの大作曲家になっていたのではないかとあらためて思う。

軽快なマーチのリズムと中盤の静かな旋律の対照の妙味『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)
https://www.youtube.com/watch?v=mL-rpbdyHKE

自転車が空を飛ぶ! 浮遊感とワクワク感に満ちた『E.T.』(82)
https://www.youtube.com/watch?v=C4WK9WvOBvE

まるで壮大な組曲のような『スター・ウォーズ』(77)
https://www.youtube.com/watch?v=prPTyk5O7Yw

 質実剛健。間やテンポの取り方、音の重厚感などはさすがベルリン・フィル。大満足なり。もっとこうした形で映画音楽を聴いてみたい。

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【ほぼ週刊映画コラム】『ターミネーター:新起動/ジェニシス』

2015-07-18 17:53:46 | ほぼ週刊映画コラム
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『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

ターミネーターも年を取るとは…
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』



今週の名セリフは↓

「古いがオンボロではない」
byターミネーターT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)


詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1007607
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【インタビュー】『サイの季節』バフマン・ゴバティ監督

2015-07-18 17:51:27 | BIG ISSUE ビッグイシュー

 『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版』267号に映画『サイの季節』のバフマン・ゴバティ監督へのインタビュー記事掲載中です。

 

 販売員の方を見掛けましたら、ぜひご購入の上、ご一読ください。

THE BIG ISSUE JAPANのホームページは↓

http://www.bigissue.jp/

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『悪党に粛清を』続報

2015-07-04 19:27:08 | 新作映画を見てみた

映画『悪党に粛清を』デンマーク製ウェスタンはポテト・ウェスタン!?
タランティーノ、イニャリトゥら鬼才も新作のテーマになぜ、今“ウェスタン”なのか?


というリリース記事に、私の「西部劇の魅力について」のコメントが掲載されている。ぜひご一読を。
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=25902



『悪党に粛清を』の公式ホームページは↓
http://akutou-shukusei.com/

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【インタビュー】『ルック・オブ・サイレンス』アディ・ルクンさん

2015-07-04 19:23:02 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版』266号に
映画『ルック・オブ・サイレンス』に出演したアディ・ルクンさんへのインタビュー記事掲載中です。

 

販売員の方を見掛けましたら、ぜひご購入の上、ご一読ください。

THE BIG ISSUE JAPANのホームページは↓

http://www.bigissue.jp/

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【ほぼ週刊映画コラム】『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』

2015-07-04 19:18:21 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

自業自得のアイアンマン
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』



詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1005463
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